♪ 1.野原 10 ~ 四恩 1 ~
マオ
「『 真の道徳 』と『 四恩 』……って何だ??」
セロフィート
「『 四恩 』はマオにも解ると思いますけど……。
『 真の道徳 』はマオには難しいと思いますよ?」
マオ
「ムッ!
馬鹿にすんな!
分かんないとか分かるとかは、オレが決めんの!
聞かせてもくれないのに決めんな!
いいから、教えろよ」
セロフィート
「はいはい。
〈 久遠実成 〉は道徳の施行を監察しておられます。
『 真の道徳 』の中に『 四恩 』が入ってます。
人間には決して忘れてはならない4つの恩──『 四恩 』があります。
『 恩 』とは…今、生活している因を考え、感謝する気持ち,心です。
『 四恩 』とは…〈 久遠実成 〉,先祖,社会,物に対して、心から感謝する事です。
──1つ目の恩は『 〈 久遠実成 〉への恩 』です。
此の世の中の、総てのものを動かしておられる1番の因が〈 久遠実成 〉です。
ワタシ達が此処に居る事。
ワタシ達の暮らしている≪ 大陸 ≫がある事。
ワタシ達の生きている『 地球 』という星がある事。
此の総てが〈 久遠実成 〉から与えられています。
其の中で、生きとし生けるものは、生かされています。
〈 久遠実成 〉に対して『 有難う御座います 』『 感謝をしています 』という気持ちが大切です。
此が〈 久遠実成 〉に対しての『 恩 』です。
──2つ目の恩は『 先祖への恩 』です。
マオが、此の世に生まれ、生活出来ているのは、誰のお蔭でしょう?
また、育ててくれているのは、誰なのかを考えてみましょう」
マオ
「…………オレの場合は…マーフィだよ。
今は独り立ちしてるから、育てられてないけどな」
セロフィート
「ふふふ。
マオには、生みの親と育ての親が居ますね。
両親が居たから、マオが居ます。
其の両親には、其其の祖父母が居たから居るのです。
そして、祖父母には、曾祖父母……と、数え出したらキリがないです。
此の様に、多くの『 御先祖 』のお蔭で、今のマオが居るのです。
其の御先祖に『 有難う 』の気持ちを伝える事が大切です。
此が御先祖に対しての『 恩 』です」
マオ
「…………なぁ、セロ…。
『 有難う 』の気持ちを伝える為にはさ…どうしたらいいんだ?」
セロフィート
「何も、難しい事はないです。
亡き御先祖へは、毎日、手を合わせて〈 久遠実成 〉へ冥福を祈る事,お墓参りへ行く事です。
生きている御先祖 ──マオにとってはマーフィですね。
心配を掛けない事,喜んでもらう事でしょうか」
マオ
「え゛っ?!
……心配を掛けない事と…喜んでもらう事──って……。
其、今のオレには無理じゃんかさ!
離れ離れじゃん?
出来無いだろ……」
セロフィート
「そんな事ないです。
手紙を書いて、マオの近況報告と元気で居る事を伝えるのも1つの方法です。
どうです?
簡単でしょう?」
マオ
「……手紙…かぁ……。
…………オレがマーフィに手紙を出すのかよ?
何か恥ずかしいんだけど?!
オレ…マトモに手紙なんて書いた事ないんだぞ?
…………恥ずかしい…なぁ(////)」
セロフィート
「ふふふ…。
手紙を書く時はワタシも手伝います。
先代は自作の物語りを書くのが好きでしたし。
マオの力になれると思います」
マオ
「本当か?!
有難な、セロ!
手伝って貰えるなら手紙も書けそうな気がするよ!」
セロフィート
「ふふふ♪
其は良かったです♪
マオに喜んでもらえてワタシも嬉しいです。
マオ…(////)」
ニコリ──と柔和に微笑んだセロフィートは、マオの身長に合わせて屈むと、マオの唇に自分の唇で軽く塞いだ。
マオ
「──んっ?!」
セロフィート
「──マオとワタシの約束です。
ふふふ♪」
塞いだマオの唇から自分の唇を離したセロフィートは、クスクスと上品に笑いながらマオに言う。
あまりにもマイペース過ぎるセロフィートを真赤にした顔で見上げるマオは、まるで金魚の様に、動揺したまま、口をパクパクするしかなかった。
セロフィート
「──ふはっ…。
マオ…どうしました?
其の顔──おっ面白いです♪♪♪
ふふふふふ……ふはっ!」
セロフィートはクスクスと笑い出した。
どうやら、マオの『 口パクパク 』の様子は、セロフィートのツボに入ってしまった様だった。
マオ
「──わ…笑うなよっ(////)
セロが悪いんだろっ!!
いきなり──…………すんなよ…(////)
は、早く『 四恩 』の3つ目を教えろよな!」
セロフィート
「はいはい。
そうします。
ふふふ♪」
マオ
「も、もうっ…(////)
笑うの禁止だっ!!」