五年生
今日私は、小学五年生になる。
「おはよう、南乃花、咲菜!」
『おはよう!奈々花。』
そう言って皆で見あげだ空は微笑んでるように見えた。
「ねぇねぇ。私達、同じクラスになれるかな?」
「なれるよ!だって、空を見て!神様が微笑んでいるでしょう。」
「クスッ。そうだね。」
「なぁなぁかぁ~?ほらっ、神様が困ってるよ!「荷が重いぃっ!」って。」
「えっー。そうかなぁ。」
あんな事を言った私は別に、神様を信じてる訳じゃない。
きっと、そうであって欲しいと思っているのだ。
いや、願っているのかもしれない。
私は思考に沈んでいった。
「なっなっか?「赤信号みんなで渡れば怖くない」とか言うつもり?」
へっ?
「わあっ!はぁ…。」
後ろを振り返ったら2人は止まっていて、私は横断歩道に、一歩踏み出していた。
ふぅ。そして、私は南乃花を睨んだ。
「えっ?なんで睨むの?教えたあげたでょー?」
確かに、そうだけどさぁ…。
「そうだけどね。言い方が。途中まで何言われてるのか気づかなかったんだよ。」
「それに南乃花じゃん?」
「いや、理由になってないってぇ。だよねぇ、咲菜?」
咲菜は苦笑いをしている。
そして私を見、口を開いた。
「今回は信号を見てなかった、奈々花が悪いな。」
「えっー?」
多いに不満だよー。
「ほらっ?私は悪くないよ~。」
咲菜は、南乃花をチラッと見、小さく笑っている。
「でも、奈々花の「南乃花だから。」って言うのもわかるなぁ~。」
「えっー?ちょっと、私だから?なんでぇ?」
私と咲菜は、顔を見合わせてた。
『それは、南乃花が南乃花だからでしょ。』
見事に声が揃い、笑う。
そして、学校に着いた。
「あっ!あそこじゃない?桜の木の下。」
「うわっ。私達、遅れた?!」
『走ろう!』
「おーい!3人とも早くしろー。」
先生がこっちを見笑いながら言った。
「クラス分かんなくなるぞ。」
「間に合いましたよ!」
「遅刻してませんけど?」
「友達に聞きますよ?」
3人で声が被ってしまったので、先生が苦笑いをした。
「まぁ、まだ来てない奴もいるからな。」
えっ?ちょっと先生?
そう思い、私は2人の顔をみた。
2人も、先生を『じとっ』っと、と見ていた。
どうやら、私と同じ事を思っていたようだ。
そして、私達は皆がいる所まで行き、混ざった。
周りの、声が聞こえてくる。
「髙田先生、みてなくないー?」
「転任したのかな?」
「でもさぁ。辞めたとかじゃね?」
「あとさぁ…」
皆が喋ってるから余り、聞き取れない。
でも、薄情だなぁって、思う。
只、私は今年もいつも通りに、終わるだろうと考えているだけ。
まるで、モブ役の1人の様に。