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第6話



「身分証は?」



ミブンショウ、ミブンショウ。

なんと世知辛い異世界なんだろうか。始まりの街で街に来た人追い返すなよ。ゲーム始まりもしねーじゃん。


ってかはじまりの街だぞ

関所置くなや



「だからって逮捕されんでもいいのに」


「うっせぇ」



身分証は落としたと言って、適当に父親の名前と連絡先も言ったけど許してもらえず、追い返されること5回目、僕は牢屋に入れられた。


解せぬ。



「いや、わかりなよ」


「業務妨害って言葉が異世界にあってたまゆかよ」


「いや、実際にあるし。ゆーすけの希望通り街には入れたじゃん」


「牢屋だけどな!」



牢屋に入れられてこうも平静を保てるのは僕のレベルが高いからである。

もし誰かが何かしようとしても、僕のメテオストームに適うレベルの人間はここにはいない。というかこの世界にいない。



「それで、どうするの?」


「女神のことを言わずに、身分証がない理由が言えると思うかよ」



ちなみに音は漏れないように音無の魔法をしている。

独り言野郎にはなりたくない。



「ド田舎から来たことにすればいいよ」


「どこって聞かれたら?」


「マップスキル使って」


「ん」



マップスキル。脳内にこの世界の地図が出るやつだ。


発動すると、遠い目線から徐々に近づけることができる。精霊に誘導された位置には、何も無かった。



「ここ出身とか」


「…僕、?野生児かな?」


ここに住める生き物って、猿かチンパンジーかゴリラだと思うんだけど。



「正直それでもいいと思うよ。小さな村がモンスターに潰されるのもよく話だし」



意外にも真面目な返答だったらしい精霊は真剣な顔で腕組をしている。

いや、顔、僕なんだけどね。



「そっか。じゃ孤児で各地転々としてたって感じにしようかな」


「うん。というかね、ゆーすけが逮捕された原因は他にあるんです」


「ん?」



腕組精霊は、大真面目に言った



「ゆーすけ、言葉通じてないよ」



わっつ?

なんて、言いましたか!?



「私がいるからあっちの言葉は通じるけど、ゆーすけの言葉はこの世界のもんじゃないし、通じてない」


「なんで!?」


「ゆーすけがスキル使わないからだよ」



恐る恐るスキルリストを見る

大量にありすぎて一つ一つわかるかよ……って、あったわ。


スキル:バイリンガル



「スキル名がわかりづれぇんだよ!」



霊体(せいれい)殴りくらいわかりやすいのにしろよ!カタカナの羅列はやめろよなぁ!


………いや、いい

この世界のクソ仕様には慣れねばならない。

先のことを考えよう。


このスキルを発動するとして、だ。

どうしよう。

正直今さら喋れたところで許してもらえるか?貰えないよな。なにせ結構暴れたし。



「おい、出ろ」



看守?が現れる。

僕は音無の魔法をとき、バイリンガルスキルを発動。


今ここしかない!ここしかないんだ!!



「すみませんでした!!地方の生まれで言葉もわからず、コミュニケーションがとれないばかりか、謝罪すらできず誠に申し訳ございません!しかしながら身分証の所持はなく、孤児ですので親を紹介することもできません。ですが、こちらの素晴らしい街には是非とも入らせて頂きたく、何卒ご容赦願いたく…」


「あっそ。じゃこの街には二度と来ないように」



追い出されました。

バイリンガルスキル、役たたねぇ。





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