第1話: 友達
[<抽選、当選のお知らせ>おめでとうございます!あなたは新感覚RPG-CR-の最初のプレイヤー達50人の中に選ばれました!一週間後、ラインサンド研究所へお越しください!]
……当たっちゃったんだ……。
朝起きて、郵便受けに新聞を取りに行ったら…これが入ってた。
少年----シトは一ヶ月前、ある雑誌にのっていた<新感覚RPG先取り体験キャンペーン!>と書かれた抽選に暇潰しで応募していたのだ。それが当たったとは……。
まあいいか。何か予定があるわけではないし…。調度夏休みの真ん中で退屈していたのだ。
一週間後----
「母さん、ちょっと出掛けてくる!」
「どこ行くの?」
「遊び遊び!行ってきます!」
都会から少し外れた所にある我が家から、大が付くような都会のど真ん中にあるラインサンド研究所までは歩きで30分とちょっと。
あ、因みになんで俺がラインサンド研究所なんて場所を知っているのかというと、学校の体験学習で<バーチャルの世界について>とかいうので行ったことがあるからだ。
朝早くに家を出た為、研究所に着くのが昼前になってしまった。幸いここが都会なので、すぐ近くにあるファーストフード店で昼ご飯を食べることが出来た。
注文したハンバーガーをカウンターに置いて食べていると、隣にいた男(といっても自分と同じくらいの年齢だが)が話し掛けてきた。
「君もラインサンド研究所の抽選に当たったの?」
「君も…って…じゃあ…」
「うん。俺もだよ。俺はリーク。リーク=ストロヴェルダ」
背はあまり高い方ではない。色白で白髪の少年だ。白や青を基調とした服を着ていて爽やかだ。そして何より目が輝いている。
「そっか。俺はシト。シト=クランヴァートだ。よろしくな!」
「よろしく。ところでさ、ゲーム…っていうかイベントの内容とかって知ってる?」
「え……いやただ<新感覚RPG>としか知らないけどさ…」
「なんか噂だと今日のイベントはP.V.Rの完成型発表会と、それを用いたゲームをやるらしいよ?」
「P.V.R……?」
「簡単に言うと、機械が創りだした架空の世界に入り込めるんだよ」
「え!?マジで!?うお何それすげー!」
「でも……あくまでも噂なんだけどね、そのP.V.R技術の一部分の問題が未解決のまま、今日のゲームで使われようとしているらしいんだ…」
「何それどういうこと?」
「なんかさ、バグるかもしれないんだって。で、もしバグったら架空世界に閉じこめられるとか…」
「な…マジかよ…」
「ま、まあ噂だしね…大丈夫だよ!心配ないって!……あ、もうそろそろ時間だから行こうか」
ラインサンド研究所大ホール----
会場は、自分達と同じ当選者数十人や、マスコミらしき人達で混み合っていた。
「発表って本当にP.V.Rの完成なのかな…?」
「どうだろうね……あ、始まるみたいだよ」
ホール全体が暗くなり、中央のステージにいる人物----ラプジス=ラインサンド博士とウィンフ=モンボート博士の二人に照明がしぼられた。
ラプジス博士は、うろ覚えだが体験学習の時に会った記憶がある。清潔、というより不健康そうな白い白衣と光る眼鏡が印象的で、第一印象は冷徹なイメージがあった。が、学生の自分達に親しそうに話し掛けるラプジス博士は、優しいお兄さんを思わせた。
「本日は、わざわざ私達の為にお集まりいただき、誠にありがとうございます。実は今日、今まで不可能とされていた一技術について、重大発表があるのです。実は私達は、研究を重ね、P.V.Rを可能にしたのです」
会場がどよめきに包まれる。
「私達はファヴォナ粒子を用いて、P.V.Rを完成させました。そして、それの応用である<CR>というゲームを作ったのです」
またも会場全体にどよめきが広がる。
「本日、このゲームの…P.V.Rの最初の体験者として、50人が選ばれました。これから彼等に、この<CR>を体験してもらいましょう。…では、私はここに残るので…ウィンフ君!彼等を特別室へ!」
「は、はい!わかりました!」
ウィンフ博士が急に話しを振られ、あたふたと受け答えた。
「それでは…抽選に当選した方は、こちらへ」
シトとリークはお互い顔を見合わせた。そして、どちらともなく歩きだしていた。
新たなる世界へ----!
こんにちは!魔狗羽です(^O^)
次話からこの<後書き>では作品中に出てきたカード(モンスター等)の説明をしていきたいと思います!もちろん毎回!
あと、物語にこういう人物を出してほしい、こんなイベントをやってほしい等の要望があれば、僕にメッセージを下さい!出来るだけ読者の皆様の期待に沿うようにしたいですのでm(__)m