ときめきスラローム(8)
恵も乗り気で有紀を見た。クロスカントリーでは実力の違いを見せた相手が、自分と走りたいと言っている。しかも得意種目でだ。恵はその意図がよく分からなかったが、練習走行での熱い思いが頭に蘇ってきた。
「水城さんは今日初めて練習しているんです。へんに煽らないでください」
美樹雄が有紀をたしなめた。
「私は気に……」
「いいんじゃね。スラロームなんてコースが別になっているんだぜ。一緒になるのはスタートくらいだ。それより、見せてもらえばいいじゃん。大会女子チャンピオンの走りとやらを」
恵の言葉を遮って瞬が挑発的に言うと、恵もウンウンとうなずいていた。
「それなら、総当たり戦というのはどうでしょうか?これなら全員公平に走れます」
奈美がメモ用紙を片手に提案してきた。
「あー、サンセーイ!」
メグが元気よく手をあげると、有紀と恵も賛成した。奈美がメモ用紙に組み合わせを書いていく。メグと美樹雄から始まり、ラストは瞬と美樹雄で締めくくられた。
「美樹雄兄ちゃん行くよ」
「初走行だから軽くいこう」
美樹雄とメグがスタートした。メグは初走行ではあるものの、そこはSSSのメンバーである。美樹雄についていき、スムーズに走行していた。
「やっぱ、あいつ見た目でバカにできないな。初めてだというけど、しっかり体重移動はできている」
瞬がメグの走りを見ながら驚いていた。
「三井さん、よく見ていますね。メグは体幹をかなり鍛えてる子です。バランス感覚は私より上かも」
有紀が流石だという目で瞬を見た。瞬はその視線にニヤケた顔をすると、奈美にメモを見せてもらった。
「ホレ、次は恵と新川さんだ」
瞬は恵の横に来ると、耳打ちした。
「美樹雄の時のように、よっく見てみな。一緒でないと感じられないものがある」
恵はうなずくとスタート台に向かった。




