第五話
「......。」
僕は、口をポカーンと開けて間抜けな顔をしてしまっている。だって、とても驚いていたから。王さまって言うから、なんかこうすごい感じを想像していた。でも、僕の前にいるのは出会った頃の咲ちゃん同じくらいの大きさの少年だ。確か、その頃の咲ちゃんの年齢は12才だったはずだ。そんな小さな子が、大きな玉座に座っている。正直あまり似合っていない。でも、あと何年かしたら似合うようになりそうだなと思ってしまうのは、神々しく見える金色の毛や目のせいなのかな?
少年の耳はは三角で、目は大きいけど少し釣り上がっている。おそらく猫だと思う。今更だけど、この世界に来てから、動物の耳と尻尾の生えた人間にしか会っていない。鏡を見ていないから確かじゃないけど、人間の手や足があるし、話せるし僕もおそらくそういう姿になっている。
最初は、自分の手を見てとても驚いたけど、神様のおかげで獣人という存在が知識としてあったからパニックにならずに済んでいる。僕がその獣人になったのは、何故かわからないし不思議だけど、この姿だと咲ちゃんとお話しできるかもしれないと思うと幸せな気分だった。
「ハル、王が質問していますよ。」
「えっ?」
思い耽っていた僕は、急に声をかけられて焦った。ライリーとリアムに連れられて、謁見の間に入り王が少年だと気がついてからずっと話を聞いていなかった。そういえば、まだリアムに抱っこされたままだけど失礼にならないのかな?
「もしかして、聞いてなかったんじゃないか?」
「うっ......その通りです。」
ライリーにズバリと言い当てられ、小さな声になってしまったが正直に答えた。
すると、王さまは小さくため息をついた。
「お前、いつから聞いていなかった?」
「部屋に入ってきてから......」
「つまり、最初からということだな。わかった。
お前の名がハルというのも、神の予言通りお前が祈りの間に現れたのも二人から聞いた。」
王さまはまだ子どもなのに、大人っぽい口調で少し驚いた。
「では、もう一度聞くが、お前は神に会ったのか」
「うん、会ったよ」
僕の返事を聞いて、王さまは静かに目を閉じて小さく息をついた。ライリーとリアムは顔を見合わせて嬉しそうに笑っていて、尻尾も揺れていた。
「じゃあ、ハル、王の呪いを解く方法を聞いたんだろ? はやく、教えてくれ!」
ライリーが興奮気味に言ってきたが、僕はなんのことか分からなくて首を傾げた。それに、呪いって怖い言葉が気になる。王さま呪われてるの?大丈夫かな?
「ごめんね、呪いについては何も聞いてないんだ。それと、僕は世界を救ってくれとしか聞いてないよ?」
「王の呪いを解くことが世界を救うことになるんです。ハルは、神から具体的には何も聞いてないということですか?もし、そうならば神と話した内容をすべて教えていただけますか。もしかしたら、その会話にヒントがあるかもしれないのでお願いします。」
笑顔が消えたリアムの顔は、すごく真剣な顔をしていた。
「わかった、思い出せるだけ話すね。えっと、僕がお昼寝から目が覚めると、」
「待て、ここには護衛の兵もいる。私の執務室に行こう」
王さまがそう言ったので、僕たちは執務室に移動するこになった。
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