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怪奇怪  作者: ゆずちょこ
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オキテル

7月のまだまだ暑い朝。

僕たちは、海に来ていた。

「いやー、やっぱり海はいいねぇー!」

友人のタクヤが伸びをしながら呟いた。

海は最高だ。

涼しい潮風、近づいては離れていく波。

みているだけで心が洗われる気分だ。


そんな思いに耽っていると、昔からの夢を思い出した。

砂風呂だ。


「なあタクヤ。ちょっと砂風呂してくれない?」

と、タクヤに頼むと、二つ返事でOKしてくれた。


人が多いと恥ずかしいから、あんまり人のいない場所を選んで砂に埋めてもらった。


顔にはパラソルがかかっていて、すぐにウトウトし始めた。


夢の中へと落ちかけていた時、不意に足音が聞こえて来た。

すると、若くはない女の声で聞こえて来た。

「オキテタラヤル」

妙に抑揚のない声で疑問に思ったけど、眠気に負けて、そのまま眠りについた。


それから何時間か経って、もう夕方になっていた。


近くにタクヤがいないことに気づいて、砂風呂から出て探しにいった。


無事タクヤを見つけて、パラソルを片付けて帰ろうとさっき砂風呂をしていた場所に戻ると、ビリビリに破れたパラソルが、自分の頭があった場所に大量に刺さっていた。


ゲッと思って顔を顰めていると、遠くの方でざわざわと声が聞こえて来た。


振り返ると、赤い点が近づいて来た。

よーく目を凝らしてみると、赤い服を着た女が何かを叫びながら走って来ていた。


びっくりしてここまで乗って来た車まで走った。

その女は異様に足が早くて、だんだん近づいて来ているのがわかった。


それと同時に、女が叫んでいる内容がわかった。

「オキテル!オキテル!」

とても嬉しそうに、願いが叶ったかのように叫んでいた。


なんとか車に乗り込んで、ドアにロックをかけて、ドライブルートの設定をしていると、ゴンッと窓が叩かれた。


とんでもなく嫌な予感がした。

ゆっくりと横を見ると、やっぱり、女がいた。


顔は歪んでいるのかと思うほどの満面の笑みで、手にはナイフを持っていた。


急いで車を出し、家の方向がバレないようにわざわざ反対方向から遠回りをして家に帰った。


それからは海には行けていない。

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