49.
(※ナタリー視点)
私は、隠れてお父様たちの様子を見ていた。
現在お店の中にいるお客様は、お父様たちしかいない。
私が一番恐れていた展開になってしまった。
もう、最悪だった……。
予想通り、お父様たちは店の中を見まわし、不審に思っている様子である。
経営がうまくいっているはずのお店なのに、客が全くいないのだから当然である。
こうならないように、今まで手を打ってきたのに……。
私の今までの努力は、いったい何だったの?
無駄な出費だと分かっていても、お父様たちにお店の経営状況が悪いことがバレないように、サクラを雇った。
それなのに、結局バレてしまった。
こんなことになるくらいなら、最初のうちにバレた方が、まだマシだった。
それなら、サクラに余計な出費をしなくてもよかったのに……。
いや、今はそんなことを考えても仕方がない。
これからどうするのか、そのことを考えなければならない。
お父様たちは、食事を終えて店を出て行った。
そして、営業時間も終わり、私も家に帰る時間になった。
家に帰るのが、こんなに嫌だと思ったのは、生まれて初めてだった。
帰ったら、お父様たちに何を言われるだろう……。
そして、私はそれらに対して、なんと言えばいいの?
すべて正直に話すべき?
それとも、何か言い訳をしてごまかした方がいいの?
でも、お店の状況を見られてしまったのに、いったい、どうやって言い訳をすればいいの?
答えは何も出なかった。
そして、答えが出ないまま、私は家に到着した。
玄関の扉を開ける前に、私は息をのんだ。
このあと、私はいったい、どうなってしまうのかしら……。




