戦場!クロスカントリー練習走行(3)
恵たちはタープテントを準備している浩一の前に集まった。
「揃ったね」
浩一は恵を見ると頷いた。
「けっこうさまになってるな」
「ありがとうございます。このユニフォームは格好良くて好きです」
恵は改めて美樹雄や瞬と並んで自分の袖を眺めていた。
「揃ったところで、まずはクロスカントリーの初級コースをウォームアップで走るよう。当日はコースが若干変わるかもしれないけど、基本的には同じ距離だ。相沢と三井は、コースを憶えていると思うので、水城の道案内をするように。水城はコースの把握をして、その後は自分のペースを作って走るように」
三人は返事をした。
「あと、練習走行だから速く走る選手には道を譲るように。後ろから声がかかったら、素直によけてください。くれぐれも無理に張り合わないように!では、まずは一周目」
浩一が合図すると、美樹雄と瞬がジャンケンをした。瞬が負けて、先頭を走ることになった。
恵は美樹雄の後ろからついて走った。
コースはスタート地点の広場となっているところから林道に入る。狭い道幅の登りが続く。そこからしばらくは、木の根などの障害がある道が平坦に続く。この時点でも道幅は2台並んで走るのがやっとである。そこからなだらかにアップダウンを繰り返し、区切られたコースが開ける。左右のカーブがライダーを襲う。そこから先に進むと今度はダウンヒルを思わせるほどの急勾配に出くわす。さらに、その先には広い林道と合流しており丁字の形になる。つっこむとガードレールに衝突して自爆する。ここを過ぎると広い道の上り。そしてまた細い林道にはいり、上り下りで元の地点に戻る。ショート2㎞のコースだ。エキスパートクラスになるとさらに大回りと入り組んだトリッキーなコースになり4㎞になる。
恵は美樹雄の背中を追っていった。瞬もそれなりに気を利かして、目の前のコースを説明しながら、一定のスピードで走っていく。
「ここの連続カーブは、地面が湿ると走らなくてけっこう体力奪われる」
瞬が指さしながら滑らかに走っていく、美樹雄は、恵の方を見て頷く。恵も二人に続いて走り抜けていく。確かに、湿ると土が滑って走りにくいなと思った。
「ここは、おもしろいぜ。ブレーキタイミング間違うと転ぶぞ。つっこみすぎると自爆だ」
ダウンヒルなみの狭い急勾配を降りていく。石と樹の根っこで車体は暴れる。怖がってブレーキをかければロックして転びそうになる。
瞬と美樹雄は、緩やかに減速して、大通りの林道の交差をきれいに曲がった。恵は、ブレーキのタイミングが遅れてそのまま突き進み危うく大通りのガードレールにぶつかりそうになった。
(なるほど、これが自爆か!)
冷や汗をかいた恵は二人についていった。




