♪ 2.森の奥 4 ~ 真相の解明 4 ~
マオ
「{ 折角助けた村人の達磨姿なんか見たくないよ。
達磨にしないでくれよ… }」
セロフィート
「マオ…。
出来る事なら、君の気持ちを汲みたいです。
ですが…事と次第に依っては出来ない事もあります。
其が今回です」
マオ
「──タシル?」
セロフィート
「デイシルさん、正直に話してください。
何をする為に獣へ近付きました?」
デイシル
「何って──。
…………アンタ達には関係無いよ…。
……獣から助けてくれた事は礼を言う…。
だけどな…俺達が何をしていたか何て、アンタ達には関係無いんだ…」
セロフィート
「白状してはくれませんか…。
致し方無いです…」
そう、セロフィートが言うとデイシルの左足が消え出した。
デイシルは身上に突如起こった現象に驚くと、けたたましい悲鳴を上げた。
自分の左足が徐徐に消えていく恐怖にデイシルは耐えられない様で『 何とかしてくれ! 』『 助けてくれ! 』と美し過ぎる〈 吟遊詩人 〉のセロフィートを見上げて、助けを乞う。
セロフィート
「助かりたいのなら、正直に白状なさい。
其だけが、デイシルさんの助かる方法です」
マオ
「おいっ!
話が違うじゃないかっ!!
何で足を消してるんだよっ!!
今直ぐ止めろよっ!」
セロフィート
「出来ません」
マオ
「はぁぁぁ?!
『 出来ません 』だぁ?!
ふざけるなよっ!!」
セロフィート
「ワタシはふざけてません。
真剣です」
マオ
「セロ!!」
セロフィート
「マオ。
今のワタシは『 タシル 』です」
マオ
「──っ、そんなの知るかよっ!!
今直ぐ足を元に戻せ!!
両足が無くなったら歩けなくなるだろ!」
セロフィート
「足が無くなれば、獣を襲えなくなります」
マオ
「セロっ!!
オレは、オレは──、こんな目に遇わせる為に獣から助けたんじゃないんだぞ!!
止めてくれよ!
なぁ、頼むから!」
マオはセロフィートのコートを掴むと激しく揺するが、セロフィートは平然と立ったまま至って涼しい顔をしている。
マオ
「セロ、無視すんな!
聞こえてるんだろ!」
マオがセロフィートを譲っている間に、デイシルの左足は既に消えており、右足も既に消えており、左指が消え始めていた。
マオ
「セロ!!」
セロフィート
「マオ…。
デイシルさん、未だ話してくれる気にはなりません?
此のままでは両脚同様、片腕も消えてしまいます。
其でもデイシルさんは構いません?」
セロフィートの心地好く穏やかで優しい声は、デイシルの『 目的は絶対に明かさない 』という決意を揺るがせた。
其でもデイシルは口を開かず、黙りを決め込んでいた。
例え、両脚と同様に左腕を失い、右腕さえも無くしてしまっても……、デイシルは強情にもセロフィートとマオへ何も話さなかった。
両脚と両腕が〈 原質の源 〉へ変換され、消えてしまい、失ってしまったデイシルは、セロフィートの言う通り、達磨となってしまった。
絶望的な表情でデイシルはセロフィートを見上げている。
あまりのショックで声が出ない様だ。
セロフィート
「完全な達磨体型とは言えませんけど…。
どうです、マオ。
太らせます?」
マオ
「いい加減にしろ!!
オレは『 止めろ 』って言った!!
『 元に戻せ! 』って言ったよな?」
セロフィート
「マオ…。
元へ戻す事は出来ません。
一度〈 原質の源 〉へ変換してしまった物は元通りには出来ません。
デイシルさんは一生彼のままです」
マオ
「…………何で……何で…セロは何時も簡単に酷い事が出来るんだよ!
こんな事して、セロは心が痛まないのかよっ!」
セロフィート
「ワタシは人形です。
人間と違います。
痛む心等…初めから持ち合わせてません」
マオ
「な゛っ……」
セロフィート
「人形に人間と同じ感情を求めないでください」
マオ
「……………………そんな…」
セロフィート
「マオ…。
そんな顔をしないでください。
此はデイシルさん自身が選んだ結果です。
マオが気にする事も心を痛める事も無いです。
其に此の程度で、デイシルさんは死にません」
マオ
「死なないからって、何してもいいって事にはならないだろ!!
オレ……セロには、こんな事してほしくないんだよ…。
人間の事は嫌いでも構わないよ。
だけど──、こんな酷い事は……止めてくれよ…。
…………悲しいよ…」
セロフィート
「面白くないです?」
マオ
「──セロ!
未だ…そんな事言うのかよ!」
セロフィート
「マオ…。
機嫌を直してください。
口を割らないデイシルさんは、もう要りません。
マオの好きにしてくれていいですし。
──ね?
マ〜〜〜〜オ♪」
マオ
「──触んな!
オレに触るなっ!!
セロの馬鹿野郎!!
お前なんか──嫌いだっ!!!!」
マオはセロフィートの手を強く叩くと、走って森の中へ入って行った。




