♪ 1.野原 8 ~ 聖地にしよう ~
質問して来たマオに言うとセロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させた。
するとどうだろう、獣の墓を中心に光りが現れると、半径1kmの地面が光り出した。
マオ
「な、何が起きたんだよ?!」
セロフィート
「荒らされない様に獣のお墓を中心にして半径1kmに〈 古代魔法 〉を使いました。
〈 古代魔法 〉が解除される迄、獣のお墓は守護られ続けます」
マオ
「へぇ?
〈 魔法 〉で、そんな事も出来るんだな〜。
凄いな!」
セロフィート
「〈 元素魔法 〉では出来ません。
〈 古代魔法 〉だから出来る事です」
マオ
「そうなんだ?
〈 古代魔法 〉って〈 元素魔法 〉ってのと違うの??」
セロフィート
「違います。
〈 元素魔法 〉は〈 素質 〉があれば使えます。
〈 古代魔法 〉は〈 素質 〉があっても使えません。
〈 古代魔法 〉は発動条件が複雑で難しく、人間には不可能です」
マオ
「ふ〜ん……。
セロにしか使えない〈 魔法 〉なんだな…」
セロフィート
「そうなります」
マオ
「( やっぱ…セロって凄いんだな…。
『 なんちゃって〈 吟遊詩人 〉( 自称 ) 』なんて本当なら言えないじゃんか…。
でも…セロはオレを怒ったりしないよな…。
何でだろう??
…………其が『 特別 』って事なのか?? )」
セロフィート
「此処は安全地帯となりました。
マオ、行きましょう」
マオ
「あ…うん……だな」
マオは先に歩き出したセロフィートの後を追う様に歩き出した。
マオ
「『 安全地帯 』ってどういう意味なんだ?」
セロフィート
「行き場の無くなる動物達にとって、かけながえのない場所となる地──という意味です」
マオ
「何だよ、其の──『 行き場の無くなる動物達 』ってさ??」
セロフィート
「何時の時代も人間は動物達の住処を奪うものです。
大事な住処を追われ、奪われた動物達は行き場を失い途方に暮れます。
新たな安息の地を求め、移動する動物達も居ます。
移動をしない動物達も居ます。
残った動物達は何をすると思います?」
マオ
「何を??
…………何をするんだよ?」
セロフィート
「住処も食糧も失った動物達が取る行動は1つです。
餌を確保する為に人間を襲います。
人里を襲う事もあります。
人間は彼等の視点では、大事な住処を奪った『 悪き敵 』です。
報復がてらに襲った所で彼等の心は痛みません。
奪った側が襲われる──。
此は何時の時代も変わりません。
人間が進歩し、発展し続ける限り繰り返される事です。
人間は『 人間を中心に世界が動いている 』と慢心してます。
傲慢な考え方を改めなければなりません。
〈 久遠実成 〉の大いなる慈悲に依って『 生かされている 』存在の中の1つでしかない事を知らなければなりません」
マオ
「………………耳の痛い話だな…」
セロフィート
「そうです?
マオは人間である事を捨て『 ワタシだけのマオ 』になってくれました。
マオには関係無いです」
マオ
「(『 ワタシだけのマオ 』って(////)
何か恥ずい(////) )
……関係無いかもだけどさ…」
セロフィート
「人間達の勝手な都合で理不尽に住処を奪われた動物達が、再び人間達に襲われ、蹂躙されてしまうのはあまりにも可哀想だと思いません?」
マオ
「そ…其は……。
…………うん…思うけど……」
セロフィート
「其の為の『 安全地帯 』です」
マオ
「人間から動物達を守護る為の土地……か?」
セロフィート
「ふふふ。
身勝手で野蛮で欲深い人間達から、か弱い動物達を守護る為の安息の地──。
『 安らぎの森 』という名の数少ない≪ 聖地 ≫となります」
マオ
「…………セロは本当に人間が嫌いなんだな…。
………………何で人間が嫌いなのにさ…オレを傍に置いてくれるんだよ…。
オレだって…セロが嫌いな人間だったろ??
分かんないよ…」