第13話:火山
お久しぶりです、魔狗羽です。長い間作品を放置してしまって、大変申し訳ありませんでした。
色々事情はあったのですが‥‥これからはまた連載を続けていくことができます!どうぞ、これからもCRをよろしくお願いします。
「あった!おいリーク!あったぞ!」
「‥‥‥‥‥」
ダメだ。完全に熱で会話出来なくなっている。
まあ、無理もないか‥‥‥こんなでかい火山の火口の近くじゃ‥‥。
駅員に『<火の神>として奉られているモンスターがいる場所』を聞いて、それに駅員が応えた時、リークは本当に倒れそうになった。
「それならあのノイレイクの近くですよ。‥‥ああ、ノイレイクはあの火山の中腹にあります」
‥‥‥。
因みに、この街ではあまりの気温の高さに、普通に建てた家だともたないので、皆地下に住むスペースを設けて『家』としているのだそうだ。この街では、そんなに建築技術が発達していないのだ。
「つーか‥‥中腹どころかほとんど頂上じゃねーか‥‥」
あの駅員‥‥これで目的の場所にたどり着けなかったらマジでキレるぞ‥‥。リークを担いだシトが熱さでやけくそになってそんなことを思い始めた時、ようやく白い湯気が漂う熱い湖────ノイレイクが視界に入ってきたのだった。
そしてシトは目を見張った。『<火の神>として奉られているモンスターがいる場所』を見て。
あまり大きくはない真っ赤な鳥居。その奥に静かにたたずむ木で出来た家。これは‥‥神社?それとも道場?
まぁ‥どんな場所であろうと、中に人がいるなら冷房なんかが利いているだろう。とりあえず
入ってみるか。
「すみませーん!誰かいますかー!」
シトの体力ももう結構限界で、叫ぶだけでもつらかった。
すると返ってきたのは、この場所にぴったり過ぎる程の体育会系の男の声だった。
「んー!誰だー!また挑戦しに来たのかー!俺はいつでも大丈夫だぞー!」
‥‥‥‥挑戦?
「あ‥あの‥‥とりあえず‥‥中に入れて下さい‥もう‥限界です‥‥」
「?なんだ子供か‥ってお前達!顔が真っ赤じゃないか!早く俺の家にあがれ!」
声通りの巨漢が現れ、シト達を担いだ辺りで、シトの意識は消えた──。
「‥‥ったく、なんの準備もなしにこんなとこまで登ってくるなんて‥自殺行為だぜ!」
気が付いたらシトとリークは、冷房の利いた畳の部屋に寝かされていた。
「‥‥ここは?」
リークから目覚めた。‥‥まぁ、火山を登り始めた辺りから意識が無かったリークにとって、ここがどこで自分がなんでここにいるのかは全くわからないだろう。案の定、隣で寝かされているシトと心配そうに顔を覗き込んでくる巨漢を見てただただびっくりしていた。これでは最初にこの世界で目覚めた時と同じだ。
「おぅ、起きたか。お前、名前は?」
いきなり巨漢にそう話し掛けられ、リークはしどろもどろになりながら答えた。
「え‥‥‥り、リークです。あの‥あなたは‥‥?」
「おぅ?‥俺はメリアだが‥‥なんだお前達‥‥この俺に挑戦しに来たんじゃあないのか?」
「挑戦‥‥?どういうことですか?俺達は<火の神>とされているモンスターの話を聞き、ノイレイク辺りまで来ていたのです‥‥が‥‥‥‥!ここは何処です?俺ずっと気を失ってたみたいで‥‥」
「ほう‥‥<火の神>、ねぇ‥」
巨漢──メリアはにやり、と笑った。
「安心しろ。そこは‥ここだ。あいつがお前担いでここまで来たみたいだな」
そういってメリアはまだ倒れているシトを指差した。
「来い。案内する」
「え‥‥シトは‥‥?」
「もうすぐ起きんだろ。さ、いくぞ」
メリアは有無を言わさぬ口調で言い放ち、立ち上がった。
今回も新しいモンスターは登場しなかったのでモンスター紹介は無しです‥‥。
因みに、この後書きでしばしば登場するジレイルタワーは、いずれ物語に深く関わっていくことになります。