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第329話 付録3、転移板2


 タマちゃんに転移板をもう2組作ってもらった。ひとつはシュレア屋敷と王都のまだ見ぬ屋敷に設置するもの。もうひとつはうちと博多の父さん母さんのマンションに置くものだ。

 うちと博多のマンションだと直径が2メートルもある円盤は大きすぎるので直径1メートル20で作ってもらった。魔力電池もその分小さくなって転移回数が500回と半減したが、電池を替えるだけなので問題ない。


 タマちゃんに聞いたところ、転移板はいくらでも作れるということだった。これを世の中に公開したらとんでもないことになりそうなので、父さん母さんには秘密だからとか言っておいた。


 その翌日。王都に屋敷を買いに行かせた自動人形たちがシュレア屋敷に帰ってきた。

 金貨5000枚でそれなりの屋敷を買ったそうだ。金貨5000枚は運んだわけではなくシュレア商業ギルドで金貨1000枚分の商業ギルド振出しの手形を10枚購入して、それを王都の商業ギルドで現金化したものだ。手形が本物であることの証明に、かなりたくさんの書類がくっついていたがとにかく無事にその手形を使って屋敷が買えたわけだ。

 金貨1万枚分の手形購入には金の延べ棒を8本使っておつりをもらっている。


 俺は王都の屋敷の位置を記した地図と屋敷のカギ束を自動人形にもらったので、さっそく翌日から1日2時間、夜の街道を王都に向けて走ることにした。今週は土日連休なので日曜の夕方には王都の新屋敷に到着できると思う。



 翌日。


 学校からうちに帰った俺は防具に身を固め、ジュニア入りのリュックを背負ってシュレア屋敷に転移した。もちろん右肩にはフィオナが止まっている。

 今日からシュレア屋敷での夕食時間は30分遅らせてもらうことにして、それまでの2時間、王都に向かって駆けていくつもりだ。


「いってくる」

 ミアたちが道まで見送ってくれる中、俺は走り出した。


 大通りに出てそのまま北に向けて走っていけば王都まで一直線だ。

 2時間も走れば、40キロは走れる。


 時速20キロというと、オリンピックのマラソン選手のスピードだ。疲れてもスタミナの魔法をかければ完全回復してしまうので、いつまででも走り続けられる。なので時速30キロくらいまでならコンスタントに走り続けられるのだが、それだと目立ち過ぎるので、あくまで人としてすごく速く走れる程度にとどめておく。


 2時間走ってシュレア屋敷に戻って夕食を食べ、うちに帰って風呂に入ってフィオナ監督の下宿題を済ませる。

 程よく疲れているのですぐ寝付けるのでとってもお得だ。


 そうやって3日間走った。おそらく120キロ進んでいるので、王都まであと380キロ。


 そして土日連休がやってきた。

 連休中1日8時間走れば160キロ。2日で320キロで残り60キロ。来週の火曜日には王都に到着できる計算だ。


 午前8時から4時間走って転移でシュレア屋敷に戻り昼食を摂る。午前中の最後の位置に転移で戻って13時から17時までの4時間走り、またシュレア屋敷に戻って夕食を摂る。実に充実した土日だった。


 週が明けて月曜2時間走り、火曜になって1時間走ったら計算通り王都の門をくぐることができた。そこからは速度を落として地図を見ながら王都内を移動して何とか新しく買った屋敷にたどり着いた。


 新屋敷の周りは閑静な屋敷が立ち並んでいて、いわゆる高級住宅街。

 自動人形が購入したのは、外から見た感じはシュレア屋敷よりだいぶ大きな敷地で敷地内に建っている屋敷も立派に見えた。

 実物を見るまでかなり高い買い物だったけど王都だからなーとか思っていたが、かなり安い買い物だったのかもしれない。


 門の脇にある通用口のカギを開けて屋敷の敷地の中に入ったところ、前庭が広がっていた。

 その前庭はちゃんと整備されて庭園になっていた。

 その庭園の中を進んで玄関にたどり着き、カギを開けて中に入った。


 扉を開けたら、ここも変わらず玄関ホールだったが、ここの玄関ホールはシュレア屋敷のそれよりだいぶ広かった。そしてシュレア屋敷同様ちゃんと磨き上げられていた。


 俺はさっそく転移板を玄関ホールの隅に設置してから、玄関ホールのカギを内側からかけてシュレア屋敷の玄関ホールに転移した。

 シュレア屋敷の玄関ホールでは、新館につながった転移板の反対側の隅に新しい転移板を置いた。これで準備完了。


「おーい。王都の屋敷に転移板を置いてきたぞー」

 と、大声で2階に向かってミアたちを呼んだら、すぐにミアたちが階段を下りてきた。


「じゃあ、今からでも王都に行けるんだ!?」

「行けるぞ、行ってみるか? 俺も屋敷の中は玄関ホールしか見てないから向こうに行くけどな」

「じゃあ行く」

「わたしも行きます」

「カリンとレンカもな」

「「はい」」


「俺は転移で先に王都屋敷の玄関ホールに跳んで行くから、ミアたちは4人でまとまって転移板に乗ってもいいだろう」

「分かった」「「はい」」


 俺が先に転移して、ミアたちを待っていたらすぐに4人が転移板の上に現れた。

 初めて転移で人が現れるところを見てしまった。当たり前だがいきなり現れた。それ以外特に感想はなかった。


「館に行ったときと同じだった」と、ミア。

「そりゃそうだろ」

 ミアの場合は俺が転移で何度も連れ歩いているから、それほど驚くようなことじゃないしな。

「アキナちゃんはどうだった?」

「館に一度行った時と同じといえば同じですが、やっぱり緊張しました」

 そうだろう。

「すぐに慣れるから大丈夫だよ」

「はい」

「新館からここに自動人形を連れてきて近代化してからいろいろなものを揃えていこう」

「分かった」

「「はい」」

「基本はシュレア屋敷と同じだけどな」


 それから俺たちは屋敷の中を探検し、一通り見終わった後裏庭に出た。


 裏庭には蔵が何棟か建っていてその先は腰ほどの高さの石組み塀のようなもので仕切られていた。

 その塀から下を見たら運河だった。

 塀の中で切り抜かれたところから運河に下りていけるよう階段が下に続いていて、階段の下は簡単な船着き場になっていた。さすがだ。この屋敷の以前の持ち主は領地持ちの貴族かなにかで、ここは上屋敷だったのかもしれない。



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