表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

プロローグ

 短編の「転生した私は乙女ゲームのヒロイン役から逃れたい」を元にした作品です。


 題名自体を変更しました。

短編の内容は五話、六話辺りまでで、それ以降が短編にはない続きの内容になります。

色々と話を追加しているので、短編には無い内容もありますが、ご容赦ください。


「グレース・ウォール公爵令嬢と婚約破棄をする」


 現在、卒業生は卒業式の途中である。この後在校生と合流し、卒業パーティーが開かれる予定だ。

在校生は卒業生が来るまで、のんびりと食事や談話をしながら楽しんでいるはずだった。


 そんな時にいきなり聞こえた婚約破棄の言葉。その瞬間、その場にいた全ての令息、令嬢、そして給仕をする使用人や楽団までもが凍りついた。


 この国の第二王子であり、この場を取り仕切るはずのナルディス・アルセレスが婚約者であるグレース・ウォール公爵令嬢を前にそう言い放ったのだ。


ナルディスに名指しされた彼女は「今初めて聞きましたわ」と言わんばかりの顔で、彼を見つめている。

彼女の驚いた顔に満足したのだろうか、ナルディスや彼の後ろに控えている取り巻き--宰相の令息であるボリック・ルーゲン公爵令息、大将の令息であるノーキン・ウィーマ侯爵令息、そして学園の保健室を担当する教師であるシュニッツなのだが--までもが意気揚々とした顔で彼女を見下している。


「婚約破棄……承知いたしました。ですが、このような場で大々的に話を進めるのは如何なものかと存じますが?」


 暗に「この場で婚約破棄するなんて馬鹿じゃないの?」と言っているのだが、その事にも気づいていない。こんなにも王子は空気の読めない頭だったのだろうか。乙女ゲームでなら許せるけど、現実(リアル)で婚約破棄は……ため息しか出ない。


「ふん、グレース。お前が逃げられないように、彼女に対しての無礼を周知させようと思ってな。彼女は将来の王妃だ。謝罪してもらう」


 ナルディスは後ろに隠れていた令嬢に目をやると、彼女は嬉しそうに頬を染める。その姿に彼以下取り巻きたちは、鼻の下を伸ばす。

将来の王妃とは、男爵令嬢の彼女の事だろうか?そもそも彼が王太子だと決定しているような発言だが、実際はナルディスが卒業した年に王太子が決まる……その事を理解しているようには見えない。王族として大丈夫なのだろうか。そんな空気が辺りに充満しているが、本人たちはそんな空気などお構いなしに、男爵令嬢とイチャついている。


ーーああ、私たちの予想通りになったなぁ。


 私はグレース様とナルディスたち取り巻きを遠目に見ながら、乙女ゲームのシーンを思い出す。

 乙女ゲームでは私が主人公(ヒロイン)なのだが、私はヒロインの立場を()()()()、現在はゲームで言えばただのモブの立ち位置ではるか後方で控えていた。取り巻きに囲まれている男爵令嬢は、元々ヒロインのサポート役のミリアと言う男爵令嬢だったが、現在はヒロインとしてあの場に立っている。


 乙女ゲームを遊んだ事がある人なら、「何故ヒロインの立場を降りたのか?」と思うでしょうが。そんなの、面倒だし興味がないからに決まっている。ゲームだから許されるのであってーー特に逆ハーレムエンドなんていうものは、リアルでやればヒロインはただの娼婦にしか見えないし、私は周囲からそんな目で見られるのを耐えられるほど、神経が図太くはない。


 ちなみに私に乙女ゲームの記憶が流れ込んできたのは、男爵家に引き取られた時だったーー



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ