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第十六話 タダじゃないから!

こんな男前のヒロインがいてもいいじゃまいか?

俺はアメリアの強烈なパンチを受け部屋の壁まで吹っ飛ばされた。


怒って愛想でも尽かしたかな・・・それもまぁいい・・・これでアメリアを巻き込まないで済むなら安いものだ・・・そう思っているとアメリアは俺の足元まで来て


「さっきも言ったけど、あんたがあたしの気持ちや夢を決めるな!それにあたしが危険?だったら危険がないようにしろ!あんたが自分の夢を追うためにあたしが足手まといだって言うんなら、納得してあげる。でも・・・あたしが危険だからとか綺麗事言って遠ざけるならそれは捨てるのと一緒だ!だったらそう言え、根性なし!」


そうだな・・・綺麗事じゃアメリアは納得しないか・・・でも俺にとってアメリアは最後の家族と言ってもいい存在なんだよ・・・


そう考えていると、アメリアは俺の胸倉を掴み


「トリオ、昔のあんたを思い出して!この村あんたたち家族の重荷なっておじさんとおばさんが出て行こうとした時に、あんたなんて言った!大切な何かを捨てなければ手に入らないものなんて何の価値もない!そう言ったよね!覚えている?」


「ああ・・・言ったな・・・父さんと母さんが国の召集に応じなければこの村だけ税率を上げるって脅されたときに、父さんと母さんは村を出て国の召集に応じようとしたっけな」


「そうよ!その時村の雰囲気は最悪で、みんなおじさんとおばさんが出て行けば問題が解決すると思っていた。この村はおじさんとおばさんが居るから人が集まった村のはずなのに・・・」


「その時、私たちはまだ小さかったけど、あんた言った言葉は村の人全員の心に突き刺さったよ」


「あれは、父さんが教えてくれた商人の心得の解釈の1つを言っただけだよ・・・」


「でも、それでもあの時のあんたの言葉は本物だった!それは村人の全員がそう思っている。危険?責任?悪い?何言ってんのよ!そんなの全部吹き飛ばすのがトリオ・ノウランでしょ!それがあたしが好きになった男でしょうが、馬鹿野郎!」


そう言って涙目で俺を睨みつけるアメリアはもう俺の妹分じゃなかった、1人の立派なザクソン村の女だった。


「あっはっは、参った・・・本当に参った・・・お前はもう俺の後ろを黙って付いてくる妹分じゃなくて、1人の立派な女になっていたんだな・・・お兄ちゃんは見抜けなかったよ・・・ホント・・・」


「誰が、お兄ちゃんだ!あたしは一言もそう呼んだ事ないわよ!」


「それにしても、俺の事を俺以上に分かっているって凄いな、さすが幼馴染だな」


と言うと、さすがに言いたい事を言って少し落ち着いたのか、アメリアはちょっとだけハニカミながら


「実はね、今のはあたしが全部ミルバ姉さんに言われた事なの・・・」


「はぁ、ミルバさんが?何でお前に言うんだ?」


「うん・・・実はね、トリオの事諦めようとして、諦められなくて・・・ミルバ姉さんにあたしが言いたい事全部打ち明けたんだけど、私の気持ちはその程度なのかって叱られたの・・・」


「うは、それはきついな・・・ミルバ姉さんそんなに怒っていたのか?」


「うん、すっごい怒られた、それでもザクソン村の女か!って男がぐじぐじ言ったらその面をぶん殴るのがザクソン村の女だって。


特にトリオはただでさえ危なっかしいんだから、ちゃんと首根っこを捕まえていないと何処に飛んでいくか分からないって」


「酷い言われようだな・・・」


「でも、その通りだと私も思うよ・・・ねぇ・・・トリオ・・・私のこと邪魔?それとも嫌い?」


「そんなわけないだろ、さっきも言ったけど、今の時点ではこの世で一番大事な女の子だよ」


「・・・今の時点ってなによ」


と余計な一言にちゃんと反応してくれる律儀なアメリアちゃん


「いや、今の時点は今の時点だろ?だって俺これから王都に修行に行くわけだし、お前が来る4年後にはどうなっているか分からないよ」


と言ってニヤリと笑うと、アメリアは拳骨を作り


「もう一発必要なのかしら・・・」


と言って先程作った拳を腰に溜める


「いや!ちょっと待て!ホント!」


「何よ、言いたい事があるのかしら?」


「あ、あるぞ!俺知っているからな!なんで俺がこの村でモテナイのか!最初は兄を取られたくない妹の可愛いいたずらかと思ったけど、本当は違うってこと今さら理解した!」


「な、何のことかしら」


そう言いながらも目が泳いでいるアメリアちゃんもうすぐ11歳


「知っているぞ!おまえ細工師のとこのケイトちゃん、薬師のとこのノエルちゃん、大工のところのキャンベルちゃん、全部お前脅したろうが!」


「脅しなんてしてないわよ!ただちょっとだけあたし・・・の男に粉掛けるビッチどもに『世界一の鍛冶屋になるんだもん!15号』を持ちながら、お話をしただけよ!」


「お前の『世界一の鍛冶屋になるんだもん!15号』を持っている時点で脅しだろうが!」


「そんなこと言うなら、あたしだって知っているわよ!宿屋のアベル君、酒屋のバジル君、肉屋のチャーリー君達に私に近づくなら俺を倒してからだ!って棒振り回したでしょ!」


「いや、それはだな・・・兄としての仕事だと師匠に言われてだな・・・」


「同じでしょ!そのせいで村の年頃の男の子はみんなあたしのこと危険物扱いするのよ!『振れるな危険!』って何よ!女の子に向かって言う言葉じゃないでしょ!」


「いや・・・それはおまえ自身の問題じゃないか?俺には関係『あるわよ!』」


「そもそも、あたしはトリオの物だってみんなの共通認識があるから、誰も近づいてこないし、近づいてくるやつはみんな、鍛冶の話か護衛の話しかないのよ!そもそも女の子に護衛って何よ!」


「おまえ、だいぶ話がずれて来たけど・・・分かった!こうしよう!」


「何よ。ちゃんとあたしが納得いくんでしょうね?」


「いや、知らん。俺は俺が思うとおりにしかしないし、後はお前が納得してくれたら嬉しいかな・・・まぁ無理だろうけど」


そういうと、またもやアメリアは握り拳を作り始めるのだが


「とりあえず聞け!正直に言うと俺はお前のこと可愛いと思うし、好きだと思うけど、あくまでも妹分としてだ!だから・・・」


そう言って、アメリアを抱きしめると、アメリアは真っ赤になってしまうのだが


「分かるかアメリア?俺はこうしてお前を抱きしめても、顔も赤くならないし、胸がドキドキもしないんだよ、悪いな」


そう言うと、アメリアはさっきまで赤かった顔が急速にさめ、大粒の涙を目に溜め始める。


「待て待て、そこまでがっかりするな!あのな、俺は確かに胸がドキドキはしないけど・・・くっそ!そんな顔されたら・・・一回しか言わないからな!お前がそんな泣きそうな顔をすると、物凄く悲しくなるんだよ!それとなお前をさっきみたいに抱きしめるとな・・・安心するんだよ・・・」


「え?それって・・・」


「お前さ、俺が抱きしめた時自分がどんな顔しているか知っているか?・・・すっごい嬉しそうだし、幸せそうなんだよ・・・その顔を見てるとな・・・こう、俺まで幸せな気分になるし、安心できるんだよ・・・多分愛情ってより保護欲なんじゃないかと思っているんだけどって・・・何でそんな複雑そうな顔になるんだ?」


「うーーーーっ!それって喜んでいんだか、悲しむところなのか、分かんないわよ!」


「そんなこと言うなよ・・・本当に俺が今言える精一杯なんだよ、ごめん!その代わり、明後日の誕生日にお前にプレゼント渡したら、その後はお前のこと妹分じゃなくて、ちゃんと1人の女の子として見る事を約束するから!なっ!」


「分かった・・・今は妹としてでも愛されているって理解した・・・少なくとも他のどの女よりも私のこと大事に思ってくれているんだよね?」


「ああ、それは間違いないよ、今俺が最も大事だと思う女性はお前だけだ!」


さすがにこれをごまかすのは可哀想に思い、アメリアの目を見てしっかりと答える。


「うん・・・これはこれで・・・嬉しいかも・・・でも、4年後!4年後を見てなさい、びっくりするくらい良い女になって、トリオにひざまずいて『結婚してください』って言わせて見せるんだから!」


「あっはは、それはそれで楽しみだな。もし俺がアメリアをお嫁さんにしたいと思った時には、跪いてプロポーズするよう約束しよう」


そう言って、小指を出すとアメリアが小指を絡めてきて、上目遣いに


「1つだけお願いがあるの・・・」


「ん?なんだ?今はまだ可愛い妹分なんだから、大概のことは聞くぞ」


「ほんと!じゃ、じゃあ・・・手付け、手付けが欲しいな・・・」


と言って先ほどまで上目遣いだった、目をつぶり唇を軽く突き出してくる。


「おまえなぁ~・・・兄妹でキスは普通しないぞ・・・」


「だから、未来への手付けなの・・・これぐらいの拘束はあってもいいでしょ・・・お願い」


と片目だけ開けて懇願してくるアメリアは、今までと違い年相応に魅力的な女の子に見える。


でもな・・・こいつ今・・・『拘束』って言ったよな・・・さすがに抜け目がないな


まぁ、それでも、こんな弱々しいアメリアは珍しいな。


まぁ、今までずっと一緒だったんだ、4年間とはいえ、やはり離れるのは寂しいんだろうな。


いや、違うな・・・アメリアだけじゃないな、俺も寂しいのかもしれない・・・だってあのアメリアが凄く可愛く見えて、ドキドキしてくるんだぜ、おかしいだろ俺・・・


「なぁ、アメリア・・・今のアメリアはちょっとドキッとするな・・・」


「ホント!?エヘヘだったら凄く嬉しいな!」


そう言って、さらに唇を突き出してくるのだが・・・おいおい、そりゃやりすぎだろ・・・それじゃあまるでタコだよ・・・


「まったく・・・もう少し女の子らしくなると、俺はもっと嬉しいかな・・・でも、元気なアメリアは大好きだぞ」


そう言って、ホッペにキスした後、軽く抱きしめながら耳元で囁くと


「バカッ!ケチッ!あたしもトリオの事大好きだからね!私のこと4年間もほったらかすんだから・・・すっごく強くなって、お金持ちになっていて、堀も鍛冶もプラチナになってないと許さないんだから!」


「分かっているよ、お前が来る頃には王都で一番の鍛冶屋と掘り師になっておくよ、学生相手のプレフェスタをぶっちぎって勝てるぐらいにさ」


「当然でしょ!武でも商でも技(義)でも人(仁)でも信でもあんたに勝てるやつなんか居ないわよ!それがトリオ・ノウランであたしの男なんだから!」


「だから、最後のはやめれ!」


「いいじゃない!言うだけタダよ!」


「いや、俺の精神的な数値がガリガリと削られるから!タダじゃないから!」


「そんな細かい事気にするんじゃないわよ!」


こんな楽しい言い合いともしばらくお別れなんだなと思うと、少し・・・ほんの少しだけ胸に寂しさが募ってしまう。



作者としてはこんな女の子も好きなんですがどうでしょうかね?

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