第16話: 宣戦
‥‥ここはどこ‥‥?
俺は今‥‥寝てた?いや‥一瞬だけ気絶してたような‥‥‥。
で、ここどこ?
‥ヒュゥゥゥ。‥‥
風を‥‥感じる‥‥重力を感じない‥‥俺は‥鳥になったのか‥‥?
‥‥重力を‥‥感じ‥ない?
眼を開く。そこに広がっていたのは、青々とした森の光景で、自分はその光景を見下ろしてる訳で‥‥‥‥‥
‥‥ぅわあぁぁぁぁぁぁぁ!!
ドォォォン!!
‥‥ここはどこ‥‥?
俺はなんで寝てた?確か‥‥暑さで倒れていたような‥‥‥。
で、この状況は何?
そういえばメリアは?リークは?今の爆発で吹っ飛んだのか?
‥キュゥゥン。‥‥
‥‥動物の‥‥鳴き‥‥声?いや‥‥動物ではなくで‥‥
‥キュゥゥン。‥‥
俺の目の前に現れたのは、くりくりした目の、小さい狐のモンスターだった。
「何だこいつ‥‥?」
こんな瓦礫の山まで、何をしに来たのだろうか。
と、その時、遠くから女の人の声が聞こえた。
「大丈夫ー?」
すると、その女の人の声に反応して、狐のモンスターがよく響く綺麗な声で鳴き始めた。
クゥゥゥン‥‥クゥゥゥゥン‥‥
煙のせいで視界は狭められているし、崩れた瓦礫で足場が悪くなっているにも関わらず、女の人は軽い足取りでこちらへ向かってきた。
「貴方がシト君ね。」近付いてくるにつれ、相手の容姿が段々とはっきりしてきた。腰まであるような金髪。瞳には冷たそうな…それでもどこか可笑しそうな笑みを浮かべていた。
「あんた……誰?」
その大人っぽいオーラに少したじろぐ。
「私はリディエ。さぁ、行きましょう」
どこに、と聞く前にリディエは来た道を引き換えしていく。
何がなんだかわからんが……とりあえず着いてこ…。
‥‥いったぁ‥‥
建物の謎の爆発で、ここまで吹っ飛ばされた俺は、見事に尻を打ちました。頭じゃなくてよかったぁ‥‥。
でも、ここはどこなんだろう‥‥?
見渡すと、そこには無数の木、木、木!木漏れ日が綺麗だけどそんなことを言ってる場合じゃない‥‥!森の奥深くにほうり出されたみたいだ‥‥。
さらに事態は悪化する。
バウゥルルルルルルル‥‥
周りから聞こえる嫌な声。
‥‥‥。
囲まれちゃったよ‥‥。
俺の周りには、野性の牛っぽいモンスターでいっぱいでした♪‥‥あぁ‥‥。
「はい、どうぞ」
俺は、山の麓にある小さな家で、リディエに出されたココアを飲んでいた。美味い‥‥!
「それで、シト君はどのくらい腕を磨いたの?」
唐突にそう尋ねるリディエ。それで、って言われても‥‥。
「あの‥‥あんた何者なんですか?俺、あんたのこと知らないし‥‥」
そう問うと、リディエの笑みが深くなった。その時、俺は戦慄を覚えた。
「そうねぇ‥‥貴方達を‥‥追う者?」
「? は?」
「貴方達には才能がある。カードを使いこなす者としての。ジレイルタワーから直々にお願いがあって‥‥貴方達を連れてくるように。でも、今はまだその時じゃない。もう少し自分で経験を積んでから、ね。それまでは‥‥」
何‥だって‥‥?
モンスター名:センガーティオ
牛を実験体とし、ジレイルタワーが作り出した衝撃波系のモンスター。攻撃よりも、バリア等を使った防御系の技を多く使う。
技:波盾<カータック・バリア>
自分の周りにバリアを張り、身を守る。