表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/315

第312話 シュレア側28階層

ついにあの伝説のポーション登場!

 そして、週が明けて月曜日。

 今日の午前8時からダンジョンセンターが再開される。

 シュレア側の28階層を攻略するため、気合を入れて下り階段を見つけるつもりだ。


 俺は今日もシュレア屋敷に転移して朝食を食べ、昼食もここで食べると告げておいた。

 それからいつものように8時まで居間でコミックを読んで時間調整してサイタマダンジョンセンターの専用個室に転移した。

 久しぶりに武器を装備しての出撃だ。


『祈りの指輪』と『心の指輪』をはめてレビテート、ディテクトトラップを忘れずに意識し、ある種の手ごたえを感じてから転移。

 今回転移したのはドラゴンのいた洞窟の奥にあった渦を通り抜けた先の石室だ。

 転移した先にはちゃんと赤い点滅が復活していた。レビテートが効いているので罠の解除の必要はないのだが念のため罠は解除しておいた。


 渦の正面の部屋にただひとつある扉を開け、通路に出てからディテクター×2を発動。

 通路に見える範囲の罠を解除していたら、また黒スライムが近づいてきた。

 タマちゃんが迎撃して難なく撃破。手に入れた核をタマちゃんが俺の右手に置いたのだが、どうせいつも同じものなので、タマちゃんに俺に見せなくていいからそのまま収納しておいてくれと言っておいた。


「それじゃあ、フィオナ。下り階段に案内してくれ」

 右肩に止まるフィオナが『ふぃふゅふぃふゅ』言ってうなずいた。


 今のところ一本道の通路をまっすぐ進むしかないのでフィオナの指示は一度右手を前に出しただけだった。


 突き当りのT字を今回は右に曲がって近づいてきた黒スライムを核に変えていく。

 そこからしばらくまっすぐな通路を進んでいったところで、フィオナが通路の壁の扉を指さした。


 扉を開けたら、大きなつづらではないが例の宝箱があったのでクロで叩き斬ってやった。

 こいつを叩き斬ってやると何だかスカッとする。

 流れ出た体液ごとタマちゃんが処理してくれた。

 そのまま入り口の正面にあった扉を開いたらまた両側に扉の並んだ通路に出た。


 赤い点滅を解除して念のためまたレビテートをかけ、更にディテクトトラップとディテクター×2を発動してから通路を進んでいった。

 この通路も今までの通路と同じように黒スライムの縄張りのようで、俺たちに気づいた順に近づいてきて、タマちゃんに加工されていった。


 しばらくその通路を進んでいたらフィオナがとある扉を指さした。

 扉を開けたら例の幽霊がいたので解呪アンカースでサクッとたおしてやった。

 核はすぐにタマちゃんが偽足を使って収納して、残された銀色の宝箱を開けて中から出てきた万能ポーションもタマちゃんに預けた。


 今日は実に快調だ。サクサク進んでいく感じもいいものだ。

 この部屋にも正面に扉が1つだけあったので、扉を開けたところ、また両側に扉の並んだ通路に出た。


 機械作業のようにレビテートをかけ、更にディテクトトラップとディテクター×2を発動し、見える範囲での罠を解除し、途中出会った黒スライムを核に加工してどんどん進んでいく。


 そうやって2時間ほどフィオナの指示に従って石室と通路の組み合わせを進んでいったら通路の行き止まりに出てしまった。


 おかしい。フィオナレーダーが狂ってしまったのか?

「フィオナ、下り階段の方向は?」

 もう一度フィオナに聞いたところ正面の壁を指差した。

 カギ穴でもあるのかな?


 そう思って正面の壁に近寄って壁の正面をよく見たがそういったものは何もなかった。

 左右の壁も調べてみたがそれらしいものは見つからなかった。

 これは詰んだのか?


 俺がしきりに左右の壁を調べていたらフィオナが正面の壁を指さす。

 仕方ないからまた正面の壁を見たが何もない。

 そしたらフィオナが俺の右肩から飛びあがって正面の壁に突っ込んで行った。

「フィオナ!」

 と、口に出した時にはフィオナは壁の中に消えていた。

 そしてまた壁の中から現れ、俺の右肩に止まった。


「壁が通過できるってことか?」

 フィオナがうなずいた。

 ディテクターの探知を遮って向こう側のことは何も分からなかったので壁だと思い込んでいたから触りもしなかった。


 右の腰にぶら下げたセンターで買った2本目のメイスを手にして壁に向かって差し出したらメイスヘッドは何の抵抗もなく壁の中に沈み、引いたらちゃんと戻ってきた。


 フィオナが無事に戻ってきたので壁の向こうに出ていきなりの攻撃はないだろう。


 メイスを腰に戻して、それでは進んでみよう。


 壁に向かってまず手が触れ……ず。壁の絵が描かれた膜を抜けたような感じで向こう側に抜け出てしまった。振り返ってみたところ壁は見えなかった。


 一方方向だけのトリックか。仕組みは分からないが面倒な。


 壁風の幕を抜けた先は両脇の壁に扉のないまっすぐな通路で、50メートルほど先の突き当りに1つだけ扉が見えた。右肩の上のフィオナを見たら、フィオナはまっすぐ前を指さした。

 レビテート、ディテクトトラップ、ディテクター×2。

 通路上に罠はなく、見えないモンスターもいなかった。


 あの扉の先に階段があるのか?

 それともまだ先があるのか?

 行ってみればわかる。


 扉の前まで歩いて行き扉の前で立ち止まった。

 いままでシュレア側でゲートキーパーを目にしてはいないが何となくこの先にいるような気がした俺は、念のためストレングスとスピードを意識した。

 ストレングスとスピードはこれで発動したはずだが今まで通り自覚はできない。


 背中の鞘を横にしてクロを抜き出し、左手で扉に手を当て力を込めた。


 扉の先は天井の高い大広間になっていて、罠を示す赤い点滅はなかった。

 そのかわり、広間の奥の方に真っ黒い全身鎧を着た騎士風の大男が抜き身の大剣の切っ先を床に付けて両手でつかを持ってエラそうに立っていた。


 見た目は騎士風なのだが、身長は3メートル近い。どう見ても中身は人ではない。


 男は俺が扉を開けたことに気づいているはずだが先制攻撃してくれと言わんばかりに微動だにしていない。


 ファイヤーボールなどの攻撃ではさすがに一撃でたおせそうにはないのだが、もし相手がアンデッド系のモンスターだったら解呪アンカースで仕留めることができる。

 鎧と同じ真っ黒なフルフェイスのヘルメットのせいで中身が何だか見当もつかないので逆にアンデッド系のモンスターの可能性もある。

 試してみて損はないので、全身鎧の大男に向かって解呪アンカースを発動してやった。


 いつも通り手ごたえも何もなかったが、大男の鎧がバラバラになって床の上に落ち大きな音が響いた。

 あれれ? 今のモンスター、ホントにアンデッド系だったようだ。


 鎧の中に何かいたのか、何もいなかったのかも分からないが残骸だけが残り、その先に金の宝箱が。そして、さらにその先に下り階段が見えた。今のモンスターはやはりゲートキーパーだったようだ。

 ゲートキーパー戦でこれほど楽な戦いはなかった。ラッキーだったと思っていよう。


 散らばった鎧まで歩いて行ったら、残骸の中にかなり大きな核が転がっていた。


 核はタマちゃんに預かってもらい、金の宝箱を開けてみた。

 宝箱から出てきたのはガラス製に見えるポーション瓶で中身が良く見えるのだが、中身が白く発光していた。


 タマちゃんに鑑定指輪を出してもらって空いた指にはめ鑑定したところ、鑑定結果はこうだった。


『ポーション瓶:エリクシールが封入されたポーション瓶。エリクシールは全てを癒す。ただし、死者の蘇生はできない』


 何だかすごいポーションのようだ。たしか万能ポーションは『服用すれば、あらゆる状態異常および後天的障碍を直ちに癒す』だったはず。

 何が違うのかというと後天的障害だけでなく先天的な障害も治せるということか。

 それと気になるのは『全て』は何を指す? 万能ポーションは『服用すれば』という但し書きがあった。

 ということは、万能ポーションは人とか生き物が対象って事だろう。

 それに対して『全て』とわざわざあるのは、まさかそんなことはないとは思うが、対象は生き物じゃなくてなんでもいいってことなのか?


 なんであれ相当価値のあるもののハズだ。

 とりあえずエリクシールはタマちゃんに預けておいた。


「主。ゲートキーパーの鎧と大剣はどうします?」

「大きすぎて使えないから捨てて行こう。売ればそれなりの金額で売れるんだろうが今さらだしな」

「分かりました」

「それじゃあ、階段を下りよう」

「はい」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 黒鎧の大騎士(仮)さん、お気の毒に……なむなむ…… そして遂に出た!『全てを癒す』凄いアレが! ダンジョンコアさん、助かりますように……(‐人‐)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ