戦場!クロスカントリー練習走行(2)
「みーきーおー兄ちゃーん!」
元気な甲高い声をあげて、黄色のマウンテンバイクが駆け寄ってきた。青いヘルメットを被った芽久美だった。
「メグちゃん。来てたんだ。久しぶり。クラブのみんな元気かな」
「元気、元気!そうそう、今日なんか有紀ネエも妃美香ネエも来てたよ」
「ひみか?あの高飛車か」
瞬が口をはさんで入った。
「あー、去年、美樹雄兄ちゃんに負けた人」
芽久美はキョトンとして瞬を指さした。それを見て、恵はプッと吹き出した。
「美樹雄、あとで話をしよう。ほんと、良い後輩だな」
瞬は背伸びして美樹雄と肩を組むと、顔をひきつらせていた。美樹雄もこれはまずいとばかり、芽久美との話題を変えた。
「メグちゃん、出場種目はなに?」
「えーとね、クロカンのレディースCにスラローム。やっと解禁だ」
「コーチもよく許可してくれたね」
「うん。Cクラスで入賞したもん。それで認めてくれた。途中までは妃美香ネエや有紀ネエについて行ったんだから。今年は、表彰台いくもん」
芽久美は嬉しそうに話していた。
「それはどうかな。今年は、こいつが参戦するぜ」
瞬は恵を指さした。恵はへっといった顔で応答していた。
「この人速いの?」
芽久美は、恵をマジマジと見ていた。
「初めてなんだけど・・・・・・」
「えーっ、!初めてなら絶対負けないもん」
「初出場が負けるとは限らんぜ。なんせ、うちの部の部長なんだから。実力は折り紙付きよ」
瞬が胸を張って、メグに迫る。メグもグッと耐えて瞬とにらめっこをしていた。
「瞬、なんであんたが張り合ってるのよ」
恵が二人に割って入ると、メグはこらえ切れずにふき出した。
「変な顔!」
芽久美はケラケラ笑いながら、瞬を指さした。険悪と思われた雰囲気はメグにとってはお遊びに感じたようだ。
「じゃあ、練習で。またねー」
芽久美は手を振って去っていった。
「何もあんな風に言わなくても」
恵は、瞬の腕を突いた。
「何言ってんだ。虚勢でもなんでもはって、少しは戦意喪失させないと。あいつ、ああ見えても本当に途中までは三番手だったんだ。お前が走るときは、チームメイトはいないんだぞ。みんな敵なんだ。仲良しこよしじゃ走れないんだよ。まあ、走れば分かる」
瞬はそう言いながら、クロスカントリーのコースを眺めていた。




