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第一話 トリオ進発する

この主人公の名前は前作(二次創作)と同じ名前を使用しています。


理由は前作の主人公の性格は結構好きだったので、ほぼ同じような性格を採用したからです。


前作をご存知の方が見て不愉快に思われるかもしれませんが、ご容赦ください。

- 商人 -


この時代、この大陸において商いをする人間(または種族)は様々な呼ばれ方をする。


しかし、本当の商人、すなわち商人メルカトラーと呼ばれるのはホンの一部だ。


なぜならば、真のメルカトラーと呼ばれるものは、財力だけでなく、知力・武力、場合によっては軍事力や政治力と呼ばれるものに近いものも持たなければならない。


ひとくくりに商人と呼ばれる彼らもキーパー・トレーダー・ディーラーと様々な階級や呼び名があるのだが、全ての商人があこがれる存在、いや、この大陸に住む全ての人系種族が、あこがれ、畏怖し、尊敬する存在こそがメルカトラーである。


この物語はそんなメルカトラーを目指す一人の男の人生である。






それは突然の事だった。


メイドのハンナに今日の夕食を尋ね、その内容に喜んでいるときに、ガザルさんが飛び込んできた。


「トリオよ、落ち着いて聴きなさい、お前の父さんと母さんが亡くなった」


「え?」


最初は何を言っているのか分からなかった。


内容を理解したときには信じる事ができなかった。


父さんは強かった、子供にも理解できるくらい強かった。


そして、母さんはその父さんよりも強かった。


その2人が死んだ?ありえない・・・そう、ありえないんだ!ガザルさんに力一杯叫び返す


「うそだ!あんなに強い父さんと母さんが死ぬわけ無い!」


「トリオよ事実だ、受け入れろ!」


「ウソだ!」


そう言って俺は家を飛び出した。


家を飛び出した俺は、頭の中がぐちゃぐちゃになって、1人で村の外れにある、守り木と呼ばれる大きな木の根元に来ていた。


何故ここに来たのかは分からない、多分誰にも逢いたくなかったんだと思う。


父さんと母さんが死んだ・・・


「トリオよ、俺は商人メルカトラーになるぞ!」


「トリオよ商人にとって一番大事なものが分かるか!」


「商人がお客様に売るのは品物じゃねぇ!心だ!」


父さんの言葉が次々と浮かんでくる。


その父さんが死んだ・・・母さんも・・・


その時、俺は誰かが俺の手を握っているのに気が付いた。


深く考え事をしていたので、気が付かなかった。


気を取り直して横を見ると、アメリアが黙って俺の手を握っている。


「・・・父さんと母さんが死んだって・・・」


「うん・・・お爺ちゃんから聞いた・・・」


「父さんは強かったよ・・・ドラゴンにだって勝てるって言っていた・・・」


「うん、おじさんならドラゴンにも勝てると思う」


「母さんも死んだって・・・父さんより強かったのに・・・」


「うん、おばさん強かったもんね・・・たぶんこの村で一番だったと思う・・・」


「うん・・・でも2人とも死んだって・・・」


そう言った時、アメリアは握った手を離し、俺にギュッって抱きついてきた。


アメリアはとっても暖かかった・・・


「トリオ・・・泣かないで・・・」


「泣かないさ、父さんが言っていた・・・商人が泣いていいのは、心からお客様に満足してもらいお礼を言われた時だけだって・・・」


そう!父さんは何時も言っていたじゃないか!


「アメリア・・・俺は商人メルカトラーになる!父さんと母さんが果たせなかった夢を俺が継ぐ!」


「え・・・トリオは商人になるの?」


「ああ、なるよ、ただの商人じゃない!商人メルカトラーだ!」


「うん・・・トリオなら頑張ればなれるよ!」


「ああ、頑張るさ・・・ならまずは帰ってガザルさんに色々とお願いしないと・・・そうだなまずは弟子にしてもらうか・・・」


「え~♪じゃあトリオも私と同じ鍛冶師になるの?」


「いや、鍛冶のスキルも覚えるけど、他にも色々覚えるさ、なんたって父さんは何でも出来たからな!きっと商人メルカトラーになるには何でも出来なきゃダメなんだと思う」


「そういえばそうかも、おじさん何でも出来たよね」


「ああ、まずは父さんに追いつく!そして商人メルカトラーだ!」


「うん!トリオ頑張って!」


アメリアと2人で家に帰ると、ガザルさんが出迎えてくれた。


「トリオよ・・・7歳のお前にこんな事を言うのは酷かもしれんが、これからどうする?」


「はい、俺は父さんと同じく商人メルカトラーを目指します、そこでガザルさん、俺を弟子にしてください!」


と言って手を付いて頼み込む


ガザルさんは少しびっくりしたようで、少し考えた後


「このノウラン商会はどうするんだ?」


そう問われると、何人かの使用人がでてきて


「坊ちゃん!坊ちゃんが居ればノウラン商会は大丈夫です、旦那や奥様が築いた信用は簡単には崩れません!だからこのまま商会を続けましょう!」


と言ってみんなが商会の存続を望む。


しかし、俺はアメリアと2人で歩いている時に決めていた。


「みんな、ごめんね・・・俺は父さんと同じ道を行きたいんだ、だからガザルさんの弟子になりたい・・・分かって欲しい」 


そう言いながら頭を下げると、店のみんなは泣きながら頷いてくれた。


「ガザルさん、いやガザル師匠!ノウラン商会にあるものはみんなに分けてあげてください」


「なんだ、もうワシを師匠と呼ぶか、まぁ気が早いとは思うが、いいだろう。それと・・・いいのか、それで?」


「はい!修行に余計なものはいりません!僕にはこの父さんと母さんと暮らした家だけで十分です!それに・・・父さんと母さんからもらったものはここに一杯あります!」


そういって自分の胸を指差すと、ガザル師匠は大いに笑い、店のみんなは更に泣き出した。


そんな俺を見てガザル師匠は大いに満足したようで


「お前がそこまで考えているなら、ワシがどうこういうことではないだろう、後の始末は任せておけ、最後にノウラン家の進発式をやってあげなさい、お前の父さんも母さんも応援してくれるだろうよ」


「進発式ですか?アレはノウラン家の頭領しか・・・」


「坊ちゃん!あなたはもう立派なノウラン家の頭領です!」


「そうです!頭領、いや前頭領も今の坊ちゃんを見れば多分認めてくれますよ!」


「大丈夫です!坊ちゃんには十分に頭領の資格がありますよ!」


と口々にみんなが言ってくれる。


「わかった、みんなありがとう!今から俺とみんなの進発式を行う!」


「おおぅ!」


父さんが毎回、キャラバンに出るときにやっていた進発式を思い出す。


大丈夫だ、俺なら出来る、何回も見てきた、俺はあの父さんの子供だ!ノウラン家の跡取りだ!


「今回は俺とみんなの進発式だ!心に刻め、商人の心得を!今回俺が皆に送る言葉これだ!」


「オオゥッ!」


と言って全員で声を上げる。


「商人の心得!商人にとって全ての出会いは財産だ!ならば別れは資産だ!今この別れを将来の価値に繋げよ!」


『商人にとって全ての出会いは財産だ!ならば別れは資産だ!今この別れを将来の価値に繋げよ!』


とその場にいた全員が叫ぶ。


「トリオ・ノウラン!進発しんぱつする!」


「いってらっしゃいませ!頭領!」


その声を背に俺はノウラン商会の扉を開け外に出る。


「目指すは商人メルカトラーだ!



ちなみに、母さんは父さんより強かった ←は笑うところです。


この世界では結構死は身近なもので、簡単に人が死にます。

トリオ君の立ち直りの速さはそんな世界の現実を知っているからです。

また、両親の死については、おいおい話の中で出す予定ですので、今はこのまま話を進めていく予定です。


最後に商人の心得の言葉は過去のメルカトラーたちの言葉です。

これからも商人の心得は出てきますが、全て先達達が後世に戒めとして残した言葉とご理解ください。

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