02*想っては消え、もろく崩れる。
最初のきっかけは君がくれた。
いつも、いつも、君にだけは勝てなかった。
頑張って、それでもダメで、でもやっぱり諦めきれなくて。
*
初めて行った数学のテスト。
私にはそれなりの自信があった。けれど結果は学年で3位。
2点差で私の上にいたのは君だった。
今思えば、初めて君を意識したのはあの時だった。
君が文型希望だと聞いたときは、本当に悔しかった。
理系に進みたい私が負けた?
悔しさがいつしか慕う気持ちに変わったのはいつだろう。
*
ねぇ、どうしていつも目が合うのかな?
私が見ているから?違うよね。だって見えるよ。こっちを見ている君が。
やさしくて、親切で、私の出来ないことすべてが出来る君。
何でだろうね。最初はただの憧れだったのに。君に勝ちたくて頑張っていただけなのに。
どうしてだろう。こんなにも君を想ってしまったのは。
そっけない態度の裏側にある君の優しさがなんだか嬉しいんだ。
君のおかげで毎日が楽しい。同時に感じる憂鬱も君のせい。
全ての感情を君がくれる。
君の隣に達人が、私以外のだれかだったとしても私はそれを受け入れるから。
別に不思議なことじゃない。
望むほうが変なんだ。
そのときは、君の幸せを願うから。
笑っていて欲しいんだ。君だけには。
*
こんなにも人を愛おしく想ったのは初めてだから、自分の感情が理解できない。
でもね、やっぱり嬉しいよ。どんな理由でも君が笑えば私も嬉しい。
だから君が私を想う必要なんて本当はないんだ。
別に高望みするつもりもないし、考えてもいない。
君さえ幸せでいてくれたら、私なんてどうでもいいから。
だからいつでも笑っていて?
・・・・その声を聞くだけで頑張れる。
でもやっぱり振り向いて欲しいよ。
浅ましい考えが前後する中、私は今日も眠りにつく。
おやすみなさい。また明日。
君の見る夢が幸福でありますように・・・
――幻想が崩れるまで、あと7ヶ月。
連載2話目です。
徐々に”私”が彼に想いを抱く理由が現れだしました。
物語はまだ前半です。
甘すぎる彼への想いを見てやってください。
・・・同時に”私”が辿っていく道も。