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第57話 Cランク冒険者


 秋ヶ瀬ウォリアーズの3人と1階層で活動した翌日。


 さらに俺はスパートをかけた。

 その日、朝食はうちではとらず売店のサンドイッチで済ませることにして、いつもより1時間早く7時過ぎから3階層で活動し1日を通して核を70個手に入れた。


 買い取り額は69万2千円。

 累計買い取り額は4969万9千円。

 明日40個核を手に入れたら確実に5000万円の大台突破だ!

 そしたら買い取り所に直行して買い取ってもらい、そのまま免許センターに行って昇格だ!



 そしてその翌日。

 この日も1時間早くから3階層で活動し、12時少し前、その日40個目の核を手に入れた。

 30分かけて買い取り所まで戻った俺は、外した腰袋から40個の核をトレイに空けた。

 総買い取り額は40万1千円。

 累計買い取り額は5010万。


「おめでとうございます。

 しかしすごいですねー。1カ月弱で5000万円突破とは。

 それはそうと、その肩の上のフィギュア可愛いですね。

 まるで生きてるみたいです。

 最近のフィギュアは精巧なんですね」

 俺はフィオナについては何も言わず「ありがとうございます」と言って、武器預かり所まで駆けていき武器を預けたその足で免許センターに向かった。



 前回同様免許センターの玄関に入ってすぐの昇格手続き窓口に回った。


 今日も窓口前には人が並んでいなかった。

「お願いしまーす」

 窓口の人に青色のカードを差し出した。

「BランクからCランクへの昇格ですね?」

「はい」

 窓口の係の人は俺が差し出した冒険者証を見て、

「長谷川さんでしたね。1カ月でCランクとは」


 その場で写真を撮って10分ほどで新しい俺の冒険者証ができ上った。

「お待たせしました。

 これで16歳のBランク冒険者はいなくなり16歳のCランク冒険者が誕生しました」

「どうも」

 手にしたCランク冒険者証には緑色の線が1本入っていた。

 今回も新しいカードホルダーと緑色のネックストラップをもらった。

 緑のストラップが目に優しいー。

 カードホルダーに冒険者証を入れてストラップにくっ付けて首から下げておいた。

 

 これで俺もCランク冒険者だ。

 フフフフ。

 今日は8月22日。まだ9日も夏休みが続く。

 ウヘヘヘ。


 小走りに免許センターのドアガラスに映った俺の顔はニヘラ笑いした。

 俺はまだ昼食を食べていなかったので朝用意していたおむすびセットを免許センターの敷地の中の芝生の上に座って食べていたら、警備員のおじさんがやってきて追い出されてしまった。

 仕方ないのでおむすびを食べながらその辺りを歩きまわった。

 警備員のおじさんは何も言わなかった。


 Cランク冒険者になってウキウキなのだが、さすがにこれからもう一度ダンジョンの中に入りたくはなかったので、売店で4階層と5階層の地図を買ってからうちの玄関前に転移した。


 うちに帰った俺は今週の防刃ジャケットをクリーニングに持っていって、新しく先週出していた防刃ジャケットを取ってきたりした。

 この時、冒険者証で支払ったがクリーニング屋のおばさんは青のラインの時も気づいてくれなかったけれど、緑のラインにも気づいてくれなかった。

 ちょっとだけ残念だ。


 クリーニング屋から戻った俺はさすがに夏休み中何の勉強もしないわけにはいかないと思い、教科書を取り出して夕食まで復習することにした。


 フィオナが机の上に立って教科書をのぞきこむ中、どんどん読み返していく。

 しっかり内容を覚えていた。

 数学など教科書に例題の載っているものは、適当に例題を選んで解いてみたが、簡単に解くことができた。

 これなら大丈夫。


 これから先、万が一成績が下がることがあっても、少なくとも冒険者を続けていけば食べていけるので安心ではある。

 持つべきものは手に職だ。

 精神年齢26歳はだてではない。



 そして翌日。

 この日も朝7時にご出勤だ。


 玄関前からサイタマダンジョンセンター横に転移して小走りで門を抜けてその先の売店に駆け込み朝食用のサンドイッチと牛乳、昼食用のおむすびセットと緑茶のペットボトルを購入。

 冒険者証で支払ったのだが、やはり緑の線が眩しい。

 さすがに冒険者たちの目を引いているようだ。


 いけね! ヘルメット被ってなかった!

 今さらか。

 肩にはフィオナが止まっているし。


 売店で買い物を済ませた俺は武器預かり所に行って武器を払いだしてもらい、その場で装備。

 歩きながらヘルメットをかぶって1階の改札を通り、さらにその先の渦を抜けた。


 途中でヘルメットを脱いで、行儀は悪いが朝飯のサンドイッチを食べながら階段小屋まで歩いていった。

 牛乳を一飲みしてから改札を通って階段を駆け下りた。

 2階では人目を避けて、2階層へ続く3階層の階段の近くの坑道に転移した。


 運がいいだけのたまたまなのか、そういう仕様なのか、これまで一度も転移先で誰にも見とがめられてはいない。

 今回も周囲に冒険者はいなかった。


 これまで4階層に続く階段には用はなかったので階段まで行ったことはない。

 今いる坑道を奥の方にまっすぐ進めば4階層に続く階段があるはずだ。

 とは言えここで迷っては時間の無駄なので3階層の地図をリュックから取り出して見当をつけ歩いていった。

 前方にキャップランプの明かりも見えるし間違いない。


 15分ほど歩いたら4階層に続く階段前の改札に出た。

 階段小屋には改札の脇に係の人が立っているが、ここには人は立っていなかった。

 さすがに利用者が限られるうえ大変だものな。


 改札に冒険者証をかざして階段を駆け下り4階層に到着。

 ここで手袋をはめながら周囲をざっと見まわした。

 感じは2階層、3階層と同じだった。

 階段を下りた先はそれなりに広い空洞で、2階層、3階層の階段下の空洞と同じように坑道の出入り口が何個も開いていた。


 4階層と5階層を比べた場合、若干5階層の方がモンスターの数が増えるそうなので俺は地図を見ながら5階層に続く階段を目指して4階層の坑道を進んだ。

 途中ディテクターを発動して周囲を探ったところ複数の反応があったが無視して先を急いだ。


 15分ほど坑道を直進したら5階層への階段前に到着した。 


 階段を下りて到着した5階層。

 ここもそれなりに広い空洞が広がっていて、空洞には何個も奥に続く坑道の口が空いていた。

 たいてい階段下の空洞には誰かがいるのだがここには誰もいなかった。

 人口密度が低いことはいいことだ。


 ディテクターを発動させたところ、ちゃんと反応があった。

 事前情報によると、ここの階層ではモンスターが1匹から3匹出てくるそうで、大抵は3匹なんだそうだ。

 モンスターの種類は、スライム、ムカデ、大ネズミ、蜘蛛といった2、3階層のモンスターに加えて大トカゲとオオカミが加わる。

 2、3階層のモンスターも4、5階層のものは少し素早く、そして打たれ強くなるという。

 俺にとっては50歩100歩。

 いや、目くそ鼻くそ。

 体感できるような差はないと思う。


 さっそく、サーチアンドデストロイモードで一番近くの反応に向かって俺は進んでいった。



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