第9話
「っちょっと!何してるんですか!!」
突然のことで何が起きてるのかも理解できなかった僕は叫んだ。
どうも、山田です。
なんかガラの悪い人に絡まれてます。
むっちゃ怖いです。
「おまえこそ何してんだよ。あ?おれらの獲物に手をだすな」
「え、え、えも、の!?」
「この人のまねした獣だよ」
悪人Aが手にもつ大斧で天使を指す。
それが合図のように仲間たちが天使を囲もうとするけど、そうはさせるか。
僕が前に立ちふさがった。
……で、どうしよう。ノープランです。
「なんだぁ?おまえ。獣者の討伐を邪魔すんのか?」
「ケダモノとか、ひどいですよ!ケガしてるんです!やめてください!」
「当たりめぇだろ!おれらが狩ってんだからよぉ」
は?
何言ってんのこいつら。
マジで意味わからん。
天使を射ったのぼくだよーって自慢してんのか。
まじかよ。天使だぞ?神に仕えてんだぞ。
あ、神ってあの女神だよな。ワンチャンあるか。
いや、ねぇよ。
関係ねぇよ。天使だぞ。
「ゆーすけ。天使じゃないから。頭混乱させすぎ」
カオスんよ。でもおかしいだろ。
僕にはわからんよ。
何言ってんのこいつら。
「あと血出てるよ」
血?
「………血!!!!!!!!!!!」
「このガキ気づいてなかったのかよ」
なんで、血?ええ?!僕から出てんの?どこから…頭ァ!??
血が出て一番ヤバいところじゃないの、ここ!
いや、いいのか。
一番固いところだもんな。
血が出やすいところだもんな。
はー、よかった…。
「よくねぇよ!何するんですか!!」
「こいつ鈍すぎない?」
うるせぇな!
一度にいろいろ起こりすぎてんだよ!
天使にあって、怪我してて、治療して、襲われて絡まれて…処理できるか!こんなイベント!
というかあれだ。
血が出たってことは、あれだ。
相手はスキルや魔法を使わずに僕に攻撃したってことだ。
たぶんそうだ。
「そう」
カオスんから○をもらえた。
「てめぇさ。獣者かばうってことは、アレか?魔王信者か?」
「ええ?いや、まさか。一応打倒魔王ですよ。これでも」
「んじゃいいだろうが」
なにがだよ。
意味不明。
「獣者の肉はうまいし、皮も羽も装備になる」
血が冷えた気がした。
いや、実際冷えたんだと思う。
ぞうっと音がするくらいに冷え切った。
後ろの悪人の仲間がほらよっと言わんばかりに何かを投げる。
それは
「うぅううう!?!?!?」
そこには 子供がいた。
犬か猫かわからない耳があって
白い体で
白い毛で
でも真っ赤で
手がなくて
「こいつ顔真っ青だぜ!ハハハ!モンスターの死骸で吐きそうになってんじゃねえよ!」
モンスター?
この子が?獣人的な子が?
ああ、食べると言ってたか。
そうか。
いやわからん。
わからないよ、僕には。
「ゆーすけ!しっかりしろって」
カオスんの声で幾分か目が覚めたらしい僕は
「ハハハ………は?」
逃げた。
それはもう全力で。
両腕にはあの子達もいます。はい。