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揃い踏み強敵達!登場、神沢妃美香(3)

 恵の目の前にはずっと果てしなく広がっていくような緑色の大地があった。


「すごーい。こんなとこを走るなんて・・・・・・」

「ああ、ここは冬ならスキー場なんだよ。つまり冬はこの辺り一面は雪で、ほら、あの辺りが傾斜になっるでしょ。初心者のコースだよ。それに、実際走るのはもう少し奥に行った林道を・・・・・・」


「おい、こらっ『すごーい』はいいからおめえさんの自転車を降ろしてくれよ。ケイ部長、それに美樹雄、おまえもだよ」


 瞬はもがきながら車から叫んでいた。


 恵は浩一達に手伝ってもらいMTBを降ろすと、瞬がヘロヘロになりながら降りてきた。何だかんだといってもやはり荷物と一緒ではさすがの瞬もまいったようである。


「よし、あらかた片付いたから。恵君、あっちにあるロッジで着替えてくるといい。ちゃんと更衣室があるし、空いているロッカーは勝手に使ってもいいようになっているから」

「はい。分かりました」


 恵はそう言いながら大きなバッグを抱えてロッジへと向かっていたが思い出したように浩一の方にかけよってきた。


「ここで()()を着るんですよね」

「ああ・・・・・・一度は袖を通した方がいい」

「あっ、はい」


 恵は言葉を詰まらせながらトコトコ歩いていった。

 恵はロッジの中に入るとあたりを見渡した。入り口からすぐ奥がレストランになっており、パノラマ背景のように外を見渡すことができた。ちょうど今は一般客にまじり競技ウェアを着た者も5,6人程くつろいでいた。さらにその奥には売店があり、階段へと続いていた。階段の柱には『更衣室』の表示と矢印が二階の方を指しており、恵はそのまま階段を駆け上がっていった。


 二階に行くと更衣室はすぐに見つかった。 恵は女子の更衣室であることを確かめてドアを開けたがその瞬間、ちょっとした歓迎を受けてしまった。


「ば~ん!エイリアンの()()()()


 見ると、女の子が何やら青い固まりを恵の目の前に突きつけたのである。恵はその瞬間ドアの前で一歩引いてそのまま固まってしまった。しかし、相手の女の子も恵以上に驚いていた。よく見ると女の子は青色の競技用ウェアを身に着け、髪を短く後ろでまとめており、顔はまだ子供っぽく恵よりも年下に見えた。さらに、持っていた物は競技用のヘルメットで、確かにその形は映画に出てくるエイリアンの頭の形に似ていた。二人はお互いに見つめ合ったまま固まっていたが、女の子が慌ててヘルメットを後ろに隠しながら口を開いた。


「ごっ、ごっ、ごめんなさーい」

「いっいっ、いいのよ」


 恵も負けじと答えた。


「ホントーにご免なさい。あの・・・・・・怒ってますか?」


 女の子は大きく開けた目で恵をのぞき込んだ。


「いやあ、大丈夫だけど・・・・・・ビックリ・・・・・・したかな」


 恵は女の子の目を見ているとなぜか怒る気などなれず、にっこりと笑顔でこたえていた。


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