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第六話


 王様の執務室に着いた僕は、リアムからライリーの手に渡って、ライリーのお膝に座っている。僕を乗せたライリーは執務室にある三人くらい座れるソファーに座っていて、リアムは僕たちの隣に座ってる。王さまは、おそらく王さま専用だと思われるデスクがある席には座らず、僕たちの目の前のソファーに座った。


「それで先程の続きだが、神から言われたことすべて話してくれるか。お前はたしかに世界を救えといわれたんだな。なら、予言は本当なのか?」


 王さまの言葉に、僕はすこし戸惑った。


「うん、世界を救ってほしいって言われたよ。そのために僕に知識と知恵をくれたんだって。でも......予言する力が残ってないから、予言は嘘だって言ってた。多分何かの間違いだと思うんだけど、僕は、救う確率が高いからこの世界に連れてこられたみたい。」


 僕の話を聞いた三人は、深刻そうな顔で何かを考え込んでるようだった。特に、ライリーは歯を噛み締める音が聞こえて、何かを必死に耐えているように思えた。

 なんか、咲ちゃんのところに帰る方法とか神さまと話す方法とか聞ける雰囲気じゃないな。


「この部屋に来たのは正解だったな。話を聞いたのが私たちだけで良かった。予言が嘘だと知ったら、皆がパニックを起こすところだった。」


 最初に口を開いたのは、王さまだった。とても、落ち着いた口調でそこまで深刻でなかったのかなって思ってしまったけど、それは僕の勘違いだった。


「なんも、よくねぇだろ!ハルは呪いの解き方知らないんだ。予言が嘘って、確率が高いってなんだよ。このままじゃ、姉貴も王も聖女も助からないってことだろ......」


 ライリーは最初には叫ぶように言っていたのに、最後の方はとても弱々しく言葉を発していて、辛そうだった。姉貴って言ってたけど、王さまと同じ呪いにお姉ちゃんもかかってるのかな?しかも、今の口ぶりだと、その呪いは命に関わるものかもしれない。


 興奮しているライリーの肩にリアムが手を置いた。


「姉さん、落ち着いてください。ハルは、神から知識と知恵をもらったと言っていました。もしかしたら、呪いのことを詳しく話せば何かわかるかもしれない。王さま、話してもいいでしょうか?」


 リアムの質問に王さまゆっくりと頷いた。そして、リアムは僕をまっすぐ見つめて話し始めた。


「今、この国の重要人物である三人がとある呪いにかかっています。その呪いにかかったものは、おおよそ1年後に死ぬと言われています。」


 三人とはさっきライリーが言っていた、ライリーとリアムのお姉ちゃんと王さまと聖女のことだろう。

 僕は思わず王さまを見たが、自分のことを話されているのに王さまは無表情だった。


「どのように呪いをかけるのかも、呪いの解き方などもわかっていません。ただ、呪いにかかったものは左の胸に黒いあざができるので、このあざを消し去ることができればこの呪いは解けると言われています」


 .......。リアムの話しを聞いて、僕は、この呪い知っていると思った。おそらく、いや確実に神さまから貰った知識のおかげだ。でも、期待させて違ったら申し訳ない。だから、あざを見せてもらおう。そしたら、確信が持てる。


「王さま、そのあざ見せてもらうことはできる?」


 王さまは、頷いた。そして、服のボタンを外してあざを見せてくれた。

 やっぱり、そうだ。これは、間違いない。


「僕、その呪いをかけるのに必要なもの知ってるよ。だから、それをどうにかすればもしかしたら消えるかもしれない。」


「それってなんなんだ!教えてくれ」


 頭上から、必死なライリーの声が聞こえる。僕は、口に出していいのかわからなくて王さまを見た。でも、王さまは今から僕が言おうとしてることがわかるわけもないから、静かに僕を見つめるだけだ。この呪いは、王さまたち三人の心に深く関わるものだから、三人の許可がほしい。でも、許可が得られずに、口に出さないままだと三人はこのまま死んでしまう。

 僕は、深呼吸をして目を閉じた。そして、話すことを決めた。


「心の傷、それがこの呪いをかけるのに必要なものだよ」


 僕の言葉に、部屋は静まり返った。



読んでくださってありがとうございます!

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