男子×意地×アメリカンドッグ(2)
男子の競技の準備が進んでいる。参加選手は女子の倍近くいるため、かなりギュウウギュウなスケージュールだ。瞬と美樹雄はきれいに分かれており、決勝か3位決定戦でなければ当たることはない。瞬にしてみれば、前大会の雪辱を果たすには最高の組み合わせともいえた。
スタート位置まで二人はいつもの調子で向かっていた。あの恵の滑稽とも可愛らしいともいえる姿が二人の気持ちを和らげたのは事実であった。おまけに芽久美まで加わり、練習風景と変わらぬワイワイ感で送り出されればなおさらである。
(どうも、あのメグには調子がくるうな。美樹雄はうまくあしらっているけど、どうも俺は苦手だ。コースを攻めるのよりやっかいだ)
瞬はいつの間にかレースのことから離れて現実逃避していることに気がついた。
(俺、ばかか?何考えてるんだ)
瞬は頭を振りながら離れている美樹雄の方を見ると、ニコニコしながら時折ククッと笑って一人和んでいる姿を目にした。
(なんじゃあ、あれ。……きもち悪)
瞬は美樹雄の何ともいえぬ姿に改めて油断ならない奴だと目を細めていた。
ーーーーーーさあ、いよいよ男子のデュアルスラロームが開始されます。先ほどの女子はすさまじい争いでした。同じように男子でも名レースが展開されるのか期待が高まりますーーーーーー
実況の声とともにいよいよ男子の競技がスタートする。瞬は3番手のレースであり、準備万端で控えている。隣には対戦相手となる北竜校の生徒がいた。瞬に比べて一段も二段も背が高かく、とても同じ高校生同士には見えなかった。瞬にとっては慣れたものであり、意に介さず堂々としていた。
「前回は2位だったんだっけ?参加選手も少なかったからラッキーってとこか」
「????!」
「そう怒るなよ。朝見校って大人しいイメージだけどな。東第一はよく聞くけど、朝見校が自転車部とはね。きみも勧誘されたのかい?」
挑発的に話しかけてくる相手に瞬は面倒臭いという顔をしていた。相手は瞬が黙っている事が気に入らないのかブツブツと挑発していた。
「これから競うんだ。挨拶くらいしようぜ」
相手は瞬を見下ろしてイラついていた。瞬はボーッと眺めてからため息をついていた。
「なあ、北竜校さんよ。あんた、前回の大会出てたっけ?」
「いや。こんな田舎の大会は初めてだよ。ああ、でも他県の大会には出て入賞してるよ。それもあって部に勧誘されたよ」
「そりゃ、すげえな」
瞬があしらうと北竜校の選手は、気に入らないという表情をした。
「そういえば、女子の大会は惜しかったな。ミスもあったし、相手が悪い。一回戦で負けて残念だけどな。頑張ったんじゃないか」
北竜校の選手はニヤニヤして瞬を見た。敬意もない、友好もない、挑戦もない。そんな奴に恵と有紀の対戦の何が分かる。瞬の中に許せない何かが心を震わせた。
「なあ、あんた、その北竜校では一番速いんだろうな。こんな田舎の大会だ。とうぜん優勝候補だろうな。じゃあ、ちょっとは楽しませてくれるよな」
瞬はニヤリとした。




