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女王の威風(1)

 朝日が青空に顔を出して、快晴となった大会2日目。


 会場に到着した恵たちは、タープテントを取り出し準備を始めた。

 しっかり朝ご飯も食べて元気いっぱいで動き回っている。卵焼きと漬け物が美味しく、ご飯も進んだ。テーブルの横に積まれたクーラーボックスの中には一美が作ったおにぎり弁当が入っている。朝に好評だった漬け物も添えられており、部員全員が楽しみにしていた。

 都会っ子という一美であるが、山の暮らしにすっかり慣れて楽しんでいるようで、恵や奈美には友達感覚で接したり、美樹雄や瞬にはお姉さん的に世話を焼いてくれたりとすっかり打ち解けてしまった。最後には部員一同が一美のファンになっていたほどである。


 2日目の種目はクロスカントリー。初心者から上級者までクラス別で行われるため、最も参加人数が多いマウンテンバイクの花形種目である。恵が出場するのは、女子の初心者クラスにあたるレディースC。このクラスは、2kmのショートコース2周で競う。初心者クラスではあるものの、実際は中学生から社会人までの初心者、経験者とも参加するため、人数が一番多い。それ故、実力もバラバラであり、表彰台に立つにはそれなりの力が必要となる。


「よし!準備、オーケー。こんなものかな」

 恵がマウンテンバイクに跨がり、美樹雄にあちこち見てもらっている。

 美樹雄は恵のマウンテンバイクの調整を一通り終えて、自分の準備始めた。

 恵が出場するレディースCは1番目に行われる。開始までには時間があり、試走もできるのでその前準備といったところだ。


 受付開始のアナウンスが流れた。今回は出場しないが、奈美も一緒に四人が受付テントに向かった。受付を済ませた人とすれ違うなか、赤いウェアの集団が向かってきた。セイントレアのチームである。先頭にいるのは妃美香だ。


「あら、美樹雄。昨日は活躍したようね」


 妃美香が声を掛けてきた。赤いウェアの部員がスッと妃美香を守るように周りを囲んだ。それがあまりにも流れるような自然な動きで、恵や瞬は何があったのか分からないほどであった。

 ただ、奈美だけが『ここまでやるの』という険しい顔をして妃美香を見ていた。


「ありがとうございます。今日は、また調子が良さそうですね」


 美樹雄が周りの部員を気に掛けながら言葉を返した。


「ええ、良くってよ。最高の走りができそうで。ねえ、チーム朝見校っていったかしら。女子は一人しか出場しないのですね。随分と遠慮して。それとも、この程度では出る必要ないくらい自信ありなのでしょうか」


 妃美香は自分の前に立つ部員に下がるよう合図をすると、奈美を見下ろしていた。  

 奈美は、その視線をそらすことなくジッと見つめ続けていた。

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