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男子×意地×アメリカンドッグ(3)

 瞬の出番がきた。


ーーーーーーさあ、チーム朝見校から三井瞬選手だ。この名前、聞き覚えがある人もいるでしょう。前回の大会2位。決勝のレースをかなり盛り上げてくれました。今回も勢いよく行くかあ。それに朝見校といえば女子のレースでも活躍がありました。これは期待できそうだ。では、三井選手のコメント【相沢美樹雄は俺が倒す】だ。何とも頼もしい。リベンジなるかー!ーーーーーー


 実況の声に瞬は高々と腕を上げて美樹雄を見るとここに来いと言わんばかりに挑発した。会場にドッと笑いが起こる。美樹雄は横を向いて目立たぬように笑っていた。


「あいつは子供か」


 恵の呆れた顔に奈美と芽久美は吹き出しそうになりながらスタート台の瞬を瞬を見ていた。


 スタート前に相手がグッと拳を突き出してきた。挨拶のつもりらしい。瞬は軽く拳を合わせるとスッと前を向いた。素っ気ない仕草に相手はむっとして睨みつける。

 別にバカにしたわけではない。瞬はいつもこうなのだ。スタート前の瞬間はまるで別人のように静かになる。さっきまでワイワイやっていてもスタート前はジッとゴール先を見つめて動かなくなる。


 そう、バネがギュッと縮んで力を溜めているように。



 選手紹介が終わりスタート準備のシグナル音が鳴る。


 瞬がスタンディング体勢をとる。相手も闘志むき出しで体制に入る。


(北竜校さん、見てろよ。これがあんたの言った田舎の大会だよ)


 シグナルが青に変わり、金具が倒れると瞬はサッと飛び出していく。相手も続く。ポールをリズムよくすり抜けていく。相手も力強い走りをするが、なにより瞬が速すぎた。


 1回目のS字を抜ける頃にはその差は明らかだった。全てにおいて瞬の走りが上回っていた。山を越えるときには瞬は高く飛び上がり、会場からも声があがった。ゴールしたときは3秒以上の差がついていた。




 ゴールした相手に瞬はニヤリと拳を出した。相手は目を合わせることなくサッと拳を合わせるとそのまま2回目の走行のために去っていった。


「キャーッ!三井君、かっこいいー!」


 三人の女子が手を振り声援を送ってきた。明るく元気な声に周りも注目している。女子のレースを盛り上げた恵、それに奈美と芽久美を加えての応援は会場を沸かせていた。特に芽久美は自分のチームでもないのに一番大きく手を振って応援していた。


 瞬も手を振って返すと、芽久美の方に来て心配した顔をしていた。


「おまえ、うちのチームじゃないのに大丈夫か?次はSSSが走るんだろ」

「大丈夫だよ。次もしっかり応援するもん。美樹雄兄ちゃんも応援しないと」


 芽久美はニコニコしながら選手としてではなく観客として楽しんでいた。

 

 「逞しい奴だな」


  瞬は笑って2回目の走行に向かった。


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