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13.

 (※母親視点)


「ナタリー、お店の方はどう? 順調かしら?」


「ええ、お母様、もちろん順調よ。初めての経営なのに、こんなにうまくいくなんて思わなかったわ。自分の才能が恐ろしく感じるくらいよ」


「あらまあ、この子ったら……」


 私は思わず笑みを浮かべた。

 やっぱりナタリーは、私たちの自慢の娘だ。

 あの出来損ないとは頭の出来からして違う。


「さすが、私たちの娘だ。ナタリーならあいつなんかよりも、断然うまくやってくれると信じていたよ」


「ありがとう、お父様。私がお姉さまと違って優秀だということを、改めて実感したわ」


「さすがだ、ナタリー。仕事ばかりしているあいつと婚約破棄して、君と新たに婚約してよかったよ」


「私もあなたと婚約できてよかったわ。私はお姉さまと違って、仕事ばかりして婚約者を蔑ろにするなんてことは、しないのよ。お姉さまと違って、効率よく仕事をしているから。お母様、来月はもっと利益を出す予定だから、一緒にお買い物に行きましょう。新しいお洋服が欲しいって言っていたでしょう?」


「ナタリー、あなたって子は……」


 私は思わず涙を浮かべた。

 なんて親思いな子なのだろう。

 仕事ばかりして家族との時間を蔑ろにしていた誰かさんとは大違いだわ。


「じゃあ、私もう少しだけお仕事をするから、部屋に戻るわね」


「ええ、無理をしないように、体に気を付けるのよ」

 

 私は笑顔でナタリーを見送った。

 ナタリー、あなたは本当に、自慢の娘だわ。


     *


 (※ナタリー視点)


 どうしよう……、嘘しか言ってない。


 あれ?

 おかしい。

 こんなはずじゃなかったのに……。


 お姉さまにもできたのだから、当然私にもできると思っていた。

 私がお姉さまに劣るなんてこと、あるはずがないのだから。

 私にできてお姉さまにできないことはあっても、逆はありえない。

 そう思っていた。


 でも、もしかしてそれは、私の思い違いだったの?

 実はお姉さまは、優秀だったとでもいうの?

 理想と現実が違い過ぎて、思わず家族にまで嘘をついてしまった。


 焦りや不安に襲われ、私の体は震えていた……。

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