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第327話 付録1、ミアとアキナ


 ある日の夕方。


 ラザフォート学院の授業を終えて、屋敷に戻ったミアとアキナが夕食前にお風呂に入ってこれからのことについて話していた。


 カリンとレンカもミアたちと一緒にお風呂に入ったのだが、ふたりはいつものようにシャワーで体と髪を軽く洗うだけで済ませているので浴室にいるのはミアとアキナだけだ。

 ミアとアキナふたりだけのときは、こちらの言葉で会話している。


「ねえ、ミアちゃん。ミアちゃんはラザフォート学院を卒業したらどうするの?」

「イチローも、ソフィアも大学に行った方がいいって言ってたから、大学に行こうかなって思ってるんだ」

「大学で何を勉強するの?」

「わたしは考えたんだけど魔術を勉強しようかなって」

「そうなんだ。でも、どうして魔術なの?」

「イチローの国には魔術ってないんだって。イチローは魔術は使えるけど、ちゃんと学問として習っていないから人には教えられないって言ってた。わたしが大学で魔術を学べばイチローの国に魔術を広められるんじゃないかなーって思っているの」

「ミアちゃんスゴイこと考えてるんだ」

「考えているだけだけどね」


「それでミアちゃんはどこの大学に行くの?」

「王都の大学。イチローはわたしたちが大学に通うために王都に屋敷を買うって言ってた。ラザフォート学院の編入試験とちがってちゃんとした入学試験があるそうだから頑張らないといけないんだ」

「わたしたちというとカリンちゃんもレンカちゃんもミアちゃんと一緒に王都の大学に行っちゃうんだよね。王都は遠いからずっと離ればなれになっちゃうんだ」

「だからアキナちゃんも一緒に行こうよ。アキナちゃんは今みたいに王都の屋敷に下宿すればいいだけだし。アキナちゃんは大学には行きたいんだよね?」

「それはね。お父さんなら許してくれるそうだけど、お父さんひとりでシュレアに置いていけないから」

「だったらイチローに相談してみようよ。イチローなら何とかしてくれるかもしれないよ」

「イチローさんでも、さすがに無理じゃないかな」

「アキナちゃん、ダメでもともとだし、今日の夕食にイチローは来ないみたいだから明日の朝食の時にでもイチローに聞いてみようよ」

「うん」


「それはそうと、毎日お風呂に入るって贅沢だよねー」

「そうだね。だけど、アキナちゃんのおうちってお金持ちじゃなかった?」

「うちでもお風呂に入れるのは3日に一度くらいだったし、わたしが病気になった後は体を拭いてもらってただけだったよ。そう考えるとイチローさんってものすごいお金持ちなんだね」

「うん。アキナちゃんは見たことないだろうけど、イチローってこの屋敷のほかにも、ものすごく大きなやかたをふたつも持っているし、コミックも、アニメとか映画もいくらでも買ってくれるし。お金のことなんて全然気にしてないもの」

「そうだよねー」


「ねえミアちゃん」

「なに?」

「イチローさんって好きな人いるのかなー?」

「どうだろ? そういえば一度友達だといって女の人を館に連れてきたことがあった。その人スゴイ美人だったけど、イチローの恋人って感じじゃなかったなー」

「良かった」

「アキナちゃん、もしかしてイチローのこと好きなの?」

「うん。だってカッコいいじゃない。ミアちゃんはそう思わないの?」

「カッコいいとは思うし好きだけど、わたしにとってイチローはお父さんのようなものだから、アキナちゃんの言うような好きとはちょっとちがうかなー」

「それを聞いて安心した」

「だけどアキナちゃん。もしかして、アキナちゃんはイチローの薬で病気が治ったから、それでイチローのこと好きになったってことない?」

「そんなんじゃないよー」

「それならいい。アキナちゃん、頑張って。応援するよ」

「ミアちゃん、ありがとう」


「そろそろお風呂上がろうか?」

「そうだね。今日の夕食も楽しみ」

「わたしも」




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