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-CR-  作者: 魔狗羽
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第5話: 属性

「…わからない…。一体どうすれば……」


ラプジス博士達はまだ機械の確認作業を行っていたが、一向に良くならない。すると、機械室のドアが開いた。


「あら、大変そうね、ラプジス博士。残念だけど、CRと現実世界の間で事件が起きたわよ」


背は高く、白衣を来て眼鏡を掛けたいかにも科学者風の彼女が機械室に入って来た途端、ラプジス博士の目付きが鋭くなった。


「ラウムか。で、事件とは?」


事件、と聞いて内心かなり慌てたが、あくまで無表情で聞いた。


「あるマンションの近くにいた全ての人間が突然集団消失した。調べてみたところ、その中の数名がCRの観察モニターで発見された」


淡々と事実を述べるラウム。


「つまり…ゲーム内に引きずり込まれた、と……」


「そうね……で、これからが本題」


「なんだ?」


「私をゲーム内に行かせて。そこでプログラムを修復するわ」


「な…何を…!」


「あらいいじゃない。もし何かあってもあなたたちにデメリットはないんだし」


「………ウィンフ君、用意を……」


「は、はい!」


ウィンフ博士は、ラウムに論破され屈辱に満ちたラプジス博士の顔を見ることが出来なかった。




「はーっ!何だよお前!雷の攻撃技に水の防御技使うなんて!もしかして初心者?」


お互いのモンスターがカードに戻ると、草むらの陰から、髪を赤く染めたお兄さんが出てきた。服装も随分今風だ。


3人が固まっていると、赤髪のお兄さんはもっと呆れた表情をした。


「何お前らモンスターの属性も知らないわけ?」


「…あの、あなた誰ですか…?」


「え……ああ、ごめんごめん。俺はヴェナードだよ」


「そうですか…それで属性って……?」


「ん?おお、だからさ、モンスターには色々な属性があるわけよ。水や雷、炎とかな。それだけで多少バトルの優劣は生まれてくる。そして、モンスターだけじゃなく技にもそれぞれ属性がついている。今の場合、死神の属性は闇で亀の属性が水だったから、それだけでは対等だ。でも闇属性の死神が雷属性の技を出し、それを雷属性に弱い水属性の技で防御したから亀は負けた」


「そう…だったのか…」


「因みに初心者ならカードは初期のまんまだよな。そしたらほとんどの場合、20枚の属性が揃ってるはずだぜ。亀のお前が水属性デッキで死神のお前が闇属性デッキのはずだ」


そう言われて、シトは慌てて20枚のカードを見た。確かに水を連想させるようなモンスターばかりだ。


「私の……闇属性デッキだ!」


シトはカードをよく見てみると、重大なことに気付いた。モンスターの名前の横に<水>と書かれているのだ。わざわざイラストで判断する必要がなかった。


「リークのは?」


「……地属性…かな…」


シトがリークのカードを見ると<地>と書かれていた。


「あ、そうだ君達さ、もしかしてティスカヴトーナメントのタッグ?」


いきなりヴェナードがさわやかに話し掛けてきた。


「ティスカヴ…トーナメント…?」


「なんだそれも知らないの?ティスカヴトーナメントってのは………うーん、実際見た方が早いかもね」


ヴェナードの目が悪戯っぽく光った…気がした。


「このリポーテルタウンのすぐ近くにティスカヴシティって所があるから、そこ行ってみ。そんじゃあまたいつか、ね」


そう言ってヴェナードは去っていった。


「あ…ち、ちょっと!」


3人はヴェナードを追い掛けようとしたが、彼が去りながら凄まじい殺気を放っていたので、立ち止まってしまった。


彼は、一体……?


しばらく呆然としていたが、リークが突然声を上げた。


「あ、もう11時半だ。一回宿舎に戻って昼ご飯食べようか」


腕時計を見ながら、多少強引に言った。


「あ、ああ、そうだな」


「じゃあ、1時にここに集合で!」


ラヴィアがそう言って3人は宿舎に帰ろうとした。……その時……


ガサガサ……


草むらの陰からモンスターが現れた。ゴリラを、人間の大人くらいに縮めたようなモンスターで、両腕には太く大きいタンクのようなものを装着している。


「な…なんだこいつ!?」


「野性の…モンスターよ…」


リークでさえ驚いているのに、ラヴィアは冷静だった。


「戦って倒すの!ジュビラ召か…………?」


シトがラヴィアの手を掴んだ。


「待てって……リーク!今度はお前の番だぞー!」


「お、俺!?……わかった。…………よし、ブレゼ召喚!」


リークはカードを選んで高く掲げた。


光を放って召喚されたのは、両手足からジャラジャラと鎖を垂らした、青い人型のモンスターだった。


ゴォォ……という唸り声と共に右腕のタンクが高回転を始めた。そしてモンスターが空を右腕で殴った。ビュオゥ、と音がする。何をする気だ、とリークが考えていると、薄く赤みがかった衝撃波がブレゼを狙っていた。さっきの殴り技で衝撃波を作り出していたのだ。


すると、やはりリークのカードが青く光った


「これが俺の……ブレゼの技……」


衝撃波がブレゼに迫る……!


「四重鎖力<カルテット・チェーンフォース>!」


ブレゼの両手足の鎖の先端がぽうっと光った。そのまま光った4箇所が空中に持ち上がる。ブレゼが独特のリズムで手足を動かす。すると4つの丸い光は凄まじい速さでモンスターに向かって飛んでいった。そのうち1つは衝撃波と相打ちになり、残り3つがモンスターを襲った。


ドォォン……


野性のモンスターとブレゼの戦いは、ブレゼの……いやリークの完全勝利に終わった。


モンスターが光に包まれ、消えた。そこには1枚のカードが残された。リークがカードを拾う。野性のモンスター……名前はラジィドだった。

モンスター名:ブレゼ


地獄に堕ちた悪魔達に地獄に引きずり込まれた運の悪い少数のモンスター達。そのほとんどはそこでその一生を終えたが、ある1体のモンスターが地獄の長と取引をした。より多くの戦いをし、より多くのモンスターを地獄に堕とす、だから地上で戦わせてくれ、と。

そして、地獄の長はそのモンスター…ブレゼに今までの数倍程の強大な力を与えた。また、地上に戻る際、両手足に鎖を付けられてしまった。


技:四重鎖力

<カルテット・チェーンフォース>


4つの鎖の先端に気を溜め、それを相手に飛ばす。

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