スチャラカ娘とちゃっかり転任先生(7)
恵は一瞬、机とにらめっこをしてしまった。それでも気をとりなおして美樹雄を見た。
「それで、私に何か用ですか?」
「はい」
恵の強めの語気に美樹雄は気後れして言った。
「水城さんは自転車部に入られるんですよね」
「まだ決めてないわよ」
恵はノートを写しながら素っ気なく言った。ただでさえ気のふさぎ込んでいる時なのに、一番ナーバスになる自転車部の事を持ち出されてどうしようもない苛立ちに襲われたのだ。
「ごめんなさい。恵ちゃん、ちょっと機嫌が悪くて」
恵の前で申し訳なさそうにしている美樹雄に奈美が言った。
「ちょっ、ちょっと、なんで奈美ちゃんが謝るのよ。分かりました。私が悪かったわよ。ごめんなさい。それであらためて、自転車部がどうしたの?」
「ええ、もし水城さんが自転車部に入るならぜひ僕も入れてもらおうかと」
美樹雄の言葉に恵は机を軽く叩いて言った。
「あのねー、どうしてあなたが部に入るのに私が関係あるのよ?」
「はい。先生の言うには水城さんが部に入らないと自転車部は成立しないのだと。さらに水城さんが部長だからと・・・・・・」
「なに考えてんのよ。あのトンチンカンの先生」
恵が軽い目眩をおぼえて机にうつ伏せになったそのとき、教室の後ろから雄叫びに近い元気な声が響いた。
「ダァーッ。打倒、相沢。ミツイシュン見参!」