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ノスタルジアの箱  作者: 水菜月
はじまりの幻想。
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紗々紙の紫陽花


彼女の視線が はっとして動く。

紫陽花の滴の向こう側に、誰をみつめているの。


彼を見つけた途端、少女のあなたは

無邪気に 紫陽花の周りをまわって、二人はぶつかる。


この気品のある花にふさわしくない行為を

禁じられた遊びのように、ふざけて楽しむ。


彼は、横顔で 彼女を眺めている。消えるまでの間。



彼女がめくる頁には、薄い紗々(さしゃ)が かかっていて

紛れもなく あなたのものだということが

百メートル先からでも 香ってくるんだよ。

それに誘われて、蝶がやってくる。


紫陽花の色は、土によって変わるって聴いたけれど

それならば、地層にも 秘密の箱が埋められているんだね。


紫陽花の形は、四角かったり ハート型だったり

あてどないのに誰が決めるの。 ね、教えて。


淡い薄紙を 手に入れたの。

たくさん切って あじさいを 作りましょう。


うす紫、淡ピンク、緑がかった白。 気紛れに咲く金平糖のように。

甘くてせつないものたちが 集まってきた。



あなたの存在は、雨の気配と共に 鬱陶しい梅雨さえ

まるで素敵なもののように、変えてくれる。


あなたがいてくれたから ここまで来られた。

私は雨のように、あなたに雫を届けられる存在でいたい。


気品ある 凛とした だいすきな すてきな人に。






*「紗々紙」は造語。 いとしのサーシャ。


今でも こころの中で慕い続ける かの美しい人の作品に捧げます。

たとえ、もうあなたが 私を忘れたとしても。



挿絵(By みてみん)

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