♪ 1.キャンプ地 5 ~ 初めてのダンジョン ~
セロフィート
「マオ?
どうしました?」
マオが自分から離れた気配に気付き、マオに声を掛ける。
マオ
「…………別に…オレは……気にしてないし…」
セロフィート
「そうです?
──あぁ、そうでした!
マオの為に≪ ダンジョン ≫を作りました」
マオ
「はぁ?
ダンジョン??
何だよ…≪ ダンジョン ≫って…」
マオは明かに不貞腐れた不機嫌な声でセロフィートへ聞き返した。
セロフィート
「おや?
御機嫌斜めですか。
今夜は止すとしましょう」
マオ
「え??
別に止めなくてもいいだろ?
教えてくれたって……」
セロフィート
「知りたいです?」
マオ
「知りたい……です(////)」
セロフィート
「ふふふ…。
良いでしょう。
マオ、此方へいらっしゃい」
マオ
「…………う、うん…(////)」
セロフィートに手招きされたマオは、素直にセロフィートの近くへ寄った。
マオ
「其で…≪ ダンジョン ≫って何だよ?」
セロフィート
「ふふふ…。
マオは基礎体力トレーニングを毎日してますね」
マオ
「う…うん。
してる…けど。
其がどうしたんだよ?」
セロフィート
「毎日トレーニングを欠かさないマオの為にワタシが作りました」
マオ
「ふ…ふ〜ん?」
セロフィート
「マオは自分の実力を知りたくないです?」
マオ
「…………オレの実力??」
セロフィート
「はい。
マオが自分の実力を知る事の出来る≪ ダンジョン ≫です」
マオ
「へ…へぇ……」
セロフィート
「話すより直接見た方が早いです」
ソファーベッドから腰を浮かせたセロフィートは、マオの左横に立つと〈 古代魔法 〉を発動させた。
〈 魔法陣 〉が現れると、セロフィートとマオの姿は其の場から消えた。
──*──*──*── ダンジョン
マオ
「…………此処って……洞窟の中…なのか??」
セロフィート
「洞窟っぽい方が雰囲気出ますし。
マオ、少し歩きましょう」
マオ
「歩くって?!」
セロフィート
「先ず…≪ ダンジョン ≫の中を探索します」
マオ
「た、探索ぅ?!
──あっ、待てよ、セロ!」
マオは先に歩き出したセロフィートの後ろを追い掛ける為に駆け出した。
セロフィート
「此の部屋は1階です。
《 練習場 》だと思ってください」
マオ
「《 練習場 》だぁ?
何を練習するんだよ?」
セロフィート
「勿論、怪物を倒す練習です。
安心してください、マオ。
マオの実力に応じた怪物が出る様にしてます。
怪物と遭遇したら戦って倒してください」
マオ
「怪物?!
た…戦うって……」
セロフィート
「黄色の〈 魔法陣 〉は≪ ダンジョン ≫から出られます。
赤色の〈 魔法陣 〉は、地下へ進めます。
緑色の〈 魔法陣 〉は、マオの体力を回復します。
忘れないでください」
マオ
「…う、うん…。
分かった…。
──あっ、セロ!
青色の〈 魔法陣 〉は何なんだ?」
セロフィート
「地図が入手出来ます」
マオ
「地図??」
セロフィート
「洞窟の地図です。
地下に着いたら、近くに青色の〈 魔法陣 〉が出ます。
直ぐ地図を入手出来る様にしてます。
緑色の〈 魔法陣 〉は、赤色の〈 魔法陣 〉の近くにあります。
体力を回復させてから、赤色の〈 魔法陣 〉に入る様にしてください」
マオ
「お…おう……。
分かったよ…」
セロフィート
「マオ…≪ ダンジョン ≫の中の1日は、外の時間で60分です。
安心して洞窟の探索を進めてください」
マオ
「え?!
此処と外で時間の流れが違うのか??
そんな事出来んの??」
セロフィート
「出来るから作りました」
マオ
「…………あ…そっか……。
──っていうかさ、全然だな。
怪物なんて出て来ないじゃんか」
セロフィート
「ワタシが居るからです。
マオ、ワタシは戻ります。
楽しんでください」
マオ
「えっ?!
オレ…1人で探索するのかよ?!」
セロフィート
「ワタシが居ては怪物が出現しない様ですし。
あぁ…そうです。
倒した怪物は、光の粒子となって消えます。
ドシドシと怪物を倒して、マオは実力を付けてください」
マオ
「……………………。
あっ、そうだ。
地下に下りる度に怪物が強くなったりすんのか?」
セロフィート
「おや?
マオが希望するなら、そうしましょう」
マオ
「い、ぁいや……希望はしてないけど!!」
セロフィート
「そうです?
怪物を強くして欲しい時は言ってください」
マオの頭に手を載せたセロフィートは、マオの髪を優しく撫でた。
セロフィート
「怪我をしない程度に頑張ってください。
マオ、良いです?」
マオ
「う、うん…(////)
分かったよ…(////)」
マオへ優しく微笑んだセロフィートは、マオへ手を振ると≪ ダンジョン ≫から姿を消した。
≪ ダンジョン ≫の中に1人きりとなったマオは、手に入れた地図を見ながら、赤色の〈 魔法陣 〉を探して再び歩き出した。