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第四話


 手の甲だけど、女の人にキスされた......!僕は顔が熱くなるのを感じた。きっと真っ赤なんだろうなと思うと恥ずかしくてリアムにくっついて顔を隠した。

 すると、くすくす笑う声が聞こえた。


「このぐらいで赤くなるなんて、かわいいなハルは」


 そう言ったライリーは僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


「や、やめてよ」


 恥ずかしくてライリーの手を退かそうと抵抗したが、ライリーも撫で続けようと頭を触ってくる。


「二人とも、遊んでないでそろそろ王のもとへ向かいませんか?」


「遊んでないよ!」


 リアムが呆れたように言うので、反射的に否定してしまった。


「あたしは遊んでやってるつもりだったがな」


 僕は少し不貞腐れて口を尖らせてしまい、二人にくすりと笑われてしまった。

 再び僕たちは王様に会うため歩きはじめた。といっても、僕はリアムに抱っこされたままだ。途中で自分で歩くと言ったけど、笑顔で「お気になさらず」と言われてしまい、もう一度自分で歩くと言うとまた「お気になさらず」と言われてしまい、押し問答になってしまったので諦めるしかなかった。


 二人がたくさん歩いているのに、なかなか王さまの所へ着かない。だけど、僕は見たことのない建物の作りや、壁に飾られている絵画に見惚れていたので苦じゃなかった。もとの世界だと、ヨーロッパの昔のお城に近いのだと思う。あっ、ヨーロッパがわかるということは、神様はこの世界だけで使える知識じゃなくて、もとの世界の知識もくれたのか。とにかく、物珍しくて、キョロキョロ見てしまう。


 きっと、咲ちゃんはこういう絵とか好きだろうな。見せてあげたらどんな顔をして喜んだかな?思わずそう考えてしまって、頭を振った。

 王さまに会ったらもとの世界に戻る方法はないか聞いてみようと決めていた。ここで一番偉い人なんだからもしかしたら、知っているかもしれないし、たとえ知らなくってもヒントになるようなことは知っているかもしれない。

 だから、今、咲ちゃんのことを考えて泣いてしまってうまくお話しできなかったら困る。とにかく、泣いても仕方ないし、できることをまずは見つけよう。


 それと、神様に会う方法も聞いてみようと思う。神様は世界を救える確率が高い者として僕を選んだって言っていたけど、間違いだと思う。僕はただのダックスフンドだ。神様から、知識と知恵をもらったけど何かできるとは思えない。

 だから、ちゃんとこの世界を救える人を連れてきて欲しい。そう、神様にお話しするつもりだ。


「ハル、もうすぐ謁見の間ですよ」


 リアムに声をかけられ、あたりをキョロキョロと見渡した。ライリーは、少し先で大きな扉の前にいる騎士と話しているので、手続きのようなことをしているのかもしれない。

 僕は、これから王様に会うのだと思うと緊張してしまって、ごくりと唾を飲み込んだ。



読んでいただきありがとうございます!

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