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-CR-  作者: 魔狗羽
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第12話: 境遇

「‥‥‥‥」


レグナタワーの隠し部屋‥‥シトがランベイルやロズビートと激戦を繰り広げた部屋にある机に腰掛け、シトは1人でぼーっとしていた。白い電気や暗転したコンピュータが、部屋を寒々しく感じさせる。


シトは自分の腕を見る。皮膚がめくれ、血がじわじわと広がっていく。カードをポケットにしまう。


「‥‥‥‥」


シトは少し長めの沈黙の後、深くはないけれど長いため息をつき、立ち上がった。




「父さん‥‥‥」


部屋の電気は消してある。机に座り、机に付いているスタンドの明かりでカードを眺めるリルグ。


「僕は‥‥‥カードを‥‥カードで‥‥‥どうすれば‥‥‥」


リルグは、1年前に行方不明になった父のことを考えると、自然に涙が出てきた。リルグは声を出さずに涙を流す。




「‥‥‥え?捕獲に失敗したの?‥‥うん‥‥うん‥‥‥わかった。後は私に任せて。うまくやるから。‥‥え?まだもうちょっと時間がかかりそうだよ。シト達を捕獲するのと同時に、彼等を成長させなきゃいけないしね。‥‥うん、また連絡して」


フェイム宿舎の1室。ベッドに寝転がりながら、ラヴィアは機械−−無線を、切った。




「あら‥‥まだ起きてたのかい」


「‥‥なんだよ‥‥」


飲み物を取りに部屋を出たリルグは、調度家に帰ってきた母に会った。


「‥‥‥あのさ‥‥あんた‥‥父さんのことだけど‥‥」


母の口から『父さん』という言葉が出て、リルグの目付きが鋭くなる。


「あんだよ!父さんのことを放っておいて!」


「探しに‥‥行ってもいいよ‥」


「‥‥‥‥!?」


「‥‥‥あのねぇ、さっき‥‥‥‥‥‥




「おぅ!お帰り!どこ行ってたんだよ?」


シトがウェンバス宿舎に着くと、リークが宿舎の扉の前で待っていた。


「ああ‥‥レグナタワーに‥‥行ってきた」


「‥‥‥何それ?」


「わかんない。でも、倒した」


「‥‥え?」


「なんか知らないおばさんに聞いたんだけどさ‥‥‥‥‥‥




翌日−−。


シトとリークは、朝食の時にヴェントさんに聞かされた<火の神>の話に興味を持ち、リポーテルタウンから少し離れたノイタウンのノイレイク周辺に行くことになった。


「おはよーっ!ラヴィアー!俺等ノイタウンってとこに行くんだけどー!一緒に行こーぜー?」


2人はフェイム宿舎の前でラヴィアを待った。すると、昨日の明るい表情とは全く違う、真剣な表情で彼女は現れた。


「あ‥‥‥‥おはよ!ごめん!今日は一緒に居られないや!用事が出来ちゃって!本当にごめんね!悪いけどまた誘って!じゃあ!」


いい終わるのと同時に扉が閉められた。


「「‥‥‥」」


彼女が無理して明るく振る舞っているのはすぐにわかった。それに、時間が勿体ない、とでも言うように一気にまくし立てていった。それとも、無理に明るくしているからあんなに速くなってしまったのだろうか‥‥。


2人は無言で顔を見合わせ、頭に疑問符を浮かべる。


「‥‥‥ま、しょうがないか。じゃ、2人で行こうよ」


先にリークが沈黙を破った。


「あ‥‥ああ‥‥」




現実世界−−。


『‥‥<現場から実況中継です!オウロさーん!>‥‥えー今も次々と世界中の人々がゲーム内に取り込まれていきます!これは大変なことになってしまいました!今、消失してしまった事がわかっている方の身内の方々が、ラインサンド研究所に駆け付けています!えー今のところ、わかっているだけで消失した人の数は4300人余りに達しています!それでは、まず最初に50人のゲームプレイヤーを発表していきたいと思います!』


シミロも帰宅し、リントと2人でこのスクープを見ていた。


そして‥‥‥。


「‥‥‥‥え?」


50人の中から、見つけてはいけない名前を、2人は見てしまった‥‥‥気がした。


瞬間、シミロはテレビ画面に、ほとんど全力疾走とも言えるような小走りで近づく。


「‥‥‥‥‥シ‥‥‥シトォォォ!」




「‥ん?なんか言った?」


「え?あ、いやノイレイクってどんなとこなのかなって思って‥」


昼前−−。シト達はシール・ラインという電車に乗ってリポーテルタウンからノイタウンへと移動中だ。ぽかぽかしていて、昨日の厳しい戦いが嘘のようだ。


それにしても‥‥。


昨日、ランベイルが言っていた<情報>とは何のことだったのだろうか。『渡さない』と言う辺り、何か重要な、そして見られたくない情報なのだろうか‥‥。


考えてもうまくまとまらず、ふと顔を上げた。すると、そこにはのどかな町並みと、そのバックに大きな山が見えた。山頂から湯気が出ているように見えるが、あの山は火山なのだろうか。


「へぇ‥‥のどかでいいな‥‥ってかさっきから段々暑くなってきてね?」


暫く昨日のことで考えを巡らしていたシトは今までそのことに気付かず、火山を見てから自分の額に汗が浮かんでいることに気がついた。


「そ‥‥そういえばそうだね‥‥」


リークは暑さに弱いらしく、走っている訳でもないのに、ハァハァと息を切らしている。


‥‥<CeaR Line>というロゴが入った電車をバックに、シト達はノイタウンに着いた。


「はぁー暑っ!なんだよここ!」


「う‥‥うん‥‥流石火の神の都市‥‥だね‥‥」


リークはもうダウン寸前である。そして、2人共喉がからからだ。


2人は売店かコンビニか‥‥とにかく水を探していたのだが‥‥コンビニどころか、建物が全く見当たらないのだ。駅の改札を出たところから見えるのは、四角く網の目のように敷かれた道路と、その道路毎に区切られた土やアスファルト、そしてその区切り毎にある大きな蓋だけである。


「‥‥‥なんだアレ?」


「‥‥‥‥さぁ‥‥‥」


もうリークの声は消え入りそうな程小さい。


「とりあえず、駅員にノイレイクの場所、聞いてみるか」


シトはリークを半ば引っ張るような感じで、改札口の横にいる駅員の元へ歩きだした。

こんにちは、魔狗羽です!

今回は新しいモンスターが登場しなかった為、モンスター紹介は無しですf^_^;

「こんなモンスターやキャラがいたらいいな」

「ここをこうした方がよい」

等の希望がありましたら、どんどん言って下さい(^^ゞ勉強になりますのでm(__)m

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