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第313話 シュレア側29階層


 28階層のゲートキーパーをたおしてエリクシールというすごそうなポーションを手に入れた俺は、階段を60段下って29階層に下り立った。


 そこは20メートル四方の石組の石室で、これまで通り天井が明るく発光していた。

 部屋の床に赤い点滅が数カ所あったのでレビテートはまだ効いているはずだが念のため罠は解除しておいた。

 

 扉は階段の正面に1つだけ。腕時計を見たら時刻はまだ10時半。


 扉を開けてみたところ、その先はかなり遠くまで続いた一本道の通路だった。ところどころに赤い点滅はあるが、通路の両側の壁に扉はひとつもなかった。

 ディテクター×2。

 モンスターもいないようだ。

 とにかく進んでいくしかない。


 一本道でモンスターもいない通路なので走ってもよかったが、初めての階層なのでゆっくり歩いていった。


 通路は何も変わったところはなく、見える範囲で罠を解除しながら200メートルほど進んだところでフィオナが俺の耳を引っ張って右側の壁を指さした。

 見た感じはタダの壁だ。

 しかし、さっきの壁に見せかけた膜の可能性もあるので俺はさっきと同じように右の腰にぶら下げたセンターで買った2本目のメイスを手にして壁を突いてみたところ、壁の中にメイスヘッドが何の抵抗もなく入っていった。


 またあの膜だった。

 俺はメイスを腰に戻してその壁に向かって進んだ。

 壁の先は5メートル四方の石室で部屋の真ん中に銀色の宝箱が1つあった。

 大きさ的にはそれほど大きな宝箱ではない。

 宝箱に擬態したモンスターには見えないが、宝箱なら入り口からでもフタを開けることができるのでやってみたらフタが開いた。

 中に入っていたのは金の延べ棒が5本だった。実際のところ素人の俺では金かどうかは分からないので鑑定指輪をタマちゃんに出してもらって鑑定したところ純金の延べ棒だった。

 重さは20キロくらいと思う。5本合わせて100キロ。金の相場がどれくらいか知らないが結構な値段なのだろう。


 部屋の中には扉はなかったが、念のためこの部屋の中に通れる壁はないのかとフィオナに聞いたところ「ふゅふぃ」と言って首を横に振ってたので元の通路に戻った。


 通路に戻った俺はさらに200メートルほど進んだところで今度は左の壁をフィオナは指さした。

 俺は左向け左して壁に向かって歩いていったらそのまますり抜けた。

 すり抜けた先はさっきと同じような5メートル四方の石室で、部屋の真ん中に銀の宝箱が1つ置かれていた。

 宝箱を開けたら今回も金の延べ棒が5本入っていた。

 俺にはタマちゃんがいるから重さなんか気にならないけれど、一般の冒険者だと金の延べ棒3本持つのが限度じゃないか? 悪くすればリュックの底が抜けてしまいそうだし。


 さっきの部屋と同じようにこの部屋もその先がなかったので、通路に戻って先に進んだ。


 また200メートル進んだら今度は右側の壁をフィオナが指さした。

 同じようにそっちに進んで同じように5本の金の延べ棒を手に入れた。

 これだけでも相当な金額になると思う。


 そんな感じで200メートルおきに金の延べ棒を手に入れていった結果、昼までに150本の金の延べ棒を手に入れていた。

 俺の勘だけの重さ20キロが正しいとして、150本だと3トンだ。タマちゃんが居なければどうにもならない重さだ。


 今までの経験からゲートキーパー撃破時以外の宝箱はリポップするから、今回の金の延べ棒の入った宝箱もリポップする可能性が高い。となると俺は金の延べ棒取り放題ということになる。

 さらに言えば、一本道の通路はこの先どこまでも続いているように見えるので、もしリポップしなくてもかなりの数の金の延べ棒を回収できそうだ。これでいいのか?


 俺には転移もあればタマちゃんがいるからいくらでも金の延べ棒を回収できるが、そういったもののない冒険者の場合、金の重さそのものがトラップになる可能性がある。ある意味凶悪な仕掛けなのかもしれない。

 シュレアのダンジョンギルドからここまで来ることができるのかどうかは今のところ分からない。しかし、かなり深いところであることは確実なので、俺にとってはご褒美階層だが、一般冒険者にとってはご褒美階層というわけでもなさそうだ。



 昼食のためシュレア屋敷に戻ったところで武器類と手袋、それにヘルメットをタマちゃんに預かってもらい、俺たちは食堂に急いだ。

 俺たちが一番だったらしく、ミアたちが2階から降りてくるのを待っていたらすぐに階段を下りてくる音がして、みんな揃った。

 ヴァイスによって料理が並べられ「「いただきます」」


 今日の昼食は洋食だったが主食は米ではなくパンだった。

 内容は、大きな野菜と大きな肉の入ったクリームシチューにゆで卵とハムの載ったグリーンサラダ。それに各種のパン。

 鶏肉みたいな白身の肉だったがちょっと違う。結局なんの肉だかわからなかったがおいしかった。

 シチューの具を先に食べて、シチューにパンを付けて食べたら絶品だった。

 サラダのドレッシングはクリーム系とフレンチ系が置いてあったので俺はクリーム系のドレッシングをかけた。

 タマちゃんはフレンチ系のドレッシングをかけ、後からクリーム系のドレッシングをかけた。

 フィオナにはオーソドックスにハチミツだった。


 今日は久しぶりにパンだったのだが、そろそろお米のストックがなくなってきている可能性がある。シュレア屋敷では俺とタマちゃんを含めて消費する人数が多いから当然だ。

 午後から29階層の探索は中止して、コメを買いに行こう。

 うちの近くのスーパーだけでたくさん買ってしまうと目立ってしまうので店を分散した方がいいな。

 今日装備した武器はタマちゃんに預かってもらってもいいが、午後からはもうダンジョンに潜ることはないので、先に専用個室に行って武器を返しておこう。


 専用個室に戻った俺は武器をロッカーにしまった。やって来たついでに核をある程度買い取ってもらおうと係の人を呼んだ。


 今回はこれまで28階層で手に入れた核のうち100個だけトレイに移して査定してもらい80億ちょうどで買い取ってもらった。これで累計買い取り額は614億1126万円+80億=694億1126万円となった。

 係の人の目がうつろのような。

 何も言うまい。


 係の人が仕事を終えて後ろの扉から退室したあと、俺はフィオナ付きでタマちゃん入りのリュックを背負い、最初にうちの近くの総合スーパーに転移した。

 転移した先は2階への階段の踊り場で、予想通りだれもいなかった。


 1階に下りてカートを押してコメ売り場に行って10キロ入りの袋を4つカートに入れてレジに並んだ。

 午後に入ってすぐだったこともありレジ前は空いていて待つことなく清算が終わった。

 俺はカートを押して荷物台まで行き、リュックを下ろしてコメ袋を順にリュックの中に入れていった。

 ちゃんと俺のことを注目していたらずいぶんおかしな光景だと思うが、もちろん誰も俺のことなど注目していなかったのでセーフ。

 リュックを背負い直してカートを出入り口前のカート置き場に返し店を出てから少し歩いて、次の目的地のいつものホームセンターに転移した。


 転移先は屋上駐車場で、そこから1階の食料品売り場に下りていきカートを押してコメ売り場に回った。

 ここでも10キロ入りのコメを4袋カートに入れて精算した。同じ銘柄のコメだったがこっちの方がだいぶ安かった。やはり総合スーパーは高い。と、主婦的に実感してしまった。


 それから俺はもう2軒、店を回って各々10キロ入りのコメを4袋買ってやった。

 これで16袋、合計160キロ。これだけあればかなりもつだろう。


 俺は12袋をシュレア屋敷に、4袋を新館に届けておいた。

 米屋になった気分が少しした。


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