表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

俺はソファーの上で目を覚ました。

どうやらテレビで動画配信サービスを再生させたまま寝てしまったらしい。


俺の名前は寺原和也。職業はプログラマーだ。

決まった企業に就職しているわけではなく、フリーのプログラマーとして様々な企業のお手伝いをして生活している。

依頼がたくさん来る時期とそうでない時期があり、今は年度末ということもあり、依頼が殺到している。

動画配信サービスを見ながら、ちょっと遅い夕食を摂っていたのだが、そのまま寝落ちしたのだ。


このソファー、とても座り心地は良いのだが、寝心地がイマイチである。

むくりと上体を起こし、グラスに残っている麦茶をあおる。

今年44歳になる俺にはそろそろ徹夜が続く生活は体にダメージが残り始める。


自動で消えたテレビの黒い画面を眺めていると


「うーん。」


何やら後方から若い女の唸る声が聞こえた。


誰もいるはずのないこの家で、若い女の声がするはずがない。

そう思って振り向いた。



そして俺はフリーズした。

頭が真っ白になったのだ。

視界に入る若い女の尻。

その尻には紙おむつが履かれており、めくれた布団から紙おむつがこちらを見ている。


リビングがあるソファーの後ろには和室があり、そこにはベッドが置いてある。

自慢じゃないが、このベッドは今まで寝てきたどのベッドよりも寝心地が良い。

最強の神器なのだ。

一度このベッドで寝ると、もう他のベッドでは満足できない。


そんなどうでもいいことを考えていると再び尻が寝返りをうつ。

もう3月とはいえ、夜はまだ寒い。

エアコンをつけて、ファンヒーターもつけて、できるだけ家の中を暖かくしている。

この最強ベッドにはもうひとつ、最強の掛布団が搭載されている。

一見、薄くて存在意義を疑われるような安物の掛布団に見えるそれは、とにかく暖かい。

夏は不要の長物になってしまうが、冬はこれ一枚でエアコンもファンヒーターも必要がないくらい暖ることができる。

確かに2980円という近所の激安の殿堂で購入した安物であるが、紛れもなく神器である。


どうでも良い回想に入ってしまったが、尻はその神器を2種類も装備して横たわっている。


「ちょっ!」


俺は慌てて掛布団を掛けなおす。

尻は神器によって隠され、平穏な空間が戻ってくる。

と思ったのも束の間、尻の主と目があった。

起きたばかりなのであろう。声も出さず、眠そうな眼差しをこちらに向けてくる。

状況を理解できていない、警戒した目だ。


そりゃそうだろう。

40過ぎのオッサンが寝ている自分の目の前に立っているのだ。

警戒しない方がどうかしている。


「いや、尻丸出しだったから目のやり場に困って布団かけにきたんだ・・・」


そう言い訳をすると、尻の主は再び目を瞑り、睡眠に戻った。


いつまでも尻の主と呼ぶのはさすがに彼女に失礼なので、軽く彼女のことを紹介しておく。

彼女は青山梨亜。26歳のかわいらしい女の子である。

なぜそんな彼女が40過ぎのオッサンの家にいるのかは追々話をしていこうと思う。


これは天真爛漫でサイコパスな彼女と、フリーのオッサンプログラマーの奇妙な同居生活の物語である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ