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第44話 サイタマダンジョン常態に戻る


 夕食を終えて部屋に戻って机の椅子に座りスマホでサイタマダンジョンセンターのホームページを見たら、今日の午後9時から2階層以降に潜れるようになるようだ。

 フィオナが机の上に立ってスマホをのぞき込んで驚いた顔をするのが何気にかわいい。


 なんでも2階層と3階層を完全封鎖した上で、C、Dランクの冒険者120人ほどで掃討作戦を展開したそうだ。

 掃討作戦を実施したものの下の階層からの移動したと思われるモンスターは発見できなかったそうだ。

 よくわからないがこれで一件落着したということだろう。

 サイタマダンジョンとしてもいつまでも下に潜ることを禁止できないし、潜ること自体は自己責任だし。

 下の階層のモンスターが現れなくなるとさみしいが、アレは俺にとってのボーナスタイムだと思っておこう。

 また『出てこい、出てこい、モンスター』とか歌ってたら出てくるかもしれないしな。


 俺には関係ないが3階層から4階層に下りる階段前の改札機はまだ修理ができていないので、係の人が人力で冒険者証の確認をするそうだ。


 あと、トウキョウダンジョンのことが気になったのでそっちのホームページを見たところ予想通り現在2階層以降へ侵入は禁止されていて、今のところ侵入禁止が解除される目途は立っていないそうだ。

 サイタマダンジョンの例に倣って、C、Dランクの冒険者を集めて何とかするのだろうと思う。


 フィオナが飽きてきたようであくびをして自分の家に戻ってバスタオルの上に横になった。

 俺も情報収集はそれくらいにして早めにベッドに入ろうと思ったが、ふと気になってフィオナが寝ているバスタオルを見たら、すごく高級そうなフカフカのバスタオルに代わっていた。

 大事にされることはいいことだ。

 電気を消して。

 それじゃあ、おやすみなさい。




 翌朝。


 新しい防刃ジャケットを着てその他もろもろ準備を終えた俺は、タマちゃんとフィオナを連れてサイタマダンジョンにご出勤だ。


 少し大きめの核を買い取り所に持っていくのはマズそうなので、2、3階層モンスターの核を60個レジ袋に入れてリュックに詰めている。

 せっかく買った核用ケースは使いでがなかったのでリュックから出して俺の部屋にある本棚の隅に置いている。

 小金持ちになっていい気になって買ってしまったということだろう。

 レジ袋で十分だった。


 玄関を出てからサイタマダンジョンに転移しようと思ったら、門の外に結菜がいた。

 部活に行くみたいで、制服を着てラケット入れを肩からかけて、大きなスポーツバッグを持っていた。


「おはよう。

 奇遇が続くな」

「おはよう。

 ふーん。それが一郎のユニフォーム?」

 俺の防具姿を横目で見て結菜が一言。


「ユニフォームとは言わなくて防具姿だ」

「黒とかネズミ色とかずいぶん地味なのね」

「ダンジョンの中で派手な格好しても仕方がないからな」

「そ。

 まっ、ケガしないように頑張りなよ」

「ああ、お前もな。

 そうだ」


 俺は結菜とテニスデュエルをしてやろうと考えていたことを思い出した。

「何よ?」

「お前が良ければだけど、俺とテニスで勝負しないか?

 お前が俺に勝ったら、好きなものをおごってやるよ」

「一郎、本気で言ってるの?

 あっ! そうか!

 一郎はわたしに高いものおごろうと思ってるのね。

 ありがとう!」

 いいように解釈するもんだな。


「どうとってくれてもいいが、勝負するんだな?」

「もちろん。

 じゃあ、どこで勝負する?

 今日の部活は午前中だけだから午後2時でどう? その時間、暑くて公園のテニスコートが空いてるはずだから予約しておく。

 予約の結果は一郎のスマホにメールしておくからスマホもちゃんと見てよ。

 あとコート代は割り勘だからね」

「もちろんだ」

「そう言えば一郎はテニスシューズとかラケット持ってるの?」

「いや全然」

「テニスラケットは貸してあげるけど、テニスシューズが無いとコートに入れないよ」


 そんな規則があったのか。

 なら、今日は午前中でお仕事は終えて、テニスシューズをスーパーで買っておけばいいな。

「シューズは用意するから大丈夫だ」

「一郎、テニスシューズって安くはないのよ。

 大丈夫なの?」

「大丈夫」

「分かった。2時に公園のテニスコートで」

「了解」

「それじゃあね」


 結菜は当然勝つ気でいるのだろうが、冒険者を続けていると身体能力が上がるって知らないのだろうか?

 知ってはいても俺の身体能力が急に上がるわけはないと思っているのか?

 フフフフフ。


 結菜が駆け足気味に駅の方に歩いていったので、俺はサイタマダンジョンセンターに向けて転移した。



 渦を抜けてダンジョンに入った俺は一直線に3階層まで下りて狩をした。

 出てくるモンスターは3階層のモンスターばかりで、下から上がってきたようなモンスターは皆無だった。

 現れる時のモンスターの数も1匹だけ。

 実に物足りない。


 こうなってくると早めにCランクに昇格したくなってくる。

 結局午前中の成果は、核が18個だった。

 うちから持ってきた60個と合わせて、78個ということになる。

 この日は外で昼食を取ろうと思っていたので弁当のおむすびは買っていない。

 11時になったところで俺は引き揚げ始め、11時40分には買い取り所の個室に入っていた。


 カウンターの上のトレイにジャラジャラとレジ袋を空けて核を出したらひどく驚かれた。

 数に驚いたのだろうと思うが、レジ袋にぞんざいに入れていたことに驚いたのかもしれない。

「全部で78個。

 これをおひとりで?」

「はい」

「あー、そう言えば長谷川さんですものね」

 俺の名まえってこのセンターで売れてるみたいだ。


 買い取り額合計は80万円。

 これで累計買い取り額が4032万2千円になった。

 Cランク昇格ラインの5千万円まであと1千万円。

 何とか夏休み中に達成したいものだ。


 ダンジョンセンターを出た俺は久しぶりに帰り道を歩いて、かねてから目を付けていたコーヒー屋に入った。

 そこで、フランスパンと簡単なサラダが付いたスパゲティのセットを頼んでみた。

 スパゲティは大盛にしたが値段は一緒だった。

 大盛スパゲティは結構ボリュームがあったがもちろん完食した。

 余は満足じゃ。



 昼食を食べた俺は、腹ごなしも兼ねて、スーパーに歩いて向かった。

 エスカレーターでスポーツ用品売り場に行き、テニスシューズを見繕った。

 8千円くらいでよさげなテニスシューズが見つかったのでそれを買った。

 色は例のごとく黒だ。


 いったんうちに戻った俺はテニスシューズに靴ひもを通して準備完了。

 スマホを見たらちゃんとコートを予約できたようだ。

 さーやるぞ。


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