ときめきスラローム(7)
朝見校、東第一校、SSSが一同に顔を合わせている。別にいがみ合いという訳ではなく、何となくワクワクした一触即発の状態であった。
「さっき、下でこの子と会ったんだ。上に美樹雄がいるって言ったら一緒に走りたいってな」
瞬が場の空気を動かした。
「この子じゃないよう。芽久美だよ」
メグは、イーッ! という顔を瞬にした。
瞬も同じ顔をメグに返した。
「子供か!」
恵が瞬をつついた。
「メグちゃんは、今回、スラロームデビューだったね」
美樹雄がメグに楽しそうな表情で話しかけた。メグは美樹雄の言葉に得意げな顔をしていた。
「そうだよ。コースに上がろうとしたら、水城さんと瞬に会って。美樹雄兄ちゃんがいるからって、上がってきたら有紀ネエもいるんだもん」
「あーっ、ちょいと待て。恵が『さん』、美樹雄が『兄ちゃん』で何で俺が呼び捨てなんだ」
瞬がすかさず突っ込んだ。
「あー、なんでだろ?なんとなく」
メグがにっこり笑って答えた。
「おまえなあ」
瞬が口を開けて諦めた顔をしていた。
「メグ。三井さんは美樹雄と同じ学年なのよ。あなたより年上なの。親しくもない相手を呼び捨てにするのはどうかな」
有紀がメグをたしなめた。メグも有紀の言葉には素直にうなずいていた。
「じゃあ、瞬……にぃ?……うーん、瞬ちゃん!」
メグは納得いかない表情をしたあと、思いついたとばかりに答えた。メグの懲りないあっけらかんとした表情に、瞬をのぞいてみんなが一斉に吹き出した。
「おまえ、全然、分かってないだロー!」
「あーん、瞬ちゃんこわーい」
メグが有紀の後ろに隠れた。
「瞬、あんたの負けだわ」
恵は満足げに瞬の肩をたたいた。瞬はため息をついてガックリしていた。
「さて、次は誰が走るの?」
空気が和んだところで、恵が声をかけた。
「わたし、美樹雄兄ちゃんと走りたい!有紀ネエもだよね」
メグが明るい声で言った。
「あー、どうせそうでしょう!」
瞬がすねたふりしてそっぽを向いた。
「私、もう一回、瞬と走りたいけど。今度はもう少し本気だしてよ」
「お前ぐらいだよ。そう言ってくれるのは」
瞬が腕組みをして恵を見ていた。
「わたしは……」
有紀が手を挙げた。
「私は、水城さんと走りたいな」
有紀はそう言いながら興味深げに恵を見た。




