第1話
鳥のなく声。
爽やかな風に温かな太陽。
のどかな草原の下で僕は目を覚ました。
生まれ故郷とは全く違う景色に驚くことはない。
僕は立ち上がる。
そして、両手の拳を固く握りしめ天に向かって叫んだ。
「くそったれーーーーー!!!」
話は少々遡る。
僕は山田。山田勇輔という。
年は16で、明日から高校生という…まぁよくいる平凡なガキだ。
趣味も得意技も特にない僕だけど、何故か現在、非日常を味わっている。
「こんにちは。ヤマダさま。私は女神です」
……なんとまぁ美しい女性ですこと。
女性耐性0の僕には少し刺激が強い、なかなかにハレンチな格好をしてらっしゃる。
それよりなんて?
女神様だって?
「ヤマダさま。世界をお救いください」
真っ白い空間で女神を名乗る美女が世界を救えと言う。
なるほど。僕は察した。
「理解が早くて助かります」
そう。あれだ。
異世界へ召喚というやつだ。
ラノベでも漫画でも流行に衰えの見えないジャンルのやつ。
まさか自分の身に起きるとは!
「ヤマダさまには魔王の侵略に怯える世界に行って頂きたいのです。もちろん安全な国から来て頂く恩赦として、所謂チートというものを差し上げます」
はいはい。
お決まりなやつですね。
うへへへへへへへへ。
「世界の名はレイドクレイス。そこは地球のゲームのように、レベルの概念があり、スキルや魔法があります。
ヤマダさまは最初からそのレベルを最大値にいたします」
おおおお!!!
「その他魔法にスキルも数多く用意致しました」
おお!おおおお!おおおお!!
「最後に知識不足を補うため、戦力にはなりませんが私の配下の精霊をお共につけましょう」
おおおおおおおお!!
レベルはマックス!
スキルに魔法も充実!
知識不足も補填済み!!
いいでしょう!いいでしょう!
というか拒否権ないもんね!
そうでしょ!?
「はい」
ほらねー!
知ってた!知ってましたよ!
拒否権あるラノベ読んだことないもん!
「ヤマダさま。申し訳ありませんが、時間がありません。この一瞬も人々は苦しんでます。こちらにサイン頂いて……」
はいはい、サインね。
おけーおけー。
というか、あれね、思ったより現代チックね。文書くそ長い。
ああ、いいですよー。文句はないですって。
ホイホイっと
「それでは転送いたします。お好きな場所を選べますが…」
いやいや、それはもちろん始まりの街的なとこで!
「かしこまりました」
女神に誘導され、転送準備にはいる。僕の心は始終わくわくしっぱなしで、正直話半分で聞いていた。それは、転送開始の合図で体がキラキラしてきても変わらない。
「それでは、ご武運を」
おお!おお!?
体がふわりと浮いて、徐々に体が光っていく。
これが転送。
僕の無双チート(なるべくハーレム)物語の始まりだ!
「あ。そうだ。ヤマダさまの場合はレベルは下がっていくものですのでご注意を」
………え。なんて?
そして今に至る。
のどかな景色とは反対に心の中は真っ暗だ。
なに?レベルが下がる?
そんなことあるかよ!
ありえねぇわ!!!
「ということで、ヤマダさまの成り下がり物語の始まり始まりー」
うるせぇーーー!!
手に取ってくれてありがとうございます!
亀更新予定ですが、PV度合いで変えるかもしれないです(^^)