第二十三話 獣耳登場
- トリオがこの砦に来て半年がたったある日のこと -
「何だその目は!お前自分の立場が分かってんのか!」
「ああ?自分の立場?ああ、知っているぞ、少なくとも俺はお前より強いけどな、プッ」
「貴様!人質の分際で」
「何を怒っているのか知らんが、文句があるなら決闘でもするか?ゾルドさん」
「決闘だ?ふざけんな!お前なんぞ決闘する意味なんざねぇよ!これはな制裁なんだよ、おい、お前ら!」
ゾルドと呼ばれた男が回りに声をかけると、恐る々々といった感じで男が数人出てくる。
「ゾルドさん、やめましょうよ・・・トリオと揉めるとハーネスや周りの連中がうるさいですよ・・・それに俺たちだって・・・」
「黙れ!コイツはな、俺の楽しみに口出ししやがったんだ、たかがガキの人質の分際で!十分制裁にあたいするだろうよ!」
「ふ~ん・・・あんたの楽しみってのは随分下衆なんだな、ハーネスは知っているのか?」
「ああ!ハーネスだって知っているさ、あいつは俺に口出しなんてしてこねぇよ!」
「ほう・・・なんでだ?」
「あいつは俺が怖いのさ!この砦の中には俺の一声で100人は集まる、そんな俺の機嫌を損ねたくないのさ、アッハッハ!」
「なるほどねぇ~、でもまぁ俺には関係ないわ、ヤルならヤッてもいいぞ」
そう言うと、今回の揉め事の元でもある、人物が俺の裾をぎゅっと握り
「お兄さん・・・ありがとうございます、私のことは気にしないで下さい・・・」
「ふむ、俺の名前はトリオって言うんだ、君の名前は?」
「あ・・・わ、私の名前は『うっせぇ!』」
「お前の名前は獣人の奴隷!ただそれだけだろうが、一著前に名前なんてねぇだろ!」
そうゾルドに言われ、その子はシュンとして下を向いてしまう。
その頭の上にあるネコ耳のようなものまで、丸まってペタリとしおれてしまう・・・
そんな彼女の頭とネコ耳を撫でながら
「大丈夫、もうちょっと待っていてね、俺があの馬鹿を黙らせるから」
そう言うと、彼女は心配そうに俺を見つめ
「あの・・・私のことなんか『大丈夫』」
俺を心配してくれる、彼女の言葉をさえぎって、彼女にニッコリと告げる
「俺はあんな下衆には絶対に負けない・・・あんな下衆に負けたら師匠やアメリアになんていわれるか・・・そっちの方が怖いわ」
そう言いながら、俺は床に置いてあるハルバートに手を伸ばし立ち上がる。
「さてと・・・あんたらはゾルドに味方するんだな?いいんだな?俺は顔を覚えた、あんたらの依頼は今後受けない。武器の調達も砥ぎも、今後は全て自分でやるように」
そう言うと男たちは慌てて
「いや、別に俺たちはお前と『なにぶるってやがる!』」
「いいか、この小僧にここできっちりと躾をして、今後俺たちに逆らえないようにすればいいだけなんだよ、むしろ今後は俺たちが優先してもらえるぞ」
それを聞き、男たちは少しだけ考えたあと、軽く頷き武器を手に取る・・・馬鹿だな・・・そう思い俺はハルバートを強く握る
「オラァ!」
短い掛け声と共に、俺に切りかかる男の剣を軽く打ち払い、流れたところを上段からの一撃で武器を破壊、その後柄の部分でその男を吹き飛ばす。
続いて、ハルバートによるなぎ払いを防御した2人の剣が折れると、その勢いのままに繰り出す回し蹴りを叩き込んで、更に1人を昏倒させる。
そのまま、ゾルドの方へと向かって行くと、ゾルドは槍で渾身の一撃を繰り出してくるのだが、いかんせん俺には遅い・・・なんなくその一撃を捌き、ハルバートでやつの手首を切り落とす
「ギャァァ!」とこの世の物とは思えない悲鳴を上げるのだが、俺は続けて周りを見回し
「まだやるか、お前ら!いいか、これ以上やるなら俺も本気出すぞ」
「いやっ!やらねぇよ!俺たちだって別にお前と揉めたくなんかないんだよ・・・・勘弁してくれよ」
「なら、いい!だったらお前らは引け、この馬鹿は容赦しないけど、俺だってお前らと揉めたいわけじゃないからな」
そう言いながら軽く笑うと、ようやく彼らは安心したのか、「すまねぇな」「ごめんな」「今度飯おごるから」等と口々に言いながら、吹き飛ばされた男たちを担ぎ、その場を去っていく。
「さてと、ゾルドさんよ~もうここまで来たんだから観念しなよ、今楽にしてやるからさ」
そう言いながら、傷口を押さえ呻いている、ゾルドに近寄る。
「来るな!化け物!いや、トリオ!もう許してくれよ!」
「許せ?何を言っているんだ?お前みたいな下衆を許せば絶対俺に復讐しようとするだろ?ならばここで禍根を断っておくのがこの世の慣わしだろ?」
「しねぇよ!絶対に復讐なんてしないから、見逃してくれよ、なぁ頼むよ!」
「はっ!俺が知らないとでも思っているのか?お前はそう言った、獣人の少女たちの1人でも見逃した事があるのか?お前は今回のように獣人の女の子を慰み者にし、飽きたら殺していただろ?中には命乞いをした子もいただろうさ、そんな子を1人でも見逃したか?無いだろ?だったら・・・」
そう言って、一旦区切り俺はハルバートを上段に構え
「今度はお前の番だ・・・俺も容赦はしないし、こんなクズは『待ってください』」
そう言って俺の腰に抱きつく人影が・・・
「何故止める?こいつはお前を慰み者にしようとしたクズだぞ・・・それに放っておいたらお前も死んでいたんだぞ?」
「そ、それでも!ご主人様はこんな事で、私なんかのために人を殺してはダメです!」
「ご主人様?何を言っているんだ?それに・・・お前・・・俺が怖くないのか?」
そう、今の俺はゾルドに止めをさす為に殺気全開なのだ・・・さっきの男たちも俺の殺気に当てられ、まともに戦うことも出来なかった。
それなのにこの子ときたら・・・
「こ、怖くないです!ご主人様が優しいのを知っていますから!」
それを聞き、俺は殺気を収めながら
「あのさ・・・なんで俺がご主人様なんだ?」
そう言いながら苦笑すると
「そりゃあれだ、お前に惚れたんだろその猫」
そう言いながら、ハーネスが声をかけてくる。
「なんだ?覗いていたのか?趣味が悪いな」
「いや、今来たところだよ、お前が逃がした連中が血相を変えて俺のところにやってきた」
「なるほど、それにしてもいいタイミングで出てくるな?」
「それが良い男の条件だ・・・なんだったら俺がいい男についてレクチャーしてやるから、今晩『死ね!失せろ!』」
と言っていつものハーネスの誘いを切り捨て、別のことを問いかける。
「おい、そんでコイツはどうするんだ?」
「ああ、うちの中で、お前に手を上げることは厳禁にしておいたはずなんだが、それを破ったんだ、このくらいの傷を負わせても問題ないさ」
「そうか・・・それで?」
「ん?そうだな、その上で追放とさせてもらう、コイツも片手をなくした上でここからの追放だ、もう悪さなんてできんだろうさ」
「ふむ・・・まぁいいだろう・・・お前の裁きがそれなら俺も従うよ・・・」
「すまんな、コイツの部下もいることだし、これ以上メンドウにしたくないんだ」
「お前の立場は分かっているさ、こいつをここで殺しても問題しか残らないからな。お前が止める前なら殺せたけど、お前が止めた後、殺したんじゃあお前の立場も無いのは分かっているさ、じゃあ俺はこれで」
そう言って立ち去ろうとすると、俺の腰に異物が抱きついている事を思い出した。
「あのさ・・・離してくれないかな?」
「嫌です!ご主人様がご主人様である事を認めてくれないと離しません!」
「あきらめろ、トリオ!その猫はもうお前をご主人と認めている」
「へ?いや・・・それは」
そう言いながら腰にしがみ付いている、彼猫をマジマジと見ると
彼女は激しく尻尾?を振りながら、凄い勢いで俺の匂いを嗅ぎつつ、鼻を擦り付けている。
「・・・何をしている?」
「私の匂い付けと、ご主人様の色んな匂いを嗅いで覚えています!」
「付けるな!覚えるな!」
そう言った瞬間に彼女の尻尾はたれ、気の毒なくらいに下を向く・・・さっきまでピンッっとしていた耳もしおれてしまっている。
そんな彼女を見て、罪悪感が湧きあがってくるので仕方なく
「べ、別に怒ったんじゃないんだ、そんな風に落ち込まないでくれ」
「でも・・・ご主人様に・・・拒絶されました・・・」
「いや・・・なんでそうなる?」
「トリオ、じゃあその子の事どうする気なんだ?獣人の子がこの砦の中で誰の保護も無かったら、生きていけんぞ。獣人の子は結局誰かの所有物にならんと生きていけないんだ」
「そうなの?」
「当たり前だろ、俺たちの秘匿性を考えれば砦から追い出すわけにはいかん。この子の食事はどうする?人間じゃないこの子は食事を貰う事もできない・・・となると誰かに飼ってもらい、食事を用意してもらうしかないんだ」
「いや、普通に食事くらい出してやれよ・・・」
「働かざるもの食うべからずだ、この砦の中でこの子を雇うところなんて無いから、食う事もできんだろうさ」
それを聞き、その子はなおさら気落ちして下を向いてしまう・・・
「ご主人様に拾ってもらえないなら・・・私はたぶん・・・」
そんな彼女の頭とネコ耳を撫でると
「ご主人様、お願いします・・・私何でもします!料理も洗濯も掃除も出来ます・・・それに添い寝や夜伽もご奉仕もご主人様なら・・・」
「だぁぁぁぁっ!なんて危険な事を言うんだお前は!一瞬クラッと来たぞ!」
「え?本当ですか!じゃあ」
そう言いながら、またもや鼻を擦り付けてくる・・・しかも今度は俺の股間にだ・・・
「トリオ・・・」
「分かった!分かったから!君名前は?」
「フェムって言います、ご主人様」
「はぁ・・・乗りかかった船だし、見捨てるわけにもいかないか・・・じゃあフェムは今日から僕のところへおいで」
「はい!ご主人様!よろしくお願いします」
フェムはそういいながらも相変わらず僕の股間に鼻を擦り付けている・・・
「ああ、そうだトリオお前獣人の奴隷とか持った事ないみたいだから注意しておくぞ・・・その子ちゃんと抱いて上げないとダメだぞ?じゃないと発情時に余所の男に抱かれちゃって勝手に子供作っちゃうから」
「知識としては知っていたけど、それ本当なのかよ?」
「本当だよ、基本その子も猫と同じだから、発情期があるんだけど、その時に主人に抱かれていない子は、別の男を求めちゃんだよ、無差別にな・・・でも主人がその前にきちんと抱いていれば、発
情期でも主人しか求めなくなるから、ちゃんと避妊も出来るわけだ」
「やっぱり本当だったのかよ・・・俺はどうすればいいんだよ・・・」
「俺は知らん!まぁお前がフェムが他の男に抱かれ子供を作っても、フェムとその子供たちの面倒を見れるなら、問題ないぞ」
と言いながらハーネスは意地悪く俺の肩をバンバンとたたきながら去っていく。
それを見送った後、こうしていてもしょうがないので、俺の棲家となっている砦内の部屋まで戻ることにする。
フェムはどうしても俺から離れたくないようなので、仕方なくお姫様抱っこにて部屋まで連れ帰り、部屋の中にあるベッドに優しく寝かせる。
今更ながらに気が付いたんだが、彼女はちょうどゾルドたちに慰み者にされかかっていたため、たださえ粗末な布を破られ、ボロ布のようなものを纏っているだけでかなり扇情的ともいえる格好だった、さらには粗末ではあるが鉄の鎖で両腕を拘束されている。
ベッドにフェムを寝かせると、彼女が甘えるように俺の膝に載ってきたが
「フェム・・・お前のご主人としてまずは言っておく事がある・・・」
「はい・・・ご主人様・・・何なりと」
「うん、あのさ俺はな・・・・すっごい綺麗好きなんだよ!と言うか汚いのがだめなんだ!」
「と言いますと?」
「まずは風呂だ!お前を綺麗にする!」
「あう・・・匂いますか?」
「ま・・・まぁな・・・」
「ごめんなさいですニャア・・・元々私が捕まっていた奴隷商人がここの連中に襲われた所を隙を見て逃げ出したんですが、さっきの男たちに捕まって、無理矢理・・・・」
「別に謝るとことじゃないだろ・・・フェムが悪いわけではないしな」
「嫌いにならないで欲しいですニャ・・・フェムはご主人様に捨てられたら・・・」
そう言いながら彼女は俺の膝にしがみ付く。
そんな彼女の頭を撫でながら
「大丈夫だよ、ちゃんとお風呂に入って綺麗にしたら、お前の毛並みを整えて上げるから」
「その前にまずはその鎖をどうにかしないといけないね」
そう言いながら、隣の部屋へ行き、工具を持ってきて鎖の付いている腕輪ごと外して上げる。
「ご主人様凄いです!こんな簡単に鎖を外しちゃなうなんて!」
「ああ、俺は細工師でもあるからな、この程度の鍵なんて無いも同然だよ、それよりも・・・なんでフェムは腕に鎖なんて付いていたんだ?」
「あぅ・・・この鎖は奴隷商人の下にいるときから付けられていました、確かに他の娘は付けていなかったです・・・」
「そうか・・・まぁいいや、お風呂に入って毛並みを整えるぞ、フェムの毛並みは黒くてとても綺麗だから楽しみだよ」
「ありがとうございますニャ・・・ご主人様に毛づくろいしてもらえるなんて、フェムは幸せですニャ」
俺はほぼ俺専用となっている小浴場にフェムを連れて行き、石鹸を使い丁寧に洗ってやる事にしたのだ。
フェムは最初水に濡れる事と石鹸の泡に抵抗したのが、俺が先に入り、体を洗って見せた事により、警戒を解いた。
フェムはさっきまで纏っていたボロ布を脱ぎ、今は完全に全裸となっている。
恥ずかしそうに、洗い場まで来ると、その場にペタンとしゃがみ込み
「ご主人様恥ずかしいですニャ・・・」
そう言って、手で胸と下半身を隠してしまう。
こうして改めてみると・・・可愛いなこの猫・・・本来黒猫族はキリッとした顔立ちが多いはずなのに、幼さが残るせいなのか、ややたれ目の大きな目とコレも黒猫族らしくない、短めで丸くてとがっていない耳・・・
しかし、体つきは黒猫族らしく背は少し低めだが、四肢はすらりとしていてお腹は引き締まりっており素晴らしく肌が白い。
そして、逆に背筋には見事な漆黒の短い毛が生えており、素晴らしいコントラストを描いている。
最後にお尻には長い優雅な黒い尻尾がなびいている。
「綺麗だぞ、フェム・・・ここは俺とお前しかいないんだ。だから恥ずかしがるなよ」
そういって俺は恥ずかしくないんだとの証とばかりに、堂々と彼女の前に全裸でたつ。
フェムは最初顔を赤らめて手で覆っていたが、そのうち覚悟が出来たのか、おずおずと俺に近づき、俺の太もも辺りに鼻を擦り付けてくる。
「今日はお前が俺の物になった日だから、特別に主人である俺が体を洗ってあげる、明日からはフェムが俺の体を洗うんだよ」
「ハイですニャア・・・」
そういって、布を石鹸で泡立てて、丁寧に彼女の体を背中から洗っていく。
やはり、汚れは相当なもので、最初の泡が全て黒ずんだところで一回お湯をかけて、再度布を泡立てて洗っていく。
背中が終わり、今度は前の方を洗おうとすると、彼女は胸を手で隠してしまう。
やはり、恥ずかしいのであろうと思いつつも
「フェム、大丈夫だよ。フェムは綺麗だし、可愛いよ」
そう言いながら、耳の裏を撫でて上げると、フェムはゆっくりと手をどけてくれる。
まだ少し小ぶりだが、十分に将来期待できそうな胸を布で洗い、石鹸を十分つけた後、今度は素手で揉むように洗う。(実際胸を揉んで楽しんでいるのは内緒だ)
少しずつ乳首が立ってくるのだが、あえて先端には触れないように、揉み洗う。
「ご、ご主人様・・・」
と物欲しそうな目で見る、フェムを無視して、次にお腹へ、そして下半身へと手を伸ばすと、今度こそフェムは力を入れて股を閉じてしまう。
俺は再度石鹸の泡を両手で取り、尻尾を丁寧に洗って上げると、フェムの両足からは段々と力が抜けていく。
「フェム、ここからはとても大事なところを洗うから、一旦お湯で石鹸を流して、綺麗な泡で洗うよ」
そう一旦断りを入れて、お湯で泡を洗い流し、再度石鹸で布を泡立てる。
「フェム、いいかい?大事な事だから覚えておくんだよ、ここから洗う場所は常に清潔にしておかないとダメだよ、じゃないと変な病気になったりするからね」
「ハイですニャア・・・ご主人様の大事な部分も何時も綺麗にしますですニャア」
「そうだ、よく出来ました。いい猫だ」
そう言って俺はフェムの下腹部を丁寧に素手で洗っていく。
「ハァハァ・・・ウッ・・・」
とフェムは艶っぽい声を出すのだが、ここは我慢しなければならない。
全てを綺麗に洗い終え、お湯で流したときにはフェムはぐったりとしていた。
男に敏感な部分を洗われる経験なぞしたことが無いため、色んな意味でクッタリとしているフェムを抱き起こし、湯船に2人でつかる。
湯は熱すぎず、獣人あるフェムにも気持ちがいいようだった。
俺がフェムを胸に抱きながら気持ちよさに浸っていると
「やっぱりご主人様は思ったとおり優しかったですニャア・・・フェムはご主人様の奴隷になれて幸せですニャア」
「そうかい?そう思ってくれたなら、俺も嬉しいよ」
「本当に夢じゃないですよね?こんなご主人様に拾ってもらえるなんて・・・」
そういいながらフェムは少し泣き出してしまう
「夢じゃないぞ・・・さて、体も綺麗になったことだし出るぞ」
そう言いながら、フェムを抱き上げ、脱衣場まで戻り、乾いた布でフェムを丁寧に拭き、服を着て部屋へと戻る。
ハーネスは6:4の両刀使いです。
もちろん6は・・・ネ!