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-CR-  作者: 魔狗羽
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第8話: 大会

リントは1人で遅めの夕食をとっていた。


「シト、遅いわね……」


夫のシミロもまだ帰ってこない。まあ、彼の勤める会社の通常帰宅時間が普通の会社よりも遅いのはわかるが……。


リントは妙な胸騒ぎを感じていた。




……ついた。私はベッドに寝ている。ラプジスの言った通りの始まり方だ。


ふ、本当に勝つのは私よ、ラプジス……。


ラウムは1人静かに笑った。




「あ!2人とも遅いよおー!」


ラヴィアが大きく手を振っている。


「はー、はー…ごめんごめん」


「ま、早めに来てジュビラの技1つ覚醒させたからいっか」


…?


「ラヴィア…覚醒知ってるの?」


「え、うん、さっき宿舎の人に…」


……情報の収穫の時間がこっちとほぼ同じだ。やはりゲームだからだろうか…。


「へえー…。…ところでさ、これからどうする?」


リークの問いにラヴィアが反応した。


「あ、それならさっきのヴェナードって人が言ってた<ティスカヴシティ>ってところに行ってみる?すぐ近くらしいし…」


シトはヴェナードの真っ赤な髪と、彼に教えてもらった属性のことを思い出した。


「ああ…いいかもな」




ヴェントさんに作ってもらったこの周辺一帯の地図によると、ティスカヴシティに行くには、さっきシトが木や雲のモンスター達と戦ったヴィルタロードを通って行くらしい。


「あんな強い奴に何度も会ってらんないよ…」


と、シトは思わず漏らしてしまい、ラヴィアに不思議がられていた。




……そして、野性のモンスターに出会うことなく、3人はティスカヴシティに着いた。そこは、リポーテルタウンに比べると、スーパーや駅等があって、そこまで田舎ではなかった。


そして、この街で1番大きな建造物……ティスカヴドームに3人は足を踏み入れた。


ヴェントさんによると、トーナメントは1週間に1度のペースで行われ、今日が調度その日らしいのだ。


「いらっしゃいませ、ティスカヴドームへようこそ」


受け付けで、女の人2人が言った。


「今日は出場ですか?それとも観戦ですか?」


3人は迷うことなく、声を揃えて言う。


「「「出場です」」」


「では、出場するクラスを選んで下さい」


そう言って、1人の女の人が何か書かれた木製のプレートを出した。……何が書いてあるのかさっぱりわからない。


「あの、僕等、初めてなんですけど…」


リークが代表で言う。


「そうでしたか。では最初から順に説明していきますね。どんな形でも、出場する場合、お金を頂きます。そして、クラスによって、エントリーする人の強さが違うのです。Eクラスが1番お手軽な出場条件で、30uで強さも初心者向けです。そしてDクラスが50u、Cクラスが100u、Bクラスが300u、Aクラスが500uで、お値段が高くなるほど、出場者の強さが上がっていきます。そして、Sクラスは、1000uと2tを頂きます」


3人は一気に話されたことを一生懸命に覚え込む。


「じ、じゃあまずはEクラスでよくない?」


すぐにシステムを理解出来たラヴィアが言う。


「……う、うん、いいんじゃないか、なあシト?」


「え?……あ、ああ、いんじゃね?」


シトはまだ考えている様子だ。


「では、お1人様1枚ずつ、エントリーチェックの用紙をご記入下さい」


そう言って、女の人が3枚の紙を取り出した。そこには、名前や年齢、住所等を記入する欄がずらっと並んでいた。


「うわ……これ全部書くんだ……」


シトがそう漏らすと、女の人が応えてくれた。


「あ、その用紙の記入は初回だけで、次からはその紙を見せるだけで大丈夫ですよ」


「そっか…よかった…」


シトはホッとしたが、いきなりドーム中に鳴り響き始めた鐘の音に3人共びくっとした。


「あ、そろそろバトル開始ですよ。10分後に始まります。この紙はこちらで預かっておきますので、ここを出る際に、お引き取り下さい。それでは、このカードキーを持って、皆様42室、43室、44室でお待ち下さい」


そう言って女の人が、それぞれにモンスターのカードとほぼ同じくらいの大きさのカードキーを渡した。




ボォォォン…ボォォォン……


さっきより大きな鐘の音がした。ティスカヴトーナメント第1戦の始まりだ。


[さあー1週間に1度のイベント<ティスカヴトーナメント>の始まりです!!!!今日も皆さんによる熱い死闘が期待出来そうです!!!!]


天上の無い、日光のさすステージには実況の声がすでに鳴り響いている。


[さて、今日もランダムに決められた1から64までのエントリーナンバー!!!!最初に熱い戦いを繰り広げてくれるのは………12番と42番の選手!!!!]


そんな……。


シトは唖然とした。42番は……自分だ…。


(そんな…1番最初だなんて……。……いや、順番なんて関係無い。ただ勝つだけだ)


そう思い、ステージにあがる。相手も自分と同じくらいの男だ。


「トーラ、召喚!」


「リフェスタ、召喚!」


[おおっと、まずは42番のシト選手が1対1の流れを作ったあ!!!!]


相手のモンスターは、まるで光るてるてる坊主のようだった。


「いけ、陽珠<シャインボール>!」


リフェスタと呼ばれたモンスターが空中で体を横に揺らすと、光る玉が現れ、トーラに向かって飛んできた。だが、避けられない程速い訳でもない。


「トーラ、避けろ!そのまま突っ込め!」


スピードの遅いトーラでも余裕を持って避けられた。そしてそのまま剣を構えてリフェスタに突っ込んでいった。


「うわ…リフェスタ!光盾<シャインシールド>!」


リフェスタは、剣を振りかざしたトーラの目の前に、光る円盤を出現させ、攻撃を防いだ。


「く…やるじゃんか…」


「負けないよ、リフェスタ、陽珠<シャインボール>!」


今度は一気に6つも光球を放ってきた。


「聖域飛沫<サンクチュアリ・スプラッシュ>!」


飛沫が上がる。光球を全て弾き、水飛沫で相手の視界が奪わるている間に、トーラがリフェスタを切り付けた。


[ああーっと!!!!12番のセム選手、モンスターのリフェスタが切り付けられ、破壊されました!!!!このバトル…42番のシト選手の勝利です!!!!]


実況が叫ぶ。まずは1勝か…。電子財布を見ると、uが60増えている。つまり、現在の所持金、3030uだ。


そして、やはり目指すものは……優勝!

モンスター名:リフェスタ


光と闇が交錯する世界。そこでは気の遠くなる程の時間をかけて、現在でも光と闇は戦いを続けている。リフェスタもそこで音もなく壮絶な死闘を繰り広げるモンスターのうちの一種。そして、この世界で戦い続ける光のモンスター達は例外無く、周りの明るさに比例して、技の威力が増す、という。


技:陽珠<シャインボール>


光球を放つ小技だが、周りが明るい程威力が増す。また、スピードは遅いが、1度に出現する光球は1つとは限らない。


技:光盾

<シャインシールド>


光る円盤を出現させ、敵の攻撃を防ぐ防御技。周りの明るければ明るい程、円盤の硬度が上がる。

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