♪ 1.野原 9 ~ 恩人は別腹 ~
セロフィート
「マオはワタシの『 恩人 』です。
『 恩人 』と『 離れたくない 』と思うのはオカシイです?
『 恩人 』を傍に置いて『 独り占めにしたい 』と思うのはオカシイです?
ワタシは自分の気持ちに正直に行動しただけです。
其が嫌なら、マオ……君はワタシに遠慮等せず、ワタシを拒めば良かった。
ワタシを拒絶して逃げれば良かった。
──そうでしょう?
然し、君は其をしなかった。
折角…人間で居られる道を敢えて残したのに…君はあろう事か、ワタシの差し出した手を取りました。
ワタシとしてはマオが『 ワタシを必要としてくれている 』と思いましたし、嬉しかったです。
ワタシの思い上がりです?」
マオ
「──っ(////)
そんな事…ないっ!!」
セロフィート
「自惚れてもいいです?」
マオ
「…………う、うん(////)
オ…オレにだけ、だぞ?(////)
(『 恩人 」かぁ…。
だよな〜〜〜……。
其だけ…なんだよな…。
結局さ…セロにとってのオレは『 恩人 』なんだ…。
『 恩人 』なのは…別に嫌じゃないけど……。
セロの傍に居られるなら『 恩人 』でも構わないんだけど……。
何か…遠い…よな〜〜〜〜…… )」
セロフィート
「ふふふ♪
勿論、マオに『 だけ 』です。
安心してください。
ワタシだけのマオ♪」
マオ
「……うん…(////)」
セロフィートに手を握られ、指を絡められたマオは顔を赤らめた。
赤面し、俯くマオを見下ろすセロフィートの双眸は、マオを冷視していた。
退屈を紛らわせる為の玩具が、自分に対して、恋愛的な感情を抱いているであろう事は、恋愛的感情も性的欲求も持ち合わせていない人形にも分かる。
其故、人間嫌い( マオが勝手に思っているだけ )のセロフィートは、お気に入りの玩具が望んでいるであろう『 両想いごっこ 』にも暇潰しの一環として、態態付き合ってあげている──という訳だ。
セロフィート
「≪ 聖地 ≫が動物達の安息の地となり、新たな住処となれば、動物達が餌を求め、人間を襲う必要も無くなります」
マオ
「…………人間を襲わなくなるから、人間から襲われなくなる……か。
ん〜〜〜でも〈 猟師 〉は動物を狩るけど…其は良いのか??」
セロフィート
「〈 猟師 〉は悪戯に、軽率に、動物の命を奪う〈 密猟者 〉とは違います。
〈 猟師 〉は命の尊さ,重さを知ってます。
必要な時に必要な分だけ『 大自然の恵み 』を分て貰う事を〈 久遠実成 〉から許しを受けてます。
〈 猟師 〉は欲張りません。
決して私利私欲の為に狩りをしません。
何故か分かります?」
マオ
「えぇっ?!
何でって…………し、自然の恐さを知ってるから……とか?
自然と仲良くしとかないと駄目だ──って思ってるから…とか……かな??」
セロフィート
「其もあるでしょう。
1番は〈 久遠実成 〉が与えられておられる『 大自然の恵み 』に対して『 感謝の念 』を持ち続け、後世の子孫へ残し、伝え続けた生活をしているからです。
〈 久遠実成 〉と『 大自然の恵み 』への『 感謝の念 』を忘れ、命を軽視すれば『 大自然からの恩恵 』は得られなくなり、住み慣れた土地を離れなければならなくなります。
〈 密猟者 〉は〈 猟師 〉とは違い正反対です。
〈 久遠実成 〉へも『 大自然の恵み 』へも『 感謝の念 』を抱きません。
自分達さえ良ければ、命を軽視しますし、貪欲に、私利私欲の為に幾らでも命を奪います。
〈 密猟者 〉は〈 久遠実成 〉が悪行に対して与えておられる罰──罪悪に対する報い、咎めを畏れません。
〈 久遠実成 〉は時に応じ、機に臨み、宜しきに遵って罰を与えられておられます。
人間が作った規律よりも〈 久遠実成 〉の戒めの方が手厳しいです。
──人為法では、野菜を盗んだくらいでは、軽い刑罰で済んでしまいます。
ですが〈 久遠実成 〉の罰則には『 死刑 』という厳しい極刑もあります。
其なのに人間は、此の様な事実を軽く事故死ぐらいにしか考えず、見逃してます。
マオ、何故か分かります?」
マオ
「えぇっ?!
何故って…………〈 大陸神エルゼシア様 〉を信じてない……から…とかか??」
セロフィート
「ふふふ。
其もあります。
其と『 真の道徳 』と『 四恩 』を知らない事も関係してます」