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24.

 私たちは、次の町へ移動することにした。

 

 兵の人にはなんとか言い訳することができたけれど、万が一、怪しまれている可能性も考慮してのことである。

 本当に楽しい町だったから、去るのはもったいない気がするけれど、捕らえられる危険性を冒してまでこの町に滞在するわけにはいかない。


 最後に雑技団のショーを見たあと、私たちは馬車でこの町を出ることにした。

 しかしその前に、旅の資金が不足してきたので、殿下のパンツを売ることにした。

 もちろん、下着ではない。


「これで、当分はお金に困ることはありませんね」


「ええ、そうね」


 殿下のパンツを売って、数か月分の資金を手に入れることができた。

 もしかすると、一年分くらいあるかもしれない。

 

 私たちは馬車に乗り込み、次の町を目指し始めた。


「楽しい町でしたね」


「ええ、そうね」


「私、家を出てから、いえ、エミリーさんと出会ってから、人生が楽しく感じるようになりました」


「私もよ。本当に、毎日が楽しいわ。あの頃の、厳しくて息が詰まりそうな生活に比べたら、大違いだわ」


 殿下は笑顔で言った。

 最初に出会ったことに比べると、殿下はよく笑うようになった。

 その笑顔を見ると、私も自然と笑顔になっていた。


     *


 (※ナタリー視点)


 私は自然と笑顔になっていた。

 

 こんな状況になれば……、もう、笑うしかない。

 この私に楯突こうなんて、あなたたち、いったい何を考えているの?


「ああ、本当笑えるわね……。上の人間にそんな態度をとるなんて、呆れるのも怒るのも通り越して、もう、笑うしかないわ。ねえ、もう一度言って。もしかしたら、私の聞き間違いだったかもしれないから……」


 私は、目の前に並んでいる店の従業員たちに言った。


「ですから、この前クビにした仲間たちを、この店に戻してください。これだけの人数では、仕事になんてなりませんよ。もし、この要求を呑んでくれないのなら……、私たちはボイコットします」


 もう、笑うしかない。

 どうして、こうなったの?


 費用削減のために、人数を減らしたのに、まさかこんなことになるなんて……。

 私のやることなすこと、すべてがうまくいかない。

 お姉さまにもできていたことなのに、どうして私がやると、うまくいかないの?


 ただでさえ、利益が落ちていて大変な時なのに、これ以上問題を増やして、私を悩ませないでよ……。

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