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ノスタルジアの箱  作者: 水菜月
恋のかけら。
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24の国を旅する


本を読みながら 頬杖をついている 私の後ろで

なにやら忍者のように 足音を潜めて

すっと背後に すりよってきて

驚かせようとしている 君の気配


気づかない振りをしてあげようかな

それとも 急に振り向いて 逆におどかしちゃおうかな


やっぱり、何を仕掛けてくるか、待ってようっと




きっと君は、 私を抱きすくめようとする

私の腕ごと 身体をすっぽり包もうと

君の腕は画策して じっと息を止め 様子を窺っている


今 この時、君は 私が 愛おしくて仕方なくて

ちょっと 心臓もどきどきしちゃっているはず


ちいさなこねこを そっと抱きかかえる時のように


ふりほどいて、爪をたてて にゃーと泣いてみようか




それくらい、まだ 私たちの日は浅い

だから、全ての瞬間が まぶしくて真新しい


まだ キスも 戸惑いがちの君

いいよ、チュッてしてくれるだけでいい


君の屈託のない 他愛ない 笑ってる顔がすきだ

私に向けられる その こいぬような目がすきだよ


わたしの名を呼ぶ声が、 胸の中にこだまする


抱きすくめようとして、君は 少し私の胸にふれてしまう


そんなつもりじゃないって 飛んでいってしまった君が

莫迦みたいに いとしくなってしまって

君の手を掴んでしまった


こっちに来て




君は 旅をするのが 「僕が 僕になれることだ」って言ったね

じゃあ、ひとつひとつ 旅した国の話をしようよ

毎日、一つの国の話をね 今日は君 明日は私



私が旅したのは 12の国


イギリス、イタリア、フランス、ロシア

スペイン、アメリカ、ペルー、ボリビア

トルコ、パキスタン、シリア、ヨルダン


君のと合わせて、24の国 

重なってるけど、それはいいことにしよう


少なくとも、24の夜を 一緒に過ごせることになるね


逢えない日もあるから、もっと先まで きっといられるね




私を 君のものにしていいよ


君だったら、何をしてもいいよ


胸だって 脚だって 自由にしていいよ




でも、いつも はじめは 抱きすくめてほしい


愛おしそうに、せつなく想いをこめて


まるでいつくしむように





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