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第31話 ある女性教師。掲示板3


 学校が夏休みに入り、3日間の都内での国語研修が終ったわたしは大学時代の友だち3人にサイタマダンジョンに潜らないかと声をかけたところ、3人とも快諾してくれた。

 3人の都合のいい日を調整したところせっかくだしどうせなら金曜に休暇を取って3連休にしようということで話がまとまった。


 その日、わたしたちはサイタマダンジョンセンターの改札前に装備を整えて集合した。

 改札の上の電光掲示板に、2、3階層で複数のモンスターが同時に出現するので注意するようにと流れていたけれど、複数と言っても多くて3匹までだろうし、こっちは4人、モンスターが4匹までなら何とかなると安易な気持ちで改札を抜け渦を潜り抜けた。


 ダンジョンの渦を抜け、そこから3階層まで一気に進んだわたしたちは、ほかの冒険者とかち合わないようわき道にそれながら移動を続けた。


 最初に遭遇したのは大蜘蛛が1匹で簡単にたおすことができた。

 複数のモンスターが同時に出現すると言ってもいつもモンスターが複数で現れるわけではないらしい。

 実際は、複数のモンスターが同時に出現するのは珍しいことなのではないかと大蜘蛛から核を抜き取ったあと4人で話しながら坑道内を歩いていた。


 そこから10分ほど歩いたら前方から特徴のある足音が聞こえてきた。

 大ネズミだ。

 ライトの光の中に10個近い明るく光る目が見えた。

 一度に5匹。

 ここまで近づかれたら逃げるわけにはいかない。

 わたしたちは武器を構えて大ネズミに備えた。


 そこからは乱戦が始まった。

 わたしたちにブランクがあることを考慮しても目の前の大ネズミたちは今までの大ネズミより格段に動きが速い。

 実際はどうだったかわからないけれどその時のわたしにはそう感じられた。


 わたしを含めて4人とも武器を振り回すものの、空振りするか掠るかするだけで有効な攻撃が決まらない。

 動きの速い大ネズミに後方に回り込まれては厄介なのでそれだけは阻止しないと危ない。

 有効打が出ないままわたしたちは5匹の大ネズミと戦い続けた。

 わたしを含め全員の武器の振りが大雑把になってきている。

 このまま戦い続けたら危ない。

 逃げ出したい。


 焦るわたしが目の前の大ネズミにメイスを振り上げたら、何かが上からわたしの上に落ちてきた。

 大ムカデだ。


 わたしは大声で悲鳴を上げ大ムカデを振り下ろそうとした。

 大ムカデはわたしにかみつくこともできず坑道の路面に落っこちた。

 それは良かったものの、そのすきにわたしの左腕の肘から少し先が大ネズミに齧られ、鋭い痛みが走った。

 ネズミの歯が防刃ジャケットの袖を貫通して腕に食い込んだようだ。

 わたしは再度悲鳴を上げながらネズミを振りほどいた。


 一度目の悲鳴の時は何ともなかったハズの3人が、2度目のわたしの悲鳴でパニックになり一斉にもときた方向に逃げ出した。

 わたし自身は悲鳴を上げながらもまぐれ当たりでムカデをたおした。

 しかし大ネズミたちは逃げていった3人を追わず、わたしを囲んだ。

 大ネズミたちはわたしをいたぶっているのかメイスの間合いの外でわたしを睨むだけで跳びかかってこない。


 このままでは助からない。

 でも3人は逃げたままで助けに来てくれそうもない。

 もし引き返してきてくれても、もう手遅れだろうし、逆にそうなれば、大ネズミたちは一斉にわたしに跳びかかってくるはずだ。

 

 それでもわたしは右手だけでメイスを振り回して大ネズミが噛み付いてくるのを防いでいる。

 左腕は痛くて動かせない。

 腕から流れ出る血が防刃ジャケットの袖の中に広がって手袋まで伝わってきた。

 もう限界だ。

 誰か、誰でもいいからわたしを助けて!


 わたしは何かに祈ったんだと思う。

 そうしたら、ヒーローが現れた!

 そして、そのまま去っていった!?


 ヒーローが去った後には頭蓋を潰された5匹の大ネズミの死骸が残されていた。

 わたし自身パニックになっていたんだけど不思議とあの時のことを覚えてた。


 しばらくして、3人がわたしのもとに戻ってきた。

 それから後のことは、逆にほとんど覚えていない。

 ネズミに齧られた左腕の傷を応急処置したあと、センターに戻るわたしの後を3人が付いてきていたことだけを覚えている。

 出血が多かった割に傷はそれほど深くなく、縫わずにテープだけで済んだ。

 



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1.名無し


サイタマダンジョンBランク冒険者用情報スレその3(51)。マナー厳守。誹謗中傷粘着厳禁


次スレは>>950を踏んだ方。オナシャス


20XX年7月30日 21:45


2.名無し


>>1.スレ立て39


20XX年7月30日 21:46


……


451.名無し


今日の大トカゲ騒動は一体なんだったんだ?4階層の大トカゲが3階層に上ってきたってうわさだけどそんなことあり得るか?


20XX年8月1日 19:46


452.名無し


>>451.階段小屋が封鎖されて階段下りられなかった


20XX年8月1日 19:47


453.名無し


>>452.3階層の階段入り口の改札、壊れてたのは事実。空洞の脇に外されて置いてあった。直るまで職員が人力対応するんじゃないか?


20XX年8月1日 19:48


454.名無し


階段小屋は5時の時点でまだ封鎖されて、下りていけないようになってた


……


459.名無し


なんでもダンジョン管理庁長官の直々の依頼で、はやての6人が出向いて大トカゲ20匹を仕留めたって話だ


20XX年8月1日 19:53


460.名無し


さすがはナンバーワンチーム。サイタマダンジョンのホコリ!


20XX年8月1日 19:54


461.名無し


>>460.だな


20XX年8月1日 19:54


462.名無し


サイタマダンジョンのHP見たんだけど、明日は丸1日階段小屋は通れないそうだ。東京ダンジョン高校に依頼して、3階層に大トカゲがもういないか確かめるそうだ


20XX年8月1日 19:55


463.名無し


>>462.情報サンクス


20XX年8月1日 19:56


464.名無し


明日は久しぶりにお休みするか


20XX年8月1日 19:57


465.名無し


同情


20XX年8月1日 19:57


466.名無し


同情


20XX年8月1日 19:58


467.名無し


ダンジョン高校に入っときゃよかった。


20XX年8月1日 20:00


468.名無し


同情


20XX年8月1日 20:01


……


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