再会
毎日いつも同じ日々を繰り返している
しかし僕の心を埋まってくれないこの感覚はなんだろう
いつかの僕の心は埋まってくれるのだろうか
このぽっかりと開いた穴はいつか埋まってくれるのだろうか
僕はいつものように起きてしまった
日曜日だというのにいつもの時間に
これはすごくもったいない気分に思えてしまう
別に何か用事があるわけでもなく目が覚めてしまった
二度寝しようと思えば寝てもいいのだがなぜか寝る気が起きない
そういうときは本当に僕はもったいなく思ってしまう
(こんな時間におきることもないのに。)
朝が早いせいか店も開いていない。
24時間営業というものは僕の町にはなく
コンビニも隣町に行かないといけない
とにかく朝早く起きてもなにもやることがないのだ
「お茶でも飲むか」
お湯を沸かしに台所に向かうと玄関に郵便物が入っていた
見てみると一枚のはがきがあった
差出人がなんかかすれて読めない
水性ペン?ちがう!万年筆で書かれている文字だ
裏を見ると何も書かれていない。写真になっている
それにしてもどこの風景だろう 自分の知らない場所だ
僕の住んでいる町より田舎の風景
小さい島の山の上から海に向かって取った写真に見える
そこでケットルの音がピーと鳴り響く
ふいに紅茶のティーバックを手に取った
そして砂糖を一杯、二杯、三杯と入れだした
はっと気がつき砂糖を入れてる手を止める
(僕は何をしているんだ)
お茶ではなく、なぜ紅茶? なぜ砂糖を入れだした?
なんだこの感覚は。
この写真の景色は本当に身に覚えがない
山から見下ろした風景 眼下に広がる緑豊かな森、そして広い海
山道も見えない森と海 どこの風景なんだ?
もう一度 差出人の名前を見る
そこには友人の名前が書かれていた。「まさか!」
そして名前の下には小さく島の名前が書かれていた
「神島の風景」
僕はあわててカレンダーを見る
高校のとき交通事故で亡くなった友人の命日だった
紅茶、甘い紅茶。 そうかそうだったのか
心配で逢いにきてくれたのか ありがとな。
「友人へ
僕は元気です 気落ちするときあるけどさ
心配することないよ でも本当に逢いにきてくれてありがとな」
友人の墓前で僕の近況を伝えていた
友人がこれから心配することのないように。