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-CR-  作者: 魔狗羽
3/17

第2話: 召喚

「これから皆さんにはカードを主としたRPGをやっていただきます」


ウィンフ博士が言う。……カード?


「つまり…カードからモンスターを召喚し、敵や野性のモンスター達と戦い、お金を手に入れ、色々買い物をし、ストーリーを進めていく、というような意味です…。もちろん召喚したモンスターはちゃんと形として現れます」


……す、すごい!


「それではこちらの椅子に座って下さい」


そこには、およそ50個くらいの、ぐちゃぐちゃと機械やその配線等のついた銀色の椅子が置いてあった。


「あ、一つ言い忘れましたが、向こうの世界についたら、二人一組のペアを作ってもらいますので…」


シトとリークは一瞬顔を見合わせ、そして頷き合った。


「それでは……CR起動。皆さん、いってらっしゃいませ」


ウィンフ博士の声と笑顔が……博士が何かのレバーを下げた瞬間に霞んで、見えなくなった。




……気が付いたら、全てが白の…上も下もないようなところに立っていた。リークや、他のプレイヤー達もいる。すると、前方に、黄色く光る文字が表れた。


[CRへようこそ]


みんなその文字をただ呆然と見ている。


[二人のペアを作って下さい]


シトはウィンフ博士の言った言葉を思い出した。<向こうの世界に着いたら、二人一組のペアを作ってもらいますので…>という言葉を…。


「リーク」

-

「シト」

。二人の声が重なった。


「「よろしく!」」


他のプレイヤー達のペアも決まったらしい。


[CR-スタート。いってらっしゃいませ]


また、視界が霞み、音が聞こえなくなった。




……ここは…!?


シトはベッドの上で目覚めた。カーテンの開いた窓からの陽射しが眩しい。正面に掛かった時計は7:25辺りをさしている。部屋は全体的にログハウスのように木で造られていて、大きさは…学校の教室の2分の1くらいだろうか。そのスペースに、ベッドや机等が置いてある。


すごい…!ここまでリアルに出来るものなのだろうか…!


机の上に、巾着袋を一回り大きくしたような布の袋が置いてあった。逆さにしてみると、色々なものが机に落ちた。


まず、これは…カード?テレフォンカードくらいの大きさの紙が……20枚入っている。

それから、これも何に使うのかわからないが、厚みは板チョコ2枚とちょっとくらいで、カードを一回り大きくしたくらいの大きさの電子機器。画面やボタンが付いている。やはりゲームなのだろうか、横長のそれの上のところに、細長い穴がある。カートリッジでもを差し込むのだろうか。そして、その"カートリッジ"らしきものが袋から見つかった。


ここに居るままだとどうしようもないので、シトは窓と反対側に付いているドアを開けることにした。


ゲーム-CR-の最初の扉だ。


ドアを開けると、木の造りの廊下に出た。一方の端には下へ降りる階段があり、もう一方の端は<TOILET>と書かれた扉があった。また、隣にも扉が一つ付いていた。


すると、その扉が開いた。そして……


「シト!」


「リークか!なあすごいなこれ!まるで本物だよ!」


「ああ…。ところでさ、机の上に布袋なかった?」


「ああ、あったけど…?」


「その中身さ、何だろうね…カードと機械…」


「うーん…わかんないけど一応持っていった方がいいかもな。RPGだしさ」


「だね。……じゃあとりあえず下行くか」




……1階。


「あら、シトさんにリークさん。おはようございます」


1階は大きなリビングのようになっていた。そこにある、大きな机に座っている体格のいい女の人が、いきなり話し掛けてきた。


「え……?なんで俺の名前を…?」


「何言ってるんですか。下宿人の名前を忘れるようなことはしません」


「え…じゃあ……僕達はここの下宿人……ですか…?」


「リークさんまで。2人して寝ぼけているんですか?」


「わ、わからないんだよ!あなたの名前やこの機械やカードのことが!」


「お…おいシト…」


シトが叫びながらカードを掲げた瞬間----カードが光を放った。


「「う、うわ!」」


……目の前には、動物がいた。いや、動物ではない。……何だこいつ…?人間くらいの大きさで、右手に剣を、左手に銀色の盾を持った、鎧を纏った亀が、そこに立っていた。


「な……何だ…こいつ……」


「ああ、トーラですか。……それにしてもあなたたち、何があったかはわかりませんが、なにもかも忘れてしまったのでしたら、全てお話ししますよ」


シトとリークは椅子に座った。


「まず私の名前はヴェントです。シトさんとリークさんは12年前、このウェンバス宿舎に捨てられ、他の住民と共にここまで育てられてきました」


ヴェントさんは少し辛そうな表情で言った。


「そ、それでこのカードは…こいつは一体なんなんだよ!」


ヴェントさんはシトのタメ語には慣れているようで、普通に返す。


「このカード達にはモンスターが宿っています。カードを掲げると、そのカードに宿っているモンスターが召喚されます。といっても1度に3体より多くは召喚できませんが。さっきシトさんが召喚したのはトーラというモンスターです」


「さっきのが……モンスター……」


二人はさっきのカードをよく見てみた。カードの真ん中に書かれた枠の中に、海中で剣を構えるトーラの姿が描かれていた。


「それで、この世界にはカードにまつわる神話があるんです。神がこの世界を創造した時----

モンスター名:トーラ


海の平和を守る為結成されたトーラ部隊。盾にはトーラの祖先であるとされるモンスターをかたどった彫刻が彫られている。スピードは遅いが、盾によるガードは簡単には崩せない。重く作られた剣の一撃も侮れない。

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