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5話 入学式5

 浩太の炎鞭を躱しながら準備を整えた裕也は両手を前に突出し、徐に浩太に向かって叫んだ


「【大演武】第4楽章パレード!」


 そう裕也が言い放った直後、地面に落ちていた5本の武器、小太刀、手裏剣、棒手裏剣、ナイフ、脇差は宙に浮かび、一斉に浩太へとその刃を向ける。


 そして、裕也の指の動きに連動して意志が有るかの如く1本1本が不規則な動きをしながら浩太目掛けて飛んでいく。


 そのスピードは、小さい分浩太の移動スピードに勝るとも劣らない。


 その事を悟った浩太は鞭のスピードを緩め、自身の移動速度を上げる。


 だが、5本の武器は浩太の鞭と同様、裕也が楽になればそれだけ勢いを増す。


 数分間の攻防で、両者の立場はほぼ真逆に成ってしまった。


 浩太が不規則な軌道の武器に戸惑って、移動速度を上げて鞭のスピードを緩めればそれだけ裕也の武器の軌道は複雑に、且つ速くなる。


 この繰り返しが不味い事は浩太にもそれが解っている筈だが、この状況では正しい判断が出来る人間の方が少ないのは当たり前と言えば当たり前だ。


「…くっ!速い!…避けてたら間に合わない!」


 咄嗟の判断でそう考えた浩太は鞭で、裕也を攻撃する方向から、裕也の武器を払う方向に切り替えた。


 だが、そうなればもはや浩太の足は止まり、鞭を使って裕也の制御する武器を払うだけに成っている。


 そろそろ終わりかな?と観客席の汐音が決闘終了の合図をしようと端末を見た時、それは起こった。




 ☆




 先ず最初に気が付いたのは、麗菜。


 兄が怪我をしないか見守っていると、不意に舞台の入り口の方から何かが出てきた。


 乱入者にしては数が多い。


 しかし、目の前で繰り広げられている戦いに魅入っている生徒は気付かない。


 それならと自分が降りて行って邪魔者を排除しようと決闘の舞台と観客席の結界を越えた直後に、イキナリ周りの汐音と生徒以外の映像の観客が消え、舞台と観客席の結界が完璧に分割された。


 残されたのは未だに状況を把握しておらず、戦い続けている二人と、麗菜自身のみ。


 しかし邪魔者は徐々に舞台の中央、戦っている二人に向かっている。


 数は10ほど。


 流石に状況が悪い為、攻撃が当たらないギリギリの位置まで近づき、大量の水を作って二人の間に投げ込む。


 すると…


「「な!なに?」」と二人して驚いて麗菜の方を向いて来た。


((いきなり入ってきて危ないじゃないか!!))


 急にこの場に入ってきていた麗菜に脳内で悪態を吐く二人だが、当の麗菜の顔が真剣そのものなので声には出さない。

 それに対して麗菜は、視線を邪魔者へと投げかけたまま、二人に対して注意を促す。


「兄様、裕也さん。私にもサッパリですが、どうやら外界との接続が絶たれたようです。そして、その寸前でこの中に放たれた邪魔者がそこに10人?います。先ずはあの邪魔者を排除しましょう。」


 言われた二人は麗菜の視線を辿って…確かに変な奴らが向かって来てる。


 実体なのか映像なのか分からないが、どちらにしてもここの技術なら、仮想敵を実体に見せている位の芸当は出来るだろう。(実際、今裕也達が見ているのは仮想犯罪者用のトレーニング用人間だ。しかも能力付で、能力は設定した者にしか分からない。)


「これはまた盛大なもてなしだね。どうする?裕也君。僕としてはこの状況の犯罪者に対して麗菜を戦わせるのは少し嫌なんだが?」


「何を言ってるんですか、兄様!相手が犯罪者だからこそ、私達の出番なんじゃないですか。私も戦います!」


(…だが、麗菜は武器を持ってない上にスーツも戦闘用で無いから一段落ちる物でしかない。ここは俺達の始末し損ねた奴を相手にして貰う程度で我慢して貰うしかないな。)


「麗菜。気持ちは分かるが、装備も正規でない麗菜が戦っても返り討ちで、恐らく後が酷い事に成る。ここは俺達のとりこぼしを始末してくれ。…それと…ファーストキスはもう済んでる?」


「「…へ…?」」


 裕也の突然の質問に硬直する二人。


 そして、聞かれた麗菜が理由を尋ねる。


「あの~、裕也さん?それはどういう理由ですか?勿論、私は残念ながらまだですが、理由もないのに唇を許すほど、未だ貴方を知ってもいませんし身を任せる心算も無いですが?」


「それに僕も賛成だよ、裕也君確かに君は強いと思うけど、ただそれだけで妹を任せる事は出来ない。…ただ、状況が状況だけに、理由を言ってくれれば後は麗菜次第だが…」


 麗菜の意見に浩太も同意し、裕也に二人の視線が集中する。


 それに裕也は仕方いとばかりに首を振り、理由を説明する。


「分かった。…が、理由を言って信用するかはお前らの自由だ。…と時間が無いな。手短に言うから良く聞け?俺の能力は浩太との戦いで見たことで解かると思うが特殊系統ではあるが、エレメントとかは関係ない人や物を操るタイプの操作系だ。物を操るのは戦いの最中でも見た通り、俺の能力を篭めた糸を付着させて操るが、それでは只操るだけだ。そして、人や、人型の物を操る時には体内に俺の能力を入れないといけない。もしもそう言うタイプの道具があれば良いんだが、今の状況では探しに行けないから簡易版で唇からって手段に成る。…どうする?もし、嫌なら体を操るだけにするけど、それだともしもの場合、能力の発動は麗菜任せに成るから、少し危険だけど?」


「キスをするとどうなるんですか?」


 麗菜がもっともな疑問を口にする。


「それは大体能力に由るけど、スピードとしては身を任せて来たら恐らく倍、慣れて自分が同じように動いて行けばそれに比例して動きも早くなる。…って来たから作戦会議終了だ。仕方ないから糸の付着だけで行くよ。もしもの場合は粘ってくれ。加勢には行くから」


 そう言って裕也は右手の指を麗菜に向け、何かを飛ばした。


 恐らくそれが裕也の言っていた糸だと思った麗菜はその糸を躱しもせずに身を任せる。


 すると、急に体が勝手に動き出した。


 しかも、敵とは逆方向に逃がされている。


「え!?何ですか!?一体!?」


 急な出来事に驚く麗菜に裕也は来た敵に武器を飛ばしながら説明する。


「だから、今言った操作の関係だよ。その糸は所謂発信機に近いから、途中の何処を切ろうとしても意味ないし、通じないけど、一応自分でも体を動かすことは出来る。…っと、邪魔!」


 説明しながら裕也は近くに来た恐らく強化系の犯罪者を蹴り飛ばす。


 加減無しで行った為、舞台の入り口の壁まですっ飛んで行った。


 その光景を見た浩太は一言


「…どうやらさっきまでのは手加減してくれていたようだね。今の一撃を喰らったら僕なんか1撃で気を失う様な衝撃だろうからね」


「それは如何かな?第一、実技の入試の結果で分かる通り、俺は能力の単体での強さはそこまで強くないんだ。言ってみれば、俺は多くの武器を使った集団戦、若しくは能力を使わない実戦が得意なんだ。後はさっき言った他人の出来れば女の子の体内に能力の糸を入れ込んで操作しながら戦う事かな?まあ、今は目の前の乱入者を倒そうか?」


「だね」


 二人はそう言いながら二手に分かれて行動する。


 裕也は麗菜が見える位置にて敵を4体。


 麗菜は先ほど裕也が蹴り飛ばした1体を、浩太は5体を相手に戦う。


 しかし、この敵は本来仮想犯罪者に特化した敵。


 その為新入生では幾ら入試の実技が良くても身体能力が伴っていない麗菜は当然の事ながら徐々に劣勢に成っている。


(…っく!速い!辛うじて見えるけど、裕也さんの糸のサポートなしでは体が付いて行かない。悔しいけど体は預けて能力の行使に集中しないと足手まといになる!)


 そう頭では判断している麗菜だが、徐々に制服が身体強化の能力者の能力で千切れ飛び、ボロボロに成って行く。


 下に装着しているスーツも所々破れて来ている。


(くぅ!少し疲れるけど、水の鎧展開!後は格闘戦で何とか粘る!)


 そう頭を切り替えて敵の懐に入る。


 しかし敵はそんな行動予想していたかのように、懐に入る直前に炎を纏わり付かせた腕を振り降ろして麗菜の前面を大きく裂いた。


 たちまち制服が飛び散り下のスーツも破れ、綺麗な肌が露出する。


 遠くで裕也が見ているので間一髪で致命傷になるのは避けられたが、これで衣服は使い物に成らなくなってしまった。


 しかも、先ほど捨てたせいでブラジャーも当ててない為、白い乳房も綺麗なピンクの乳首もむき出しだが、今はそんな事に構っていられない。


 映像が途切れて、皆に見られていないことを祈りながら、胸を隠すことなく敵に向かって飛びかかり、頭を押さえて治療の要領で体の体液をコントロールし、暴れる敵を押さえながら待つ事数秒。(映像相手におかしいとは思うが、特殊系統の能力と開発者の能力が重なれば実物と同じような現象は起こるだろうと言う考え。そして、より実戦に近づいたことが出来るようになったこの学校のシステムは、その通りの性能が有る。麗菜自体は夢中でそこまで考えて居ないが…)


 やはり映像と言うべきか、仮想敵はポリゴンと成って消失した。


「…ふぅ~、何とか1体倒せましたね。…っは!裕也さんと兄様は!?」


 額の汗を拭いながらそう思ってみると、丁度裕也が3体目を切り刻んで麗菜の相手と同じように消失している所だった。


(…流石裕也さんですね。こちらを見ながらでも同時に相手にして楽に倒してるなんて…。今からでは遅いけど加勢に行きますか)


 そう考え、裕也の加勢に行く麗菜だった。


 ☆


「…これで麗菜は大丈夫だな。なんかこっちに来てるけどもう敵は1体だから大丈夫だろ」


 そう呟きながら、己の敵と浩太の敵だった者たちを見る。


 流石と言うべきか、麗菜の動きをサポートしているとはいえ、浩太は裕也よりも早く敵を蹴散らしている。


 武器の特性もあるだろうが、なかなかに効率が良い。


 そして、裕也が最後の一体を倒し終えた所で、麗菜とそして浩太も合流した。


「裕也さん、サポートありがとうございます。お蔭で怪我せずに済みました」


「ああ、俺も見てたよ。けどこれで能力を鍛えるだけじゃダメだって事が分かっただろ?俺の領分とは違うかもだけど、義母さんの扱きは凄いから、覚悟しといた方が良いぞ?恐らくここの最先端のトレーニングシステムで、能力を使ってない普通の状態でもさっき位の敵の動きになる位は鍛えて貰えるから」


「…それは少し怖いですね。…っと、さっきから何を…って、そんなにジロジロ見ないで下さい!」


 裕也の視線を辿って自分の胸に辿り着き、慌てて両手で隠す麗菜。


 そこで浩太も微笑ながら妹に近づき


「そうだよ、裕也君?幾ら麗菜を間接的に護ってくれたとはいえ、未だ色々納得しきれていないんだから。…麗菜も、何時までもむき出しにしてないで、これでも羽織って隠しなさい。直ぐ近くに狼が居るんだから」


 裕也を見ながらそう言って麗菜に自分の服を羽織らせる浩太。


「ありがとうございます。兄様。……それにしても、どうなっているのでしょうか?急なトラブ…あ、どうやらシステムが回復したようです」


「あ、ホントだ。観客がドンドン現れてくる。けど、さっきまでのは一体どういう事かな?」


 麗菜が復旧したシステムに気付き、浩太が疑問を口にする。


 それに対して裕也は義母を見つけて目線で問いかける。


 すると、汐音もまた、その視線を受け、生徒たちと共に入り口から入ってきて状況を伝えるのだが…


「悪いな、3人とも。どうやらヴァーチャル空間のシステムが1部外部からハッキングされていたようだ。それを如何にかしようと開発関係の部署に連絡を入れて応援を頼んだんだが…、なんとか自分たちで始末できたようだな。優秀で何よりだ。それと、優秀ついでに。先ほど合流した遅れていた新入生を紹介しよう。風見翠かざみみどり。エレメントの家系で、風の特殊系統だ。しかも、驚くべきことに、エレメントの家系であるにも関わらず空間掌握の血も流れているらしい」


 そこまで紹介されてやっと裕也達の前に出てきた翠(これも野原と同じく顔が中性的で男女の区別が付かない)は不意に麗菜の胸元へと視線をやると、そのまま麗菜の前に立つ。


 それにしても何か惹きつけられる容姿をしている。


 体自体の凹凸はほんの少しあるから恐らく女性だろうが、その割には背が高い。


 教官である汐音が170位あるのだが、それよりホンの少しだが高い位だ。


 髪も金髪と同じくらい珍しい銀で、長い髪を浩太のように邪魔に成らない様に後ろで縛っている。


 そんな男女どちらか解らないような翠だが、麗菜の前で向かい合わせに何かをし始めた。


 初めは翠が自分の服の前を開いて何かを見せた後、次に麗菜の胸元に両手を持って行き…不意に空間が歪んで翠の手首より先が消えた。


 その後、麗菜が「・・・あ・・痛っ!!」という声と共に少し身を引いて、両手で胸を庇うことで儀式は終わったらしく、麗菜の顔が少し赤くなっていて、翠を恨みがましい目で睨んでいるのを除いて特に変わった変化も無く自己紹介に移った。


 そうして麗菜を後ろにし、皆の前に振り返った翠は堂々と宣言した。


「初めまして、同じクラスになった皆さん。私は先ほど紹介に上がりました風見翠。こう見えても女性だ。そして、私は美しい物が全て好きだし、醜い物が嫌いだ。そこに男女の別は無い。そして、私が今気に入った者は2名。そこの恐らく兄妹の二人だ。容姿は元より漲るオーラが美しい。しかも、今見た感じそこそこ美味しそうなオーラの子がこのクラスには大勢いる様だ。そこで今宣言しよう。私はこのクラスを私のハーレムにする。美しい物は私の物だ!男女関係なく歓迎しよう!」


「言いたいことはそれだけか?」


 ガン!っと汐音の鉄拳が翠の後頭部に直撃した。(背が足りないので頭頂部に出来なかったのだろう)


「なにをする!?」


 自分の世界に入っていた翠の意識を強引に引き戻した汐音は、至極真っ当なセリフを言う。


「ココは貴様の家では無いぞ!エレメントの家系が自己中心的なのは今に始まったことでは無いが、それでも貴様は特別に酷い!同じエレメントの家系でも、そこの水守とは大違いだ。ココは民間だから軍隊程の調教も出来んが、貴様には私からの特別指導を与えてやる!それでマシに成らなければ上級教官の指導行きだ。死ぬのが嫌なら真面目にしろ!」


「そ、そんな事を言って…。私の家系の支援金を得られなければこの学校も苦しいのではないのか!?」


(…?ココに来る奴らには、民間の会社から支援が来てるんじゃないのか?どうなってんだ?)


 余りにも意味不明な言動を言った翠の言葉に、裕也は義母に問いただす。


「なあ、義母さん。ここの支援金ってどういう事だ?ここの関係者がココに来る生徒の家庭に支援金を送ってるんじゃないのか?」


「ああ、それはな?「そこは僕が説明しましょう。」…頼む。」


 と汐音が説明しようとした所で、誰かが横から口を出してきた。


 その声に反応して裕也が見れば眼鏡を掛けた青年がこちらを伺っていた。


 そして、自分に注目が集まったところで青年は話し始めた。


「初めまして、新入生の皆さん。僕はこの関東の民間期間である、超能力者養成特務機関の開発関係の部署を任されている、赤堀圭吾と申します。皆さんが使う機械類の多くは、僕が設計を担当し、その条件に合った能力者に依頼して開発し製作して貰い、皆さんに使って貰うと言う手順ですね。中には生徒が在学中に設計、開発その他全てをやってしまう天才もいますが、それは極稀な事。常に新しい物を作る事の出来る者の出現を期待していますが、なかなかそう言う人材が集まらないのが現状です。…っと、話が逸れましたね。先ほどの君の質問ですが、確かに君の言う通りなのですが、中には中々首を縦に振らない家系もあるのです。その家系の者には、この学校を卒業後の就職先として、各エレメントの家系にボディーガードとして雇う事を条件に、エレメントの家系を通じて入学の申請をしているのですよ。その為、この学校にも比較的普通の学校よりは浅いのですが、派閥争いが存在します。その一つが風の系統の銀髪の彼女であり、水の系統の金髪の彼女なのです。…まあ、水のエレメントの家系は今は少し落ち目なので、本家のトップ数人にしか知らされていないようですが?」


 赤堀と言う青年の言葉で麗菜を見るが、麗菜は首を横に振って「私は知りません…」と言って何も知らされていない事をアピール。


 そこへ汐音が話を継いで皆に説明する。


「今の話は殆どのエレメントの者は知らされていない事だが、そこのバカ娘のように、自分の欲望に忠実な一部の馬鹿は、その事を知ってしまって自らの派閥を形成してしまっている。何年の誰とは言わんがな?我が息子に家で決闘の話をしたのも、そう言う事情があってのことだ。…まあ、別の事情で実力がバレル結果に成ってしまったがな?」


(それは悪乗りしたアンタの所為だろ!)


 裕也の心の叫びは汐音には届かず、虚空へと消えた。


 しかし、汐音の話はまだ続きがある。


「だが、我が学校はそう言った奴らの事など気にはしないし、やりたければ好きにしろ…だ。その仲裁を教官がすることは無いし、無断で決闘をしようとする者はいかなる者だろうと罰則を適用する。そこにエレメントも普通の生徒も例外は無い」


(まあ、義母さんからしたら余計なトラブルの原因だからやられて良い気はしないだろうな。)


 そういう裕也の感想を皆も持ったのか、はたまたこの会話を終わらせたいのかは知らないが、皆を代表して浩太が赤堀氏の登場の説明を求めた。


「それで、教官?そのお偉いさん?がここにいる原因は如何いう物ですか?」


「ああ、彼は先ほどのトラブルの原因を調べに来たと言う話だ。なんでも、最初に言った通り、この決闘に関しては元から明日の放課後に執り行う物だったが、今回のトラブルによって二人の途中までの決闘の様子と合わせ、新たに元のスケジュール通りの各クラスのトップから厳選したメンバーを選抜した二人を決闘させることになったらしい。その際にまた今回の様なトラブルが無い様に調べに来たという事だ」


 浩太の質問に汐音が応えた。


「それでは、説明も終わった事ですし、僕はこれで失礼します。あ、それから夜に息子さんとそこの彼、それから彼女に少々事情を伺いたいので、個人宅に伺わせて貰いますね?」


「ああ、私も少し息子に用が有ったからな、丁度いいだろう。…水守も、体を綺麗にする必要はないが、着替え位は個人宅にある筈だから、しておけよ?」


「何の話ですか!!?」


「教官の私がそんな事言える訳がないだろう?」


 何時も通り冗談を言う義母とそれの相手をさせられている麗菜に浩太と一緒に微笑みながら見ていた裕也は赤堀氏に視線を移し、この後の施設について聞く。


「ココの施設の凄さは分かりましたが、他はどんな所が有るんですか?」


 その裕也の質問に苦笑交じりに応える赤堀。


「まあ、色々あり過ぎて言いきれませんが、基本的に都市に置かれている施設と、皆が魔法と呼びそうな現象を起す装置もそこいら中にありますよ?ゲーム感覚で遊ぶ決闘もこのヴァーチャル空間で出来る位ですから。ポイント制が良い例でしょう?」


(確かに、衝撃が無かったら、さっきの戦いもゲームの様な物だっただろうな。)


「それに各種トレーニング施設に、能力者別の負荷を極限まで上げて能力の引き上げを出来る施設もあります。そこに入り浸って1年で実技が最下位から1位になった人も、今の4年生の中には居ますから。…まあ、そこに入り浸り過ぎて筆記が散々に成って1位から学年の10位まで落ちてしまったようですがね?」


「それって、身体強化系の菊池光って人ですか?」


 裕也の返事に、何を驚いたのか目を見開いて


「ほぅ~、見かけ以上に手が早いようですね。…因みに、どの姿を見られましたか?」


「?小さい子供の姿ですが?」


「…なるほど…それは残念です。…いや、良かったのでしょうか?彼女の本来の姿を見れば、男子生徒なら夢中になってもおかしくないですからね」


 赤堀氏は裕也と麗菜を交互に見てからニヤッと笑い、そう言った。


「それでは、この辺で。トレーニングは欠かさない方が良いですよ?現代魔法は知ってるとは思いますが、非常に応用力の低い物。対して超能力は実戦における様々な要素を満たしてくれる万能な物ですが、それだけに日々の努力の積み重ねが重要です。魔法を使う犯罪者もいますが、圧倒的に強いのが超能力者の犯罪者なのはそう言う事ですから。…では、失礼」


 そう言うと赤堀氏はヴァーチャル空間に入って行った。

「では、これよりトレーニング施設を見学、体験後学生棟にて食事を行い、今日は解散とする。午後からは各自自由だが、寮の者は門限を守るように!食事は各自端末に与えられているポイントで計画的に取れ。…では、行くぞ。付いて来い!」


「はい!」


 そう言う事で、一路トレーニング施設を見て回ることになった裕也達は、またもそこでトラブルに会うこちに成る。



 








 

色々と説明が多いですが、終われば文句を言ってくるエレメントの傍流とのバトルが必至です

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