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ノスタルジアの箱  作者: 水菜月
真白き冬にて。
26/27

シナモンと温もり


シナモンスティックを

僕に向かって くるくる回してる君。

魔法の呪文をかけて、恋に堕ちろって 唱えてる。

目回らないよ。そんなの、無駄だよ。

だって、もう僕はとっくに 君のとりこ。


君は いつだって勝手な人。

甘えたくなったら、僕のところにもどってきて

すりよって ねこみたいに ごろごろするんだ。

そんなことで 僕がみんな許してしまうって わかってる。

自分の魅力を知っている、いやな女。


いつもどこか別の場所に行ってて

他の誰かとふざけて じゃれてて これ見よがしに。

迎えに行かないと 帰ってこない気なの?

僕だって、プライドくらいあるんだよ。もうこれが最後だよ。


そのくせ カンがよくて

ちょっと僕が よそ見しようとすると

瞬間移動でもどってきて、じっと こっちを見てる。

なんだよ、見つめるの やめろよ。


もうあきらめなよ。叶わない恋をするのは。

君がすきな人は 君を見ていないんだよ。

孤独がすきな男なんて、ほっておけばいいのに。

もうあの部屋は とっくに出て行っちゃったんだろう?

ひとりぼっちで 過去と籠るのはやめなよ。


僕だったら、君のこと

ちゃんと抱きしめてあげるのに。

ばかだなぁ。

君じゃなくて、僕がね。


なんで、君なんだろう。

君みたいな女なんて 関わり合いたくないのに。

もういやだよ。


でも、腕にまとわりつかれたら

やっぱり、結局、ぎゅってしたくなっちゃう。

僕はいったい、どうしたらいいんだ。

そんなすがるような目をするなよ。


シナモンスティックをくるくる回す 君の指先。

紅茶からそっと香る くすぐったい スパイス。

そして、君の温もり。


ね、寒いからここにいて。

理由はそれでいい。

やっぱり、いつだって、君の魔法にかかっていたい。






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